よろしく
「ゴホ、ゴホン、あ、ああー」
よし、準備オッケーと、あとはノックして先生が出るのを待つ。
コンコン
ドアの向こうからこっちに来る足音が聞こえる。足音が目の前のドアでおさまり、その瞬間ドアが、ガラガラと開いた。
「おーやっと来たか、さぁ、教室に入ってくれ」
私はクラスの教室に入り、黒板の前に立ち、横にいる先生が、私について自己紹介をする。
「彼女の名前は、桜木葵だ、みんな彼女と仲良くするんだぞ、だが男子、彼女が可愛いからって、嫌がることはするなよ」
「そんなもん、分かってるよ先生!」
そういったのは、いかにもヤンチャしてそうな顔がらで、なんかヘラヘラしてる。
「バカヤロー、先生はお前が一番心配だそ、ヤブキ、先生はこの前見たんだぞ、女子が暗殺スポーツしてた時、女子の着替え室はいって、服をクンクン嗅いでたのを」
先生がそういった瞬間、皆の視線がいっせいに、ヤブキの方をみる。女子はゴミを見るような目をして、ヤブキなんて、顔真っ青にしてるじゃない。
「いや、ちがう、ぜ、俺は決して、そんなこと」
声が震えて全然説得力がない、…なんか空気が重い
「あ、えーと、あ、葵、自己紹介して」
言い出した本人が動揺してどうするのよ。
「始めまして、桜木葵です」
さっきの不意気がまるで無かったように、皆が目をキラキラ輝きさせて、こっちを見てくる。
先生はウンウンとうなずいて、ホッとしている。
「私はこのクラスに馴れ合うつもりはないので、よろしく」
再び重いクラスになった。
うん、これで皆から見る私の印象は格段に下がったわ、またあんな目になるのは嫌だからな、だったら最初から友達を作らなければいい。
一方その頃
「う、うう、葵を怒らせちゃったよ」
私カナは広場で泣いていた。理由は簡単、葵に嫌われたからである。今こんな状況だけど誰も話しかけてくれない、私の身分が小さいから、これも差別の一種
貴方と馴れ合うつもりはないっか、やっぱり身分の小さい私なんか相手にしてくれないよね。
「泣いているのじゃな、カナよ」
「ぐずん、クロエさん」
この人は唯一私の友達、いつも、私の相談に乗ってくれる人
「なにがあったか私に話てみ、聞いてあげるから」
「うん、ありがとうございます。クロエさん」
私は涙をふき、全て話した。
クロエさんは、真剣な表現をしてきいてくれた。
「なるほどな、そんな事があったのか」
「はい」
「まー無理もない、葵には、過去に嫌な思い出があるのじゃからな」
「嫌な思い出ですか?」
クロエが頷き、話をつづける。
「そう、葵には、昔は今の真逆だった、皆と仲良くなるために様々な努力していた、だけどある日皆に、隠していた秘密をばれてしまったのじゃ」
「秘密?」
「うむ、葵はな、昔ヤンチャだったそうじゃ、そうそう、赤髪の女王と呼ばれておってな、それをクラスの皆にばれてしまったのじゃ、それで皆に見捨てられて今の葵になっておる」
私は首をかしげる
「なぜ、ヤンチャをばれただけで皆に見捨てられるんですか、ここにいる世界中の皆だって、盗賊やモンスターを討伐してるヤンチャ揃いじゃないですか!」
「葵は、日本と言う違う世界からきたのじゃ、その世界では、人を殺してはいけない法律があってな、葵は殺してはいないが人々を沢山痛みつけてた。それがばれて見捨てられたのじゃ」
「……」
「まー最後は葵を見捨てた恨みでクラスのほとんど生徒を殺害してしまったのじゃけどな、それ以来葵は誰とも馴れ合わない事にしたらしい、全くめんどくさい世界じゃ」
「そうですね、少なくとも、葵さんは一度その生活に反省して、やり直そうとしたんですよね、それなのに、クラスの皆はネチネチと」
「カナよ、今の葵を助けられるのはお前しかおらん」
「私がですか!」
「うむ、カナのその友達を愛する気持ちは本物じゃ、
その力でどん底に沈んでしまった、葵を釣り上げてやるのじゃ!」
「私が葵を…分かりました。私は葵さんの友達です。今日会ったばかりですけど、友達です!」
「そうか、じゃその友達を早くどん底から助けてやれ」
「はい!」