蛇の目
遅れましたすみません。
駄文ですが暖かい目で見てくださるとうれしいです。
「やぁぁぁぁ!」
「ギュァァ!」
私のストレートパンチが見事にバキオラの右頬にクリ
ーンヒット、しかし少しよろめいた程度しかダメージが受けていない。
あれこれ30分は闘ったと思う。バキオラの反応速度が異常なほど高い、私が殴ろうとするとまるで先を読んでいた様な素早い回避、柔軟性がいままで会ってきた日本の奴らより大幅に高い。
「くっ、参った勝てそうにないわ」
私は膝を地面に着く。
実際バキオラは一切息を切らしていない、それに比べ私はしんどくなってきたよ。
やっぱり亜人の体力は漫画通り凄いと言うことかな
バキオラは私の膝を着いたとこをいまだと言わんばかりに、更なる攻撃をかましてくる。
「ちっ」
からだ全体を地面に着き何とか避けれた。そのお返しに私は体をひねりその運動でカウンターキックを披露する。バキオラは数メートル飛んでいくがやはりこれと言ったダメージは受けてない。でも。
「生憎と私は諦めが悪いのよね、過去のせいで」
「ギュァァァァ!」
その私の声に答えたようにバキオラは雄叫びをあげた
「まだまだ行くわよ!」
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「う~ん、……はっ!」
葵さんの部屋の入口で気絶していた私は今目を覚ました。
体の上体を起こし、回りを見る。そこで最初に目が写ったのは、全体が白におおわれている見慣れた壁、次に壊れたドア。
「え~と、葵さん?」
「目覚めたようじゃな、カナ」
声のする方を見ると、壁にもたれているクロエが腕を組ながら私を見ていた。
「よ、昨日ぶりじゃな」
そういっていつも通りの挨拶に笑顔をクロエに見せられた。
「クロエさんこんにちは」
私は少し苦笑いしながらクロエさんにこう聞いた。
「あの、葵さんは……ここにはいませんね、何処に行ったか分かりますか」
「んー、泉の洞窟じゃ」
えーと、泉の洞窟って確かバキオラドスが生息しているとこだったような、その強さは並の人間が倒せれルレベルじゃなく戦闘のプロの人ではないと倒せられない、過去に倒せた人数は5人だったけ、そんな場所に葵が行った……
「うむ、恐らくお前の考えている通りじゃ」
「ですよね…て、それ葵さんが危ないじゃないですか!」
「そうだよ」
「軽!」
まずいじゃないですか、どうする、いや、そんなの決まっている助けに行こう。でもその前に
「何で止めなかったんですか、クロエさん」
「私が招待したから? ほら誘った本人が止めるっておかしすぎじゃろ」
そういってににやにやしながらクロエはそう答え次に真剣な顔に変わり更にこう言う。
「それにこれはカナや葵の試練でもある」
「試練?」
「うむ、確かに今葵のいる所は危険じゃ、下手したら死ぬかもしれん、けどなそこにお前が助けに行けばいい、そこで葵は何かを感じ、気付くかもしれない、カナは葵の友達なんだろ、だったら葵に何かを掴ませてやれ、カナ」
クロエは私の胸にぽんと軽いパンチをして微笑みを見せる。
私も少しの笑みを見せて、クロエの胸にぽんとパンチをする。
「分かりましたクロエさん、行ってきます泉の洞窟」
私に出来る事はあれしかない、久しぶりに解放するな
「カナ、少しの間私のリモコンを貸してやる」
手渡しで受け取り、私は泉の洞窟へと頭の中で描いた。
「行ってきます、クロエさん」
「うむ、あ、ちょっと待て」
クロエは右ポケットを探り始めた。
「これを葵に渡してくれ」
ポケットから出てきた物は人のはめるグローブだった。色が黒く、指先の第一間接の所には手袋がとどいていない。
「これは?」
「葵が昔の喧嘩に使ってた物じゃ、ゴミ箱に捨ててあったから拾っといた」
葵さんが使っていたグローブ、クンクン、葵さんの匂いがします。
「顔がにやにやしてるぞカナ」
おっと、私としたことが。
「少し改造しといたから」
「分かりました、では次こそ行ってきます」
「うむ」
私は今度こそ泉の洞窟へと行った。
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「ハァハァ」
埒があかないわね、タフ過ぎでしょうこいつ。
足がフラフラしてきた、肺も苦しい。
「ギュァァ!」
奴が叫んだ瞬間私の腹に強烈な蹴りを食り、私は岩の壁に強くぶつかった。
「~っ!」
痛った~、なんなのよ、たくっ!
「はっ!」
壁でひるんでいる間にバキオラは私の目の前にたっていた。
「ちょっ、何、止めてよ」
声が震えていた、体も震えていた、だって今奴がしようとしていることが…
「ギュァァ?」
やめて、そんなの駄目だよ。
バキオラは私の頬を舌で舐める。
止めて気持ち悪い、唾液が私の首筋まで流れてくる
目からには涙、私は無意識にこういう。
「誰か助けて」
その声には覇気が全く感じられず、弱々しい声だった。恐らく人が沢山いる場所でも誰も気づかないだろう。
次の瞬間、バキオラはジェット機にのったようなスピードでぶっ飛んだ。
「やっと本音を言えましたね、葵さん」
そいつは首だけ私を見てそういった。
「なんで、なんできたのよ、カナ」
「葵さんが助けてと言ったからです」
「わ、私はそんなこと…」
私が最後まで言葉を言う前にカナが話を割り込んできた。
「たとえ助けてと言ってなくてもその涙は助けてと言ってます。体は正直ですよね、葵さん」
カナは私の前に手を出す。
「立てますか、葵さん、一緒にバキオラドスを倒しましょう」
…うん
私はカナの手を掴もうとしたがそこでふと私の視界に懐かしい物が目に入る。
「カナそのグローブって」
「あー、クロエさんが葵さんにって、すみません少し借りました。クロエさんが改造したらしいですから少し試してみたんですけど、凄いですよこれ、パワーの無い私がバキオラを殴っただけであんなに吹き飛ぶなんて、あ、これお返ししますね」
カナははめていたグローブを手から取り私に渡した、それをはめて久しぶりの感覚を味わう。
「ギュァァ!」
「流石ですねバキオラドス、世界で5人しか倒せられない強者、これ私たちで倒したらどうなるんですかね葵さん」
「ちょっと待って、世界で5人しかたおせられてないの、クロエはそんな奴を私に、何考えてるのよ、どうりで強いわけね、帰ったらこのお礼をしてあげないとねフッフッフッ」
「顔が怖いですよ、葵さん」
「ギュァァ!」
「来ます、私が動きを封じるのでその隙に倒しちゃって下さい」
そういってカナはバキオラを見る。その瞬間カナの目が赤く光りだした。
「蛇の目」
カナがそう唱え、バキオラはみるみるうちに動きが止まった。
「何これ、凄、どうなってるの?」
「説明は後でします。取り敢えず急いでバキオラドスを倒して下さい!」
私はバキオラの方を見ながら歩きだす。
「さっきはよくもやってくれたわね変態、覚悟は出来てる?」
「ギュァァ?」
バキオラはいまだに硬直常態。
歩いているうちに奴の前に到着、手には先ほどカナから貰ったグローブをつけている、てかよく見つけたわねこのグローブ、捨てたと思ってたけど…
グローブを見て笑みを見せる、やっぱり相棒のグローブといると自然に力がみなぎってくるのよね。
拳にはダイヤモンドでも粉砕出来そうなほど力強く握り、バキオラにこう言う。
「さー、お開きしよう、速く倒して昼御飯食べたいからさ」
「ギュァァ!」
「吹き飛べぇぇぇ!」
頬に強烈な一撃、バキオラは天上を突き破りまるで星の様にキラリと光り飛んでった。
「あー、終わったよ、カナ」
カナの方を見るとフラっとよろけ、終いには地面に倒れた。
私は急いでカナの所に向かう。
「どうしたのよ、カナ」
カナの顔が疲れた様な顔になっている。
「すみません少し疲れてしまいました、でもしばらく時間がたったらいつも通りの私に戻ります」
あの目、蛇の目だったけ、凄い技の変わりに体力の消耗が激しいのねきっと。
私の為にこんな顔になってまで、…友達か
「ねっ、カナ」
「なんですか、葵さん」
「私のことまだ友達思ってくれてる?」
カナはにこりと笑みを見せる。
「そうなの決まっているしゃないですか、私は葵さんの友達です」
「どうして、私はカナに色々悪い事したんだよ、腹を殴ったり、ドアが壊れたほどの蹴りもしたんだよ」
「私はだって勝手に葵さんの部屋を忍び寄りました。友達と言うのは、そうやって仲を深めて行くものなんです、もしあそこで葵さんに無視されてたらそれこそ私の心に傷つきます」
「……」
「だからあの時葵さんに蹴られた時、あー私は葵さんにまだ嫌われていないんだと思いました。ほらだって嫌っていたらその人のことなんてどうでもいいでしょ、だから私は葵さんに蹴りをいれられても何一つ悪いとは思っていません」
「…Mだね」
「なんで今の話にその言葉が出てくるんですか!」
「ねぇカナ、生涯私の友達でいてくれる?」
「当たり前です」
「信じていいの?」
「はい、私は何があっても葵さんに着いていきます」
「最後にきいてい…」
私が聞こうとした時、カナは私の体に抱きついた。
「もう、葵さんはなにも心配する事はありません、私は絶対に葵さんの友達でいますから、だから過去に囚われずに今を見ましょう、葵さんの居場所はここ、暗殺組織キラーなんですから」
暖かい温もり、私の目から生ぬるい涙がでる、そうだ今の私の居場所はここなんだ、もう過去を忘れよう、私は今を見て進む。
「ありがとうカナ、私もカナのこと友達だよ、これからよろしく、カナ」
「はい、こちらこそよろしくお願いします、葵さん」
こうして私はこの世界で友達が出来た。
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次回は勇者が登場?です