エピローグ
ポールは蹲って笑っている。
「はあーー」
夫人はは大きくため息を吐いた。
皆あっけに取られたまま見送る羽目になった馬車がぐんぐん小さくなっていく。
「結婚していなくても王宮で働き続ける事ができるようドリンコート侯爵に頼んでいたのに、こんな……。ポール。あなたがなんとかなさいよ。」
まだポールは笑っている。
「あーあ。結局アベル兄さんが全部持っていっちゃったよ。ふ。くくく」
恨み言の様に言った後デイビットも笑う。
「まあ、どうなる事やら。」
すごすご帰ってきたら慰めてやらないとな〜なんてうそぶきながら
スラビーズ子爵は楽しそうに屋敷に向かって歩き出し、デイビットもその後に続く。
「いつまで笑っているのよ。」
「だって、くくく!やっぱり面白い男だなあ。」
「呆れたわよ。」
「いいじゃないか。そのうちミニアベルを連れた2人にまた会えるんじゃないか。」
ポールが軽口を叩くとガネット夫人は首を振った。
「嫌だ嫌だ。」
「はは」
「そこはミニビジイがいいわ。」
「あはは!それもそうだ!」
見ればもう馬車の姿はすっかりなくなっていた。
空はどこまでも青く白く、風が優しく踊っている。
なんとも2人の門出にぴったりのお日柄だ。
目尻に光るものには気付かぬふりをして2人も屋敷に戻る。
そうして数年後この軽口が現実のものとなる事は、今はまだ誰も知らない。




