表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変人令息は悪女を憎む  作者: くきの助


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/56

婚姻解消のその後は ーブリジットー

子爵家に移り住み、腕の抜糸も済むとブリジットもようやく病人扱いではなくなった。

ずっと元気だったのに甲斐甲斐しく世話をされていて申し訳ない気持ちでいっぱいだったブリジットはようやく心が軽くなる。


それと同時にこれからの事も話し合わなければならない事に気が重くなるのも事実だった。


離婚はいつ頃になるのか。

その後自分はどうするつもりなのか。


夫人にお茶に誘われ行けば、やはり今後の話になった。


「元気になったのだし一度学園に見学に行って見る?」


ガネット夫人にそう言われてブリジットは驚いた。


「ですが王都の学園は貴族しか受け入れないのでは。」


今結婚し子爵家を出たアベルは平民である。

そこに嫁いでるブリジットももちろん平民だ。

もちろん離婚すればブリジットは伯爵令嬢になるのだが。


そこでブリジットはハッとした。


(離婚を促されているのだわ。)


「ああ違うわよ。そうね。こちらを先に話すべきだったわね。」


ブリジットの様子をみて察した夫人は慌てたように言うと、改まった。


「あなたとアベルの婚姻解消を申し出るつもりなのよ。」


婚姻解消?


耳慣れない言葉にブリジットは思わず首を傾げた。


ずっと離れで暮らしていた事をブリジットが申し出て認められれば婚姻解消できるらしい。


「アベルも離れで暮らしていた事実を認めれば、解消できるわ。そうすればあなたはこの国で婚姻があった事実もなくなるわ。離婚だと次のお相手が見つかった時にややこしいことになるかもしれないから、ね。」


伯爵令嬢に戻れば学園にも通える。

学園に通えばお相手が見つかることもあるだろう。


(次のお相手……)


正直考えてもいなかった。


アベルが勉強していたような植物の勉強を自分も勉強したいと思っていた。

王都の学園には植物の専門の研究室や先生がいて、アベルはそこに入り浸っていたのだと知っていた。

だから離婚後は学園に通ってみたいと思っていた。



「いいようにしましょうと言ったわよね。あなたが決めていいのよ。もちろん、国に帰ってもいいわ。学園に通ってもいい。王都を離れてどこか違うところで住みたいのならそれもサポートするわ。まず今すぐできることとして学園の見学がいいのではないかしら。」


逡巡するブリジットを優しく見つめていたガネット夫人が言った。


しかしブリジットにはもっと気になることがあった。


「私と婚姻解消してしまえばアベル様の王宮勤めはどうなりますか。」


あなたは本当に……


ガネット夫人は小さく呟く。


「大丈夫よ、気にすることはないわ。手は打ってあるの。アベルが王宮を辞めさせられることはないわ。」


アリスの一件でドリンコート侯爵家から慰謝料が支払われることになっているらしい。

もちろんブリジットにも。


驚いたブリジットに「慰謝料という名の口止め料よ。受け取っておきなさい。」と受け取らないほうが面倒臭いと夫人は言外に滲ませた。


そうしてスラビーズ子爵家はお金の代わりにアベルが婚姻解消しても王宮で勤められる様配慮してもらえるようにしたらしい。


「ドリンコートは序列一位の侯爵家よ。」


その位の力はあるらしい。


ブリジットはなんともいえない気持ちだった。

自分でもどういう気持ちなのかわからない。


ただ着々と物事は進んでいた。

自分も進まなければ、そう思った。


ブリジットは学園の見学を申し出た。

そうして可能性をひとつずつ覗いていくのもいいと思った。


婚姻解消した時、決めた道に行けるように。


そうしてその頃には子爵家も出て、もうアベルと道が交わる事もないだろう。

きっと胸の痛みも忘れている。

そう思っていた。



そう思っていたはずなのに。



ブリジットは混乱していた。


目の前にいるこの人は……


確かにもう二度と会うことがないと思った人だ。



とある日の昼下がり。

子爵家の庭のガゼボでブリジットはアベルと向かい合いお茶を飲んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ