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9(魔力神経)


目を開けると目の前にセリーナ顔と青空が見える。頭の後ろからは柔らかい感触がした


なんか....膝枕されてね


顔が赤くなっていくのを感じ手で顔を覆う


「目が覚めましたか。回復魔法をかけたのですが、体の調子はいかかがですか?」


セリーナの膝枕に気を取られ体の痛みがなくなっていたことに今気が付く


レイは腕を動かし体の状態を確認する


「いい感じだよ。ありがと....ていうかなんで膝枕しているんだ」


聞かれたセリーナはレイに顔を寄せ囁く


「鍛錬を頑張ったご褒美です。レイはこういうのが好きなんですよね?」


セリーナの囁きにレイは耳まで真っ赤になりまた顔を覆った


「好きです....ありがとうございます」


セリーナさんえぐいです、美しいセリーナとそんないい声が合わさったら俺昇天しちゃうって


「フフッ」


セリーナの上品に少し楽しそうに笑った


「レイは魔力循環を早くしたときに何を感じましたか?」


先までとは違い少し授業のような雰囲気になった


レイの顔の熱は引いていく


「魔力が異常に早くなくなっていくのと、これ以上早く魔力を循環したら体の中の何かが燃え死ぬように感じた」


セリーナは目を見開く


「やはり、レイは魔力操作のレベルが高いようですね。「体の中の何かが燃え死ぬように感じた」それは、魔力神経が焼けきれるのを感じていたのでしょう」


「魔力神経?初めて聞くな」


「簡単に言うと筋肉の魔力版です。この世界すべての生物は魔力神経を持っており、すべての生物は魔力神経を用意て魔法や魔力による身体強化などいろいろなことを可能にしています」


「なるほど。で、結局燃えるような感覚は何なんだ」


「魔力神経に多量の魔力を流すと魔力神経は炎症を起こし、最終的には焼き切れます。ちなみに、そのまま魔力を流し続けると魔力神経は破壊され後遺症を残します」


「後遺症!結構危なかったな」


レイはセリーナの言葉に目を見開き大きな声を出した


「それにしてもレイの最後は見事でした。よく受け身をとれましたね」


セリーナは感心しているようだった


「私の動きはまだ見えるようにはなっていなかったでしょう」


レイは少し笑みをこぼし始める


「確かに蹴る瞬間は見えなかったが、セリーナの足を引く動作と手で反動をつけようとする動きは見えたからな」


レイは自慢げに答えた


蹴る動作は早すぎて見えなかった。しかし、恐ろしく速い蹴る前動作は見ることができた。それによって、ギリギリ受け身をとることができた


「そういうことでしたか、私も少し油断していたようですね」


セリーナが改めて気を引き締めたようだった


「ちなみに、これ以上身体能力を上げるにはどうすればいい?」


セリーナは口角をあげ、にかっと笑った


「よくぞ聞いてくれました。それがレイの最初の課題です!」


セリーナは立ち上がり胸をはり目を輝かせ始めた


「レイはこれから魔力量を増やし、魔力神経の強度を上げてもらいます」


セリーナは右手を前に出し宣言するように声を出した


「わかった、そのために俺は何をする?」


しかし、レイは淡々と返した


それが、少し不満だったのかセリーナは口を尖らせ続ける


「反応が薄いですね....まぁいいです。今日からレイには今までより早く常に体に魔力を循環させてください。魔力の早さの目安は夜寝る前には魔力が足りなくてだるくなることを目安にしてください。そして、これから毎日起きたら鍛錬を行います。その時は魔力神経が今日のように焼き切れる手前までの速度で魔力を流してください」


「なるほど」


レイは納得したようにうなづく


長距離の魔力循環と短距離の魔力循環という感じか


長距離の魔力循環でスタミナ....魔力量を増やし、短距離の魔力循環で筋肉....魔力神経の強度を上げるということか


「それでは今日はもう酒場に戻りましょう。日が傾き始めています」


「それもそうだな」


レイたちは酒場に向かい歩き出した


「お前ら、鍛錬は終わりか?それにしても最後はいちゃつきやがって」


ロトがタイミングを見計らい木からこちらに来ていた


そういや、こいついるの忘れてた。いやなところを見られたな


レイは額を手をつけ少しため息をついた


「それにしてもお前ら強いな」


ロトは真剣な表情で言った


「セリーナが強いのはステータスの時点で予想できたが、レイ....お前はステータスの割に魔力操作がうまいな。それに、攻撃はよく考えられていてうちの一般兵だと相手にならないかもな」


ロトは鋭い目つきでレイを見る


「なら、もっと兵士のレベルを上げたほうがいいんじゃないか」


対してレイは煽りを含んだ笑みで言った


「それもそうかもな」


ロトは煽りに乗らず苦笑いを浮かべた


そうして三人は酒場に向かった


:::::


昼は鍛錬をし、夕方から夜は酒場の手伝い、寝る前は魔力不足で泥のように寝る日々を六日過ごし酒場を出る日がやってきた


「いつまで寝てるんだい、さっさと起きな」


聞き覚えのある声とともに重い瞼を開ける


目の前にはマスターが立っていた


「昨日で仕事は終わったんだから早く飯食って出ていく準備をしな」


「わかってますよ」


レイは体を起こし水浴びをし、マスターが用意した朝食をとりにキッチンに向かう


キッチンにはセリーナ、ロト、マスターが席に座っていた


そういや、落ち着いて四人で向かい合うのは初めてな気がする


そんなことを思いながらレイも席に着く


レイが席に着くと同時にマスターが口を開く


「レイ、セリーナ今回は仕事を受けてくれてありがとう!」


マスターの口調には感謝の色が滲んでいた


「セリーナは仕事はとてもよかったとは言えないが愛嬌があって売り上げに貢献してくれたよ。ありがとう」


マスターはセリーナの目を見て優しく言った


「こちらこそ、私が仕事の仕方がわからず苦戦しているとき、嫌な顔せず指導していただきありがとうございました。おかげで楽しく仕事ができました」


セリーナはこの一週間の感傷に浸りながら笑顔で礼をした


マスターは次にレイの目を見た


「レイ....アンタは、仕事はできたが問題をよく起こした」


「すいません」


レイは苦笑いをしながら頭を下げる


「だが、無意味に問題を起こすことはなかった。問題を解決するために問題を起こしていた」


それはそれで問題なんじゃないか


レイは心の中でそんなことを思った


「そんな、アンタのおかげでこの一週間はとても楽しかったよ!きっとお客さんも楽しんでいたさ!」


マスターは満面の笑みで言った


「俺も楽しくやらせてもらいましたよ!ありがとうございました!」


レイは調子よく返事をした


「あまり、調子に乗るんじゃないよ。いつもこんな感じの依頼主とは限らないからな」


「それもそうですね、こんないい依頼主早々会えない」


ゴンッ


「いって」


「マスターとよびな」


そういってレイの頭にはげんこつが飛んだ


そのげんこつはもうレイには見切れるようになっていた。しかし、レイはよけることなくそれを受ける。なぜなら、これもコミュニケーションの一種だから


「早く飯を食て出ていきな!」

マスターは笑いながら言った


「はいはい」


「あと報酬は上乗せしておくからね。後で冒険者協会でしっかり受け取りなさいよ」


依頼完了証明書をセリーナに渡した


そうしてレイは飯を食べ、出る準備を終えた


:::::


「ぞれじゃ、また来ますマスター」


「お体には気を付けてください」


レイとセリーナはそう言い酒場をあとにした


「あぁ、いつでも来な!」


マスターは息を少し吐き


「レイは最初の時よりずいぶん強くなったな。もう私の動きは見切れらているな」


マスターは嬉しいようなさみしい気持ちになりながらレイたちを見送った


こうしてレイたちの酒場での仕事は終わりを迎えた

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