14(覚醒)
レイはミノタウロスのような魔物と対峙する
「「グォォォォォォ!」」
魔物はレイに近づきまた、こん棒を振るう
これもレイにあたりレイは吹き飛ばされる
「クッソ」
見えねいほどじゃないがリーチが長すぎて避けれない。刀で受けてるがあいつの力が強すぎ刀の上からでも衝撃で体にダメージが入る
魔物は止まることを知らず、追撃をする
とにかく止めろ、吹き飛ばされている間は話になんねぇ
刀を握り直し魔力循環の速度を上げる
全力だこれ以上は上げられねぇ
「「グォォォォォォ!」」
「ウォォォォォ!」
両者の方向とともに刀とこん棒が交じり合う
「「ガン」」
「止まったぞ....クソ野郎」
レイは魔物の攻撃を受け止める
それと同時に連撃は始まった
とてつもない速度で交わりあう攻撃
常人では見ることのできない連撃
止まることない甲高い音
「「グォォォォォォ!」」
「ウォォォォォ!」
どことなく魔物のほうが押され始める
慣れてきたぞ、お前の攻撃は重いし早いが予備動作が大きいんだよ、慣れてくれば受け流せる
レイは口角を上げ始め
周囲の土は赤に染まり始める
それと同時に、魔物からは切り傷ほどの傷ができ始めた
「受け流せば隙ができんだよ!お前はもう終わりだよクソ野郎!」
そうして、どんどん周りは赤く染まっていき、黒かった魔物の肌は赤に染まっていく
しかし、魔物からは余裕を感じさせどこか笑っているようにすら感じさせた
それにしても嫌な感じだ。命の危機の感覚が消えねぇ
「「グォォォォォォ!!!」」
先までの咆哮より大きな音がレイの耳を襲う
それは、レイに恐怖を感じさせる
そして、魔物は地面を蹴る
「「バーン」」
それと同時に地面は割れ、レイは体勢を崩す
ヤバい
崩れた体勢のレイに魔物のこん棒が襲う
レイは20メートルほど飛ばされる
今までと違うクリーンヒットがレイを襲った
「グハッ」
レイは血反吐を吐く
「イッッッッ」
今までにない痛みがレイを襲う
右のあばれ骨全部折れてる。ていうか骨ある?立てないんだけど、右半身あるこれ?
左手で右腕を触る
一応あるか、あーでも血ヤバいな
左手は赤に染まる
「もう....いいや」
レイは痛みから絶望し戦意をなくす
「あとはセリーナ頼むは....俺はもう動けねぇーわ」
そうして、レイは目を閉じる
「....」
「「でもそれって今俺がやってることなんだよな」」
先の靄が聞こえる
うるせぇな、俺はもう動けねえんだよ
「「そうなると便利屋として扱われそうでなんかな~」」
強いんだから、いいだろ。俺を助けるぐらい呼吸をするぐらい簡単だろ
「「お前....あんまり他人をなめるなよ」」
俺はあんなことを他人に言って俺はあいつに負けるのかよ
先までのことが走馬灯のように流れてくる
命を懸け戦っていたもの....命を懸け仲間を助けようとしたもの....
「うぜぇな」
レイは閉じていた眼を開ける
「今、多くのやつが命はって戦ってんだよ。なんで俺だけ命はってねぇんだよ!」
そういってレイは立ち上がる
レイは赤く染まった地面に血を落とす
「ダセェよな!」
レイは地面に落ちた刀を左手で持つ
「まだ半分動くんだよ!まだ全力だしてねえんだよ!便利屋みたいに扱いたくねえんだよ!」
レイは葉を食いしばり、鋭い目つきで魔物を見据える
思い出せセリーナとの最初の鍛錬を
「「魔力が異常に早くなくなっていくのと、これ以上早く魔力を循環したら体の中の何かが燃え死ぬように感じた」」
あれだ!魔力神経が燃え死ぬまで魔力を回すんだよ!
そうして、レイは体内の魔力に意識を向ける
「魔力神経を燃やすんだよ!」
レイは今までにない速度で魔力を循環させる
「いてぇ」
レイに炎に燃やされているような感覚が襲う
「でも、キタ!」
レイの魔力循環は今までできなかった電流の速度つまり、光速に到達する
レイの体は発光し始める
前はここまでこれなかった。これまでの鍛錬が俺をここまで成長させたのか....
「ありがとうセリーナ....俺はあのクソ野郎をぶっ殺せるよ」
レイはセリーナを思いうかべ安らぎを感じる
それにしても魔力の減りエグいて!持って五秒ぐらいか?
「まぁ....終わらせてやるよ」
「「グォォォォォォ!」」
魔物はレイに追撃をする
先までより早い速度と鋭さで
「やっぱお前本気じゃなかったんだな....でも、もうおせぇよ」
両者の間合いが交わり通過していく
魔物はレイを通り過ぎ上半身と下半身が真っ二つに分かれ地面に落ちる
地面には魔物の血が流れる
「勝ったーーー」
それと同時にレイは地面に膝をつく
レイの体の発光は収まりレイは瞼が重くなり目を閉じるが口は笑っていた
それにしても体中いてぇ、内臓はぶち壊れてるし、骨はボロボロで軟体動物かってんだ。魔力神経も燃え死んだのか錆びたように魔力が流れねぇ
そうしてレイは地面に倒れた
「「何やってんだ、早く立て」」
「誰....だ」
どこからか、高圧的な男の声が聞こえる
またこれかよ、頭に直接誰かが語りかけてきやがる。いや、頭というより体全体から声を感じる
「「俺はお前の加護だ」」
「加護?なんだ....それ」
「「時間がないその話はなしだ。早く立って戦え」」
「立って....て....俺はもう体中ボロボロで」
「「そんなの思い込みだよ。早く立って戦え」」
「思い込み....な....わけないだろ。もう....右半身は....ボロボロ....で....魔力は....もう....流れねえんだぞ」
「「それが戦えない理由になるのか?英雄はそんな理由で戦うことをやめない。左半身が動き武器が持てるなら戦え。それともまたあの女を頼るのか?あんなことを言っておいて....」」
男の最後の言葉がレイの体に電流のようなものを流す
「それも....そうだな」
レイは左手のひらで地面を押す
「英雄が何だか知らねぇが....左半身が動けば戦えるよな」
左足で地面を踏む
「「早く立って戦え」」
「うるさいなぁ!さっきから高圧的でめっちゃムカつくんですけど!」
そういってレイは立ち上がる
「「言った通り思い込みだっただろう」」
「ほんっと、その通りだよ!」
そうして、レイは落ちていた刀を手に取る
「「ここにいるすべての魔物を殺せ」」
「ああ!」
レイは左半身で魔物を捌いていく
先より動きは遅いが魔物の死体は先より早く増えていく
「魔力循環はできねぇし、肉体も半分しか動かないが、先の魔物の後すべて雑魚にしか見えない!」
そうして魔物の数はどんどん減っていた
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三十分ほどたったころ
レイの周りに魔物はいなくなった
「この後はどうしたものか?」
このまま周辺を警戒するか?それともほかの場所の魔物を倒しに行くか?
レイは少し悩むそぶりをした後
「後者だな」
そう言いレイは元居た拠点の方向に走り出す
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レイは拠点の方向に走っていると兵団を発見する
「ジャイアントスパイダーが出たぞ!」
その声の方向には四、五メートルほどのクモのような魔物がいた
兵団はその魔物との戦闘に苦戦しているのがよく分かった
相手の攻撃が来れば後退の繰り返し
魔物にダメージが入る様子はなかった
「俺がやる!」
その声とともにレイはさっそうと現れ、一瞬にして魔物の脳天を刀で突きさし、貫通させた
魔物はそれと同時に活動が止まる
「ジャイアントスパイダーを一人であんな簡単に....」
兵団からそんな声がした
それと同時に遠くから違う兵団が来た
「ジャイアントスパイダーをやったのはお前か?感謝する」
先の拠点のリーダーだった
「レイか?てかお前その怪我大丈夫かよ!」
兵団の中にはロトがいた
「大丈夫だ」
「大丈夫なわけないだろ!お前血で真っ赤だぞ!それに右半身ぐちゃぐちゃじゃねぇか!まさか....魔力循環止まってないか?」
ロトは目を大きく開き大きな声で言う
「止まってるよ」
「そんなんで戦場に出てんじゃねぇ!死ぬぞ!」
「死なねぇーよ!俺は十分戦えるんだよ!この状態でもあの魔物を倒したのがその証明だ!」
ロトの感情に呼応するようにレイも声を大にして言った
「お前....」
「俺はこの状態でもここにいる魔物すべて倒してやるよ。戦える奴が戦って少しでも死者を減らしてやる」
レイの表情は真剣そのもの。いや、どこか取りつかれたように前を見据える
しかし、それを見た周りの兵士はどこか士気を上げた
「わかった....俺も付いて行く。お前が倒れた時は何としても助けてやる」
ロトも真剣にレイを見据えた
「ついてこれんのか?」
「あまりなめるなよ....魔力循環のないお前に遅れは取らねぇよ」
ロトは少し口角を上げながら言った
「そうかよ」
そうしてレイはまた魔物を倒しに走り出す
横にはロトがついている
それがどこかレイに心の余裕を与えた
そうしてロジンの冒険者と兵士たちはどんどん魔物を倒していった
そして、夜明けとともに魔物はすべていなくなった
それと同時に、限界を超えたレイは地面に倒れこんだ