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1(転移)


「つらい」


大学生の一人暮らし――それは自由そのものだ


好きな時に好きなものを食べ、好きな時に風呂に入り、好きなだけゲームができる


そんな理想的な生活に思えるが、実際にはいいことばかりではない。


例えば今の俺の状況一人暮らしで風邪をひくのは結構つらい


風邪をひいた。のどが痛い、頭がガンガンする、体はだるく、寒気も止まらない。熱があるかどうかは知らない


大学生の一人暮らしのアパートには体温計なんて気の利いたものはないからだ


さらに、具合が悪いと病院に行くことすら難しい


実家ではないため、近所にどんな病院があるのかもわからないし、そもそもそこに辿り着く体力すらないかもしれない


「とりあえず、ご飯も食べたし……また寝るか」


今日は食べては寝てを繰り返し18時間近くは寝ていると思う


布団に入ると一瞬にして眠りに落ちるのがわかる


18時間ぐらいは寝ているのにまだ寝れるのか風邪って半端ないな


「こんなに寝たら、目の下の隈も治るかな……」


そう思いながら、俺はまた深い眠りに引きずり込まれていった。


:::::::


目を開けると、そこは見慣れない森の中だった。


「……ここは、どこだ?」


自然と口をついて出た言葉に、思わず笑ってしまった


人間知らないところにいつの間にかいたらこの言葉が自然と出るのかもな


人間は夢を見る


でも夢を見ているとき夢と現実の区別はついていると思う


夢はあいまいで輪郭がしっかりしていない


現実はそんなことはなく明確で輪郭がしっかりしている


そしてここは「「現実だ」」


「誰だ!」


突然、頭の中で俺の声に合わせて女性の声が響いた


「ふふふ、こんにちはお兄さん名前をなんというのかしら」


柔らかな、しかしどこか上品さを感じさせる声が返ってきた


そしてどことなく身を寄せたくなった


その声には妙な安心感があった。どこか寄り添いたくなるような響き


単に寂しさから誰かにすがりつきたいだけじゃない、ここから抜け出すためには、この女性の力が必要だと本能が告げている


まー声質が良くて一人さみしいから仲良くなりたいってわけじゃなくなくないんだからね


「俺の名前はーー」


「そんなことよりお兄さん魔物に囲まれかけているから気を付けてくださいねー」


俺の話を遮って女性が少し楽し気に声を出した


「魔物だと……?」


魔物というとゴブリンとかスライムなどが思いつくが


周りを見渡してみる


森は昼間なのに薄暗く、魔物を見つけることはかなわなかった


だが、なんとなく殺気のようなものを感じた


いや、殺気ではなく命の危機を感じているのかもしれない


「来た」


全方位から葉のすれる音が響き、暗がりの茂みから現れたのはゴブリンのような生物だった


「1、2、3……6体」


全方位から同時にゴブリンのような生物が六体出てきた


緑色の貧弱そうな肉体に鋭い牙と爪を持ち、全長80センチほどの二足歩行の生物まさに漫画で見るゴブリンそのものだ


全方位から同時に出てくるかゴブリンというのはもっと頭が悪いと思っていたんだけど


まっ、漫画とかで得た知識はあてにならないよね、とりあえず一人で多数を相手するときは多数を同時で相手にしないことを意識する


まずはこの包囲から抜け出す


男は包囲の上を飛び越えその後ゴブリンたちと正対した


いい感じ!


次は確実に一体ずつ、一回の接触で確実にゴブリンの首を折る


そのあと男はボディフェイクとステップでずれを作りゴブリンを一体ずつ相手し確実に首を折っていた


「こんなところか」


男の周りにはゴブリンの死体が転がっていた


「お兄さんすごいですね、素手でゴブリン六体倒しちゃうなんてとても普通の人間の芸当とは思えないです」


「俺は普通の人より運動神経がいいんだ」


男は自信をもって答えた


「本当にそれだけですか?ゴブリンを初めて見たのに臆せず確実に首を折っていけますか?普通の人が」


「人間命の危機に瀕したらあのぐらいするだろうさ」


女性の疑うような物言いに男は先までの自信のある表情とは打って変わり少し不機嫌になった


「そういうことにしておきましょう。ではそこから右に進んでください」


「なぜだ?」


いきなり道案内か、何を企んでいる


「この森から出たいのでしょうであれば右に進めば森を出られます」


「本当かここを右だなこの方向でいいな」


「はい」


男は疑いつつも他にほかの可能性を思案できるわけもなく歩みを進めるのであった

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