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目覚めたら7歳児でしたが、過酷な境遇なので改善したいと思います  作者: 瑞多美音
第2章

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27 死にかけ2班の脳筋くそおやじ

 「つぎは2班かぁ……だいじょうぶかな」

 「あっちは、1班より聞く耳を持っているとおもうよ」

 「そっか。よかった」


 1班から近いのですぐに到着してしまった……どきどき。


 「邪魔するよ」

 「おはよーございます!」

 「お、なんだおめー?」

 「3班のひとじゃないか!」


 1班よりもいい雰囲気だ。

 中年のおじさんふたりがこちらへやってきた。ここはふたりが水汲みやトイレ処理を担当しているのもかも?

 匂いもマシだし、子どもたちも元気そうだ……近くにいる女のひとやおばあさんにくっついてこっちを警戒しているけど。


 「ああ。3班からきた。話があるんだが……」

 「さっきの騒ぎ聞こえたぞー」

 「あまり、大きな声だと向こうに聞こえるのでこっそりとなら聞きますよ!」

 「そうかい」

 「いやー、さっきのくそおやじ!ってすごかったなー」

 「あ、はい」

 「たしかにくそおやじだけどなー、あんまり表立って仲よくしてるとめんどくせぇから内緒ってことで頼むわー」

 「あ、はい」


 1班と2班は部屋が近いこともあり、そのあたりの兼ね合いもあるのだろう。

 こちらはそこそこ協力しあっているようだが……


 「今日、来たのはこの子が渡したいものがあるんだって」

 「あー、おままごととかいうやつか?」


 そ、そこまで聞こえてる……え?もしかしてあの子どもたちはわたしが切れたの聞こえてたから警戒しているのか?……がーん。


 「えっと、これが食べられる草で……これがあったかいこしみの!」

 「ん?」

 「草、食べるんですか?」


 やはり、雑草を食べるという発想はないのだろう……驚かれている。


 「私も半信半疑だったんだが、苦いし不味いが多少は腹にたまる……この草はうちの部屋では誰も体調崩してないから安心だよ」


 そう、きちんと選んできたのだ……なるべくたくさん生えていて、比較的食べやすく安心なものを!

 

 「へー……うげー、まじぃな!」


 おじさんは口に含んだ後、急いで水を飲んでいる……こんなので不味いとか言ってたらポーション草なんて食べれないよ?


 「ただ、あちこちに毒草も生えてるんだ……ここに見分けのつくやつはいるかい?」

 「どうだっけなー」

 「俺、少しならわかるかも……」

 


 そう声を出したのは部屋の奥には横たわっている男のひとだった。かなり広範囲に火傷があるみたい。もしかして、フランカお姉ちゃんと同時期にここに入ったというひとかも?


 「そうだったな!お前、採取グループにいたんだよなー!」

 「……ああ。持ってきてくれれば見分けるよ」


 どうやら、フランカお姉ちゃんより重傷で身動きはとれないみたいだけど……


 「あと、これ!」

 「ああ。それは服なのかい?」

 「うん!こしみの!」

 「草をよったひもに雑草を引っかけたものさ……あるとないと大違いだよ」

 「へぇー……そんなものを考えるとはすごいなー。俺、考えんの苦手なんだよなあー」


 うん、若干脳筋っぽいにおいがする……そして、結構マイペースな気もする。


 「ひも多めにもってきたから!草引っかけるだけでいいよ!でも、さわってかゆくなるのはやめたほうがいい」


 1班の分もこっちに分けちゃおう!


 「へぇ……ためしてみるよ!ありがとう」

 「はい!」



 わたしがふたりと話している間、おばばさまは他のひとたちに草の食べ方や腰簑の作り方を教えていた……このふたり、脳筋ぽいからしっかり覚えてくれそうなひとに教えるあたりおばばさま流石だ。


 「お前さんたちは水汲みもするのかい」

 「う、うん」

 「するよ」

 「そうかい。じゃあ、その道中にこういう草があったらひもにこうやって引っかけて持ち帰るんだ」

 「できるかい?」

 「うん!」

 「かゆくなるのはやめたほうがいいんでしょ!」

 「そうだ。無理をしない程度に持ち帰るんだよ」

 「「わかった!」」

 「あの……あっちのふたりは間違えそうだから、子どもたちに食べられる草を教えてもらえませんか?私はこの通り目がみえないので……あのひともいつも起きていられるわけじゃないし……」

 「構わないよ。ふたりは平気かい?」

 「うん!できるよ」

 「まかせて!」

 「じゃあ、よく見てごらん……これが少し苦いけどたくさん生えている草だ。こっちは……」


 なんと、おばばさまのほうが子どもと仲よくしている……普通、中年の相手がおばばさまで子ども同士、仲よくするんじゃないのか?逆なのでは……


 「そうだ、食べる前にはよく洗うんだよ」

 「「はーい」」


 こっちの子どもは比較的ちゃんとしてもらってるみたい。ただ、大雑把すぎる感はあるけど……ボロ布を何重にも重ねられてる。動きにくそう。

 あったかくするためらしいが、雑だなぁ……



 「そういえば、1班と関わりはあるのかい?」

 「おう!あるぜ」

 「なんか、出来上がった魔石と交換されていくんですよ」

 「1班の子どもも時々こっちにくるしなあー」


 どうやらあの子、時々ここに追いやられてくるらしい……


 あのおやじ、まじでくそおやじだった。


 てか、2班。1班のくそおやじにいいように使われてるんじゃないの?魔石のノルマ押し付けられてるのに気にしてないとか……このひとたちザル勘定すぎる……

 ちゃんとやってれば……というか1班に利用されてなければ普通にノルマ達成できてるって……でも、一応フランカお姉ちゃんに教えられた魔石の仕分けはしているらしい。目の不自由な女のひとが大体の大きさで分けているけど、それを誰に任せるとかは決めていなかったそうだ。


 「それで、時々ノルマ達成できないからこまってたんだよ。これからは草食べてしのぐね」

 「だなー」

 「……できれば1班のこどもにも草食べさせてあげてほしい」

 「わかってる。あの子、飯あんまもらえてねぇみたいだからなー」

 「食事のときは見張りが面倒ですからね。帰っていくんですよね」


 おばばさまが魔石の仕分けのアドバイスや2班のひとの魔力量を見つつ、魔力量の多そうなひとに大きな魔石を任せるよう勧めていた。


 「そんなことで変わるのかー?」

 「ああ。意外と馬鹿にできないもんさ。効果がないと思ったらやめたらいいさ」

 「そうか。とりあえず、やってみるよ」


 2班のひとたちは多少大雑把なようだけど、素直にアドバイスを受け入れてくれるので話しやすい。


 「メリッサ、そろそろ帰るよ……もうすぐ時間だ」

 「うん」


 そうか、帰る時間も考えとかないといけなかった!


 「そうだ!この部屋出てくときもくそおやじ!って大声で頼むわ」

 「そうだね。それがいいね」


 え?なんで?


 「ぷんぷん怒って出ていく感じで頼むよ」

 「メリッサ……どうやら、1班にいちゃもんつけられないようにしたいみたいだよ」


 あー、そういうことか!

 2班の部屋のみなさんは……異論なしですか。


 「わかりましたー!くそおやじ!だけでいいですかー?」

 「なんか、ワードがほしいよなー!」

 「うーん、じゃあ脳筋くそおやじ!で!」

 「のうきん……なんかかっこいいな!」

 「そうだね」


 意味通じてなかった……


 「困ったら、よばいじゃないなら、夜にうちの班にきてもいいからね!」


 これはみんなにも了承済みだ。


 「よばいかー」

 「別に朝に来てもいいんだよ」

 「そうだった!」

 「わかったよ」

 「はいよー」


 これで伝えたいことは伝えられたかな……


 「じゃあ、いいますよ!」

 「「おう」」

 「この脳筋くそおやじがー!ちびっこにやさしくしないとおにがくるぞー!脳筋くそおやじがー!」

 「ふはっ」

 「くっ」


 なんか、嬉しそうなふたりと別れ、帰ることに。

 部屋を出るときもぷんぷんしたように振るまいましたよ……リクエストだったので。



 1班と2班、全然タイプが違ったなぁ……まだ、伝えられたのは食べられる雑草のことと腰簑くらいだけど、信頼が得られれば他の防寒具や敷物、お祈りについても教えたい。ただ……この辺はおばばさまたちの意見に従っていくつもりだ。



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