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目覚めたら7歳児でしたが、過酷な境遇なので改善したいと思います  作者: 瑞多美音
第2章

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25 強面おにーさんとの交流


 数日後にはまたロランさんがやってきた。

 入り口に突然立っているのを発見して思わずびくっとしてしまったけど、いつかは慣れるのかな?


 「こんばんは!」

 「……ああ。これ」


 ロランが差し出したのは……


 「わぁ!ポーション草!!しかも、こんなにたくさん!」

 「どうしたんじゃ」

 「うちの部屋のそばや道中に生えてたので持ってきた」

 「おおー!」

 「でも、そっちで食べたほうがいいんじゃないかい?」

 「そうじゃの。ローマンたちも食べたほうが元気に過ごせるはずじゃ」

 「……メリッサがやっていたようにしてみんなで食べてみたが、もういらないって」

 「「「あぁ……」」」


 あー、ポーションもどきは不味いもんねぇ……樹液があるのになれてしまうと、もうあの不味さを我慢できないもん。

 みんなもうんうんと頷いていた。


 「それにうちの部屋はみんな元気だから……マイケルさんが喜ぶなら持ってけって」

 「そうか、そうか!嬉しいのぉ」


 魔石1班はロランさんを入れて4人しかいないらしい……かなり少人数だ。それだけ魔力量がおおいひとが集まってるのかと思えば……どんどんひとが減ってしまい。ノルマの大部分はロランさんが担当してるらしい。

 ロランさんと父親のローマンさん以外のふたりもマイケルじいちゃんと知り合いらしく、ポーション草を喜んで譲ってくれたとのこと……たぶん、半分くらいはおいしくないって理由だと思うけど。わたしたちにはありがたいことだ。


 「……ちなみにだが、全部採ってないよな?」

 「一応、葉を数枚残しておいたが……まずかったか?」

 「いや、それならいいんだ。後は根っこを傷付けないように気をつけたらまた採取できるからな!」

 「そうか……わかった」


 えっーと、前はどこまで教えたんだっけ……おばばさまとマイケルじいちゃんが精霊の加護についてまで話したんだっけ?


 「おばばさま……ロランさんにあのこと教えてもだいじょうぶかな?」

 「あのこと?……ああ、お祈りかい」

 「うん」

 「伝えるだけ伝えてみな」

 「うん!」


 ロランさんなら信じてくれそうな気がして、お祈りについて話した……


 「だからね。やってみてほしいの」

 「……少し、腕をみせてくれ」

 「うん!」

 「ほれ、儂の腕と見比べてみぃ」

 「ああ」


 マイケルじいちゃんの隷属の魔方陣はようやく黒くなったぐらいだ。


 「こんなに違うのか……」

 「並べるとよくわかるのぉ」

 「そうだね!」


 ロランさんの漆黒、マイケルじいちゃんの黒、わたしの濃紺……と並べてみることで色の違いがよくわかった。


 「すべて、メリッサに精霊のお導きがあったからなんだ……試してみてくれないかい?」

 「メリッサのおかげで儂らはここまで元気になれたんじゃ」

 「やってみてくれや」

 「ええ。私も随分体調がよくなりました」

 「し、信じてくださいっ」


 みんなに囲まれ、ロランさんは戸惑っているよう……でも、こうやって言ってもらえるとなんだか嬉しい。


 「わかった……試してみるよ」

 「ありがとう!お祈りのときはつよくおもいうかべてね!」

 「ああ」



 カーン、カーン……カーン、カーン……カーン、カーン……

 カーン、カーン……カーン、カーン……カーン、カーン……

 あ、もう時間かぁ……


 「じゃあ、また」

 「おお!」

 「はーい!」

 「またの」

 「ロランさん……いつも、短時間だねー」

 「こ、ここまで結構距離があるし……あ、あっちは見張りも多いからじゃないかな?」

 「あー、そっか。いちおう、みはりに見つからないようにきてるのかぁ」

 「た、多分……」


 【旧広場地区】の向こう側にある【第二地区】にロランさんは暮らしているらしいのだが……お目こぼしされてるとはいえ見張りの目を掻い潜りつつの移動なんだとか……見つからないのに越したことはないもんね。

 だから……ここにいられる時間が短いのかぁ。納得だ。

 わたしの足では往復で自由時間を消費してしまうんだろうなぁ……特に【旧広場地区】は見張りが多いみたいだし、大人はともかく子どもはお目こぼししてくれるかわかんないもんねぇ。

 あそこの道端にあるポーション草とか、美味しそうな花とか取りに行くのはあぶないか……残念。



 ◇ ◇ ◇



 それでも、自由時間にうろうろできると聞いてなにもしないわたしではないのだ!


 以前から気になっていた他の死にかけ班を訪ねるつもりだ。


 【第三地区】内ならバケツでも持っていれば、見張りもちょっと時間よりはやい水汲みだと思ってくれるんじゃないかなーっと期待してのことだ。

 でも、まずは相談。


 「ということで、ほかのしにかけのへやに行ってみたいんだけど」

 「……私やグウェンが行くんじゃダメなのかい?」

 「うーん……じっさいにみることでわかることがあるかもしれないし……」

 「……嫌な思いをしてもかい?」


 え、なんか問題あるの?嫌な思いってなんだろ……


 「中にはひねくれたやつもいるのさ」

 「……そうなんだ」


 ここの部屋のひとたちがいいひとばかりだったから、そんなこと考えもしなかった……


 「うん、それでもいってみたい!」

 「そうかい……」

 「もし、何かあったら私にも教えてちょうだいね?」

 「わかったよ、マチルダさん!」


 雨のふっていない日の自由時間におばばさまとほかの部屋を訪ねてみることが決まった……雨のなかおばばさまを連れて歩くのは気がひけるし、無理を言って連れていってもらうのだ。数日くらい待つことなどなんともない。


 「そうだ!おすそわけ持っていく?」

 「おすそわけ?……何を持っていくつもりだい」

 「うーん。まずは食べられる雑草と……こしみのとか?」


 さすがにどんなひとたちがいるのかわからない状態で、ホトケノザもどきやポーション草は持っていかない。

 樹液についてはハワードが許してくれないと思うので候補にも上がらない。


 おばばさまは少し悩んだ様子だったが……


 「それくらいなら……問題ないか」

 「わ、私も手伝うね」

 「ありがとう!」


 嫌な思いをするかもしれないっていう覚悟はしておこう。

 でも、わたしが行くことで何かできるなら……というふうに思ってしまったのだ。

 わたしなら何かできるかもという考えに……何様だ。傲慢なんじゃないかと思う気持ちもある。


 でも、出来たのにやらなかったら後悔しそうだから……

 あの時、ああしていればよかった。こうしていればよかったってわたしが後悔しないために行動しようと考えることにした……自己満足だけどね。

 もし、おばばさまの言うようにひねくへたひとがいて「おまえ何様のつもりだ!」っていわれたら「メリッサさまです!」って答えてやるんだ。傲慢になってやる。

 

 受けとるのも拒否するのも相手の自由。

 わたしはあくまでも自分が後悔しないために、こういうものがありますよ。こういう風にしたら使えますよと提案するだけ……そう思っておこう。

 ……とかいつつ、結構ビビってるのは内緒ね。

 

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