精神破壊テロ「美味しんぼ根性」の功罪1
その日。
私(大倉)は、国内底辺研究所にて。
いつものように、次期フィールドワーク対象を、ネットリサーチしていた。
いやな曇り空の、午後は降水確率100%の、午前10時。
古時計の穏やかな音をかき消すように、VIP専用のホットラインに着信があった。
「非通知」ということはMKKK男子(後述)であり。
我が研究所の非常勤研究員かつ鬼鋭の論客。
私がもっとも期待を寄せる逸材。
殺巣鬼親クン(年齢非公表)が、また何かに気づいて、当研究所に電話してきたに違いなかった。
さっすおにちか。
そんな変な名前のやついない。
そう思われるかもしれない。
だが、殺巣クンはネーミングライツ。
いわいる命名権の達人、兼、知られざる、ダークインフルエンサーであり。
世間一般の常識民(後日、別項目で詳報)的には、ニート、ひきこもりと、まるで犯罪者のように侮蔑される一部の人たちを。
MKKK。
「無期限活動休止系」と名付け、世間一般の常識民を鮮やかに論破し。
ニート、ひきこもりという蔑称を正し、的確に「MKKK」と位置づけたかと思うと。
「DQNネームがあるなら、DNFネームがあってもいいじゃないですか」
DNFとは、日本語で途中リタイヤ。
いわいる人生から「落伍」した人をさす、ネットスラングであり。
現在MKKK立場民は、世間一般の常識の奴隷どもに、自分の個人情報を知られたくない。
これには、私も激しく同意せざるえなかった。
フィールドワークで得た事案を、せっかく提供してくれた人のSNS等が。
これも殺巣クン命名の、某ニュースサイトのコメント欄に常駐している、我々とは違う、真の美味しんぼ根性右の底辺民。
戦争うれション、誹謗中傷マンセーの、「ヤホーター」。
この民たちの、匿名マンセーなネットディスに、MKKK民がさらされないよう。
私(大倉)が、事案提供者が本人特定されないよう。
DNFネームを用い、事実を再構成し。
分析者であり、文責者として、再構築したのが、この読み物である。
そのことを、あらかじめご承知の上で、読み進めていただきたい。
さて、少し前置きが長くなったが。
これだけ待たせても。
画面の「非通知」は怪しく光り、あえて設定した、昭和な着信音は鳴り続けている。
私は深呼吸すると、おもむろに電話に出た。
YO! モッシ~!
喉元まで、歓迎のあいさつが出かけたが、ここはあえて無言で出方を待つ。
これがいつもの我々のやり方だ。
「殺巣です」
殺巣鬼親の由来は、実家でいつ何時、親に○されるかもしれない。
自らの「ぎりぎりの今」、「今そこにある危機」。
殺巣クンの、さしせまった、明日なき現実をもじったもの、だそうだ。
私は殺巣クンの性別。
年はいくつで、どういう外見なのか?
決して短い付き合いではないが、いまだ知らない。
ある日。
突然、私の個人ツイッターアカウントにDMが届き。
それ以来の、ネットと、電話だけの付き合いだからだ。
電話の声で、年齢くらいわかるだろう
ノン...
なのである。
殺酢クンは、当初のメールのやりとりの後。
PC画面にくぎ付けで長文を書いていると、注意力がおろそかになり、背後から酒畜に○られる恐れがある。
家の固定電話なら、常に左右を注視し、いつでも玄関から逃げられる。
殺巣クンは、この国内底辺研究所の所長兼、主任研究員である。
私、国内底辺学者、大倉さとし。
その極秘電話番号を、スムーズに聞き出すと、何かひらめいた時。こうして、突然、電話をかけてくるのだ。
だが、その声は、猫のように用心深く。
殺巣クンの肉声は、ボイスチェンジャーで歪められ、年齢も性別も判別しかねた。
当然、私は殺巣クンの電話番号は知らないし、日本にいるのか、海外からかけているのか?
知り合ったときにやり取りした、ヤフーの捨てアドも、今は消してしまった今、彼が何者なのかは、暗い闇の中だ。。
だが、それは国内底辺学者たる私(大倉)には、些末なことであり。
殺巣クンは、私のような還暦間近の昭和オヤジではないにしろ。
これまでの私の実体験、国内底辺研究所での、長年のフィールドワーク経験で、殺巣クンが現役MKKK男子であり。
中卒、不登校、友人知人等、一切いない。
現役ゼロゼロ民であることは、電話の受け答えで、プロファイリング出来た。
「で、今日はどんな事案なのかな?」
私が親しみやすい声で、努めて明るく聞くと。
こちらから声掛けをしないと、自分からは何もいわない殺巣くんは、
「お気持ち表明してもよかですか」
海外ドラマの、姿なきサイコキラーのような。
地獄の底から轟くような、不気味な変声で、話しはじめた。
(続く)