表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
底辺冒険家通信  作者: ニーティス亭夢★職
6/10

精神破壊テロ「美味しんぼ根性」の功罪1

その日。


私(大倉)は、国内底辺研究所にて。


いつものように、次期フィールドワーク対象を、ネットリサーチしていた。


いやな曇り空の、午後は降水確率100%の、午前10時。


古時計の穏やかな音をかき消すように、VIP専用のホットラインに着信があった。


「非通知」ということはMKKK男子(後述)であり。


我が研究所の非常勤研究員かつ鬼鋭の論客。


私がもっとも期待を寄せる逸材。


殺巣鬼親クン(年齢非公表)が、また何かに気づいて、当研究所に電話してきたに違いなかった。


さっすおにちか。


そんな変な名前のやついない。


そう思われるかもしれない。


だが、殺巣クンはネーミングライツ。


いわいる命名権の達人、兼、知られざる、ダークインフルエンサーであり。


世間一般の常識民(後日、別項目で詳報)的には、ニート、ひきこもりと、まるで犯罪者のように侮蔑される一部の人たちを。


MKKK。


「無期限活動休止系」と名付け、世間一般の常識民を鮮やかに論破し。


ニート、ひきこもりという蔑称を正し、的確に「MKKK」と位置づけたかと思うと。


「DQNネームがあるなら、DNFネームがあってもいいじゃないですか」


DNFとは、日本語で途中リタイヤ。


いわいる人生から「落伍」した人をさす、ネットスラングであり。


現在MKKK立場民は、世間一般の常識の奴隷どもに、自分の個人情報を知られたくない。


これには、私も激しく同意せざるえなかった。


フィールドワークで得た事案を、せっかく提供してくれた人のSNS等が。


これも殺巣クン命名の、某ニュースサイトのコメント欄に常駐している、我々とは違う、真の美味しんぼ根性右の底辺民。


戦争うれション、誹謗中傷マンセーの、「ヤホーター」。


この民たちの、匿名マンセーなネットディスに、MKKK民がさらされないよう。


私(大倉)が、事案提供者が本人特定されないよう。


DNFネームを用い、事実を再構成し。


分析者であり、文責者として、再構築したのが、この読み物である。


そのことを、あらかじめご承知の上で、読み進めていただきたい。


さて、少し前置きが長くなったが。


これだけ待たせても。


画面の「非通知」は怪しく光り、あえて設定した、昭和な着信音は鳴り続けている。


私は深呼吸すると、おもむろに電話に出た。


YO! モッシ~!


喉元まで、歓迎のあいさつが出かけたが、ここはあえて無言で出方を待つ。


これがいつもの我々のやり方だ。 


「殺巣です」


殺巣鬼親の由来は、実家でいつ何時、親に○されるかもしれない。


自らの「ぎりぎりの今」、「今そこにある危機」。


殺巣クンの、さしせまった、明日なき現実をもじったもの、だそうだ。


私は殺巣クンの性別。


年はいくつで、どういう外見なのか?


決して短い付き合いではないが、いまだ知らない。


ある日。


突然、私の個人ツイッターアカウントにDMが届き。


それ以来の、ネットと、電話だけの付き合いだからだ。


電話の声で、年齢くらいわかるだろう


ノン...


なのである。


殺酢クンは、当初のメールのやりとりの後。


PC画面にくぎ付けで長文を書いていると、注意力がおろそかになり、背後から酒畜に○られる恐れがある。


家の固定電話なら、常に左右を注視し、いつでも玄関から逃げられる。


殺巣クンは、この国内底辺研究所の所長兼、主任研究員である。


私、国内底辺学者、大倉さとし。


その極秘電話番号を、スムーズに聞き出すと、何かひらめいた時。こうして、突然、電話をかけてくるのだ。


だが、その声は、猫のように用心深く。


殺巣クンの肉声は、ボイスチェンジャーで歪められ、年齢も性別も判別しかねた。


当然、私は殺巣クンの電話番号は知らないし、日本にいるのか、海外からかけているのか?


知り合ったときにやり取りした、ヤフーの捨てアドも、今は消してしまった今、彼が何者なのかは、暗い闇の中だ。。


だが、それは国内底辺学者たる私(大倉)には、些末なことであり。


殺巣クンは、私のような還暦間近の昭和オヤジではないにしろ。


これまでの私の実体験、国内底辺研究所での、長年のフィールドワーク経験で、殺巣クンが現役MKKK男子であり。


中卒、不登校、友人知人等、一切いない。


現役ゼロゼロ民であることは、電話の受け答えで、プロファイリング出来た。


「で、今日はどんな事案なのかな?」


私が親しみやすい声で、努めて明るく聞くと。


こちらから声掛けをしないと、自分からは何もいわない殺巣くんは、


「お気持ち表明してもよかですか」


海外ドラマの、姿なきサイコキラーのような。


地獄の底から轟くような、不気味な変声で、話しはじめた。


                      (続く)


     



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ