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出戻り冒険者の3度目の挑戦。  作者: タカユウサ
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昔話2(魔王との戦い)

 人間と魔族が協力して一緒に戦うのは難しい。お互いに犠牲者も出たし、うらみに思うものもいる。親しいものが失われたこともある。感情がずっとおさまらないものもいる。お互いにやり合った結果と受け止めることが出来るものもいて、色々な人、魔族、亜種族がいる。

 

 それぞれ思うところはあるだろうし、ぶつかり合いもあったが、どんな旅も道筋も一つの終わりをむかえる。


 冒険者という形は、オトコにあってたのかも知れない。好きなもの同士でパーティーを組み、魔王に挑む。気の合ったものが集まり、自分たちだけのプライベートギルドを作る。魔王を倒すという思いで繋がった。


 長い長い戦いの果て、協力して魔王を倒す瞬間が来ていた。魔王にはもはや、部下も仲間もなく、最後までパーティーを圧倒していた。


 高い回復力、強固な防護壁、魔法と物理の同時攻撃、攻略は難しかったが、回復特化したそうりょ。攻撃・防御共に高い勇者・莫大な魔法力で攻め立てる魔女・槍も剣も万能に使いこなす騎士。


 そして、魔王と似たような特性を持つ男が全体をサポートした。防護壁額ズレたら、再構築。魔女の魔法に上乗せして一緒に魔法をはなつ。時には、回復も担当。


 勇者が先行して、魔王と戦い、後ろにひかえた僧侶が回復をしては離脱。横から、タイミング良く、切り込んだり、強力な爆炎や雷を打ち込んだ。


 勇者が、突然オトコにさけんだ。

「こい!一気ににたたくぞ」

 遠慮なく言ってくれるから嬉しくなる。勇者は、魔族でも関係なく、親友として扱ってくれる。

 アツくなった気持ちと共に、一気に前線に出て、勇者の剣戟に合わせて、教わって通りに剣に力をのせて、あらん限りの力で一気に斬りつける。

 衝撃で大地がゆれ、大量の煙があたりを覆っていく。


 弱った魔王が倒れる際、勇者は魔王の言葉を確かに聞いた。

「どうしてですか」

「何故あなたは見捨てるのですか」

「魔王など、なりたくはなかった」

悲しそうにうち崩れる魔王にオトコは静かに近づき、そっと頭に手をあてると、静かに言った。


「つらい役目すまなかった」

「開放する。楽になれ」

そう言って手をかざすと、魔王の姿がうすれ、

「いつか必ず⋯⋯⋯」

とかすかに聞こえたと同時に消えた。


煙が切れる前、勇者は少しオトコを睨んだあと、

「終わったな」と肩を組んだ。


「いいのか?」諦めたような顔から不思議そうに勇者をオトコは見る。


「何のことだ?まー、何か因縁か、何かあるだろうが、魔王を倒したのはお前だ」

それを聞いて考え込むオトコに続けて、

「お前のことは、信頼してる。何年の付き合いだと思ってるんだ」

肩をバンバンたたきながら、

「まー、ないだろうが。お前がおかしくなってるなら、俺が止める。そんなことさせんなよ」


 少しの涙を浮かべ、それを隠すようにオトコは

「分かった。そのときは遠慮なく切ってくれ。お前なら、いい。

 まー、おかしくはならんとは思うけど、その時は⋯⋯」

 そう言って、少し頭を下げる。

「気にすんな。周りがうるさくても、嫌になったら来い。いくらでも付き合う」  

屈託なく笑う勇者に

「そうだな。魔王の話もいつかするよ」と、

顔を上げるオトコに

勇者が手でシーと静かにするよう、合図する。

OKサインとともにオトコを連れて、パーティーに戻り一緒に喜ぶ。


 



 






 

 

 

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