8月27日 二度目はねぇ
鴻野と葉山の力の差は、歴然だった。こんなに遊ばれるなんて。俺は、ただ見るだけしかできない自分に腹が立つ。なんだろう?この差は?場数か?それとも才能か?俺が、いろいろ考えていると、ケンカは、終わりを迎えたようだった。
葉山「おい、2年。気が済んだか?」
俺は、倒れて起き上がれなくなっている鴻野を見つめていた。
葉山「まだ、やれる奴いるか?俺は、まだまだやれるぞ」
1.2年から向かい撃つものは、いなかった。
難波「葉山、煽るな。もう帰るぞ」
葉山「はいはい」
煽る葉山の近くまできて、難波は、制した。俺は、地面に拳を叩きつけた。何もできない、、。こんなものか?
難波「おい、1、2年」
俺たちは、難波の方を見つめた。
難波「俺たちとやりたきゃ、30人集めてこい。中途半端にケンカなんかやるから負けるんだよ」
難波だけでなく、チーム「TWO」の村崎や直江も見ていた。簡単に言えば、"俺たちに喧嘩売るな"っていうことだろう。難波たちは、笑いながら、体育館を後にした。過ぎ去っていくチーム「TWO」たちの後ろ姿を見ながら、後悔だけ残ってしまった。今日ほど、悔しい日はない。
鴻野「あぁー」
痛がる鴻野に声をかけた。
俺 「大丈夫か?」
鴻野「まぁ、いてぇけどな」
俺 「なんで、あの時、あんな風に言った?」
鴻野は、葉山とやる前、俺に向かって、"葉山は、強い。お前が負けたら、二度目はねぇ"。と言い放ち、俺が喧嘩するのを止めた。あの時、俺が喧嘩していたら、葉山に勝てたのだろうか?
鴻野「お前が、うちのてっぺんだろ?」
そんなことを言われるなんて思ってなかったから、何も言えないでいた。
俺 「‥‥」
鴻野は、立ち上がり、俺のもとへ来た。
鴻野「梶原、俺らは、コイツで決まりだろ?」
梶原「あぁ。俺がお前にやられた時から、それに決まっていた。後は、お前が好きに使え、俺たちを、、、」
梶原は、座りながらタバコを吸い始めた。どこか、清々しい様にも見えた。
俺 「そういうのに俺は、興味ねぇ。やりたきゃ勝手にやれ」
俺は、そう言って体育館をさった。鴻野や梶原が、そう言ってくれるのは嬉しいけど、誰かと連むことに俺は好まない。これからも、一匹狼でやっていく。右足を引きずりながら、歩き出した。