10月31日 vs緒方大和(第2ラウンド)
夕方になり、屋上も薄暗くなっている。俺か緒方か?どちらかしかない。緒方は、息を切らさず、俺の方を見ていた。風が静かに通り抜け、俺たちのケンカを待っているようだった。張り詰めた空気に静寂と緊張が入り混ざる。身長は高くないが、強靭なな体つきで俺の方に向かってくる緒方の威勢。鋭い眼差しを俺の方に向け、ただただ、見つめることができなかった。昨日のケンカは、今日再び行うことになったのだ。拳を握りしめている緒方は、何か言いたそうな様子だ。目の奥には、何かを想う決意のようなものを感じる。俺たちの間には一定の距離がある。
昨日いなかった生田目が俺たちの方を見つめていた。緊張感がないのか、俺は意外と冷静だった。「いくぞ、川原!」。緒方の低い声が聞こえてくる。髪をかきあげながら声をかけながら、右腕を差し出した。これは、昨日コイツにやられたポーズだった。俺の余裕と挑発にいらだったのか、さっきと大きく表情が崩れる。緒方は目を細めて答えた。「死んでも後悔すんなよ?」ゆっくりと、構えを整えた。くる。俺は、いつ来てもいいように拳を突き出した。
次の瞬間、緒方は走り出していた。アスファルトを踏みしめる音が響きわたった。その瞬間、何かが弾けるように、俺は構えた。緒方との衝突は避けられない。俺も真っ向から受けてたつ。しかし、緒方は手や足ではなく頭突きだった。まさかだ。一瞬の出来事で、俺はどうすればいいかわからなかった。激しい音もないまま、後ろに弾き飛ばされた。決して体格面で恵まれているわけではないのに。再び、目を合わせると次の瞬間には、俺と緒方の距離は詰まっていた。次から次に出てくる緒方の攻撃。これには、俺もどうしたらいいかわからなくなる。殴り合いの予定が一方的な展開。
さっさと止めないと。仲間を殴るのは気が引けるが、こんなところで終わってたら俺がやられてしまう。これは、ただのケンカではない。自分にそう言い聞かせて立ち上がった。俺の経験でいくと、緒方はここからの展開も既に計算しているはず。ケンカIQが高い緒方にとって頭脳戦は避けたいところ。緻密な読み合いはせず、俺は真っ向からぶつかる。それしかない。俺の動きに反応し、攻撃をかわした瞬間、間髪入れずに次の一手を繰り出した。俺の拳は、緒方の腹部を直撃し、後ろに倒れ込んだ。「悪いな、緒方!こっちは、チーム背負ってんだよ」。俺は、緒方への攻撃を開始したのだった。




