10月30日 vs緒方大和
合宿3日目。俺たちは、最後の力を振り絞りながら、ミットに打ち続けた。やっぱり、ケンカするには体力がいる。この当たり前のことになんで気がつかなかったのだろうか?無心になって腕を動かしていく。今のままだと強くなれない。自分にそう言い聞かせた。さっき、鴻野から連絡が入った。鴻野曰く、杉崎という男に出会ったらしい。その杉崎は、俺たちの緒方の場所を探しているとか。鴻野は、知らないと話し続けたのと交換に、塩谷の場所を聞き出した。
緒方「お前本気か?」
俺 「当たり前だろ?」
後ろから見ていた緒方に挑発をされた。打ち続けていた手を止め、後ろに下がった。
緒方「なんか迷ってないのか?」
俺 「迷ってるよ」
半分くらい言いそうになった。
緒方「何に迷ってるんだ?」
俺 「このままテッペンとれるかだよ」
緒方「そりゃあ、とれるだろ」
強気の発言は今の俺にとってはありがたかった。
俺 「とるんだけどな、なんていうか」
緒方「そんな弱気ならやめてしまえよ」
俺 「面白いな、お前。どっちが強いかもう一回決めようぜ」
気がついたら、ケンカを挑んでいた。そう思えば、コイツとケンカはした記憶があまりないな。
緒方「のぞむところだ」
俺 「負けてもしらねぇぞ?」
緒方「わかってるよ」
もし、ここで負けるようなことがあれば、コイツに杉崎のこと言わないといけない。言うのはいいけど、コイツがなぜ追われているのかは気になっていた。
俺 「お前、杉崎って知ってるのか?」
緒方「杉崎?」
俺 「ああ」
今の反応だけではわからないな。
緒方「その杉崎がどうしたんだよ?」
俺 「知ってるんだったら何者か答えろ」
緒方「別に知ってるとは言ってない」
なんなんだ、コイツ。なぜ、そこまで必要以上に隠すんだよ。
俺 「どっちなんだよ?早く言えよ」
緒方「そんなに焦んなよ」
俺 「あ?」
すぐに答えない緒方に対して、だんだん怒りが込み上げてきた。もういい、コイツをぶちのめす。
緒方「本気でこいよ?」
緒方の右手がゆっくり上下する。
俺 「負けてもしらねぇからな」
勢いよく走り出した。何もかも考えずにケンカをする。それが俺の真骨頂だった。俺の拳を真っ向に受けて立とうとする姿は、男らしくとてもかっこよかった。俺は、コイツに勝てるのだろうか?




