10月28日 合宿
この屋上から見える薄曇りの空の下は、もう何度見たことだろうか?いつも、ここから向こうの廃校跡を眺めていたのだ。今は、呼び出された2年の不良と緒方がケンカをしていた。10人くらいの不良達が一斉に緒方を狙い撃ちしてくる。みんな荒れた髪と鋭い目つき、次から次へとやってくる。しかし、不良たちをあざわうかのように、攻撃をしていく。
緒方「ここには、いねぇのか?不良がよ?」
起き上がってくる不良の攻撃もよけ、返り討ちにしてしまう。一網打尽にしていく緒方の様子を見ていると凄いとしかいいようがない。もっともっとレベルアップすれば確実に勝てる。俺は、そう信じて疑いようがなかった。
緒方「本気で来いよ!本気で?」
真の姿を見ているのか近づこうとする者が一人もいない。緒方の煽りに対して、誠心誠意ぶつけようとするコイツらの姿を見ると、無性に心が苦しかった。なんだろうな?この感じ?地面に這いつくばる不良達は傷だらけの制服を身にまとい、野生の獣のように叫んでいた。
俺 「もういいんじゃねぇか?」
緒方「あ?」
ダメだ。さっきの生田目同様、走り出したら止まらない様子。誰かケンカの相手をしてくれなかったら、コイツこのまま帰ってしまうんじゃないかという感じだ。でも、見渡す限り、やれそうな奴はいない。ここは、俺が出るしかねぇか。一度仲間に入った奴とはケンカをしないと決めていたけど、こればっかりは仕方ないか。俺が前に出ようとした瞬間、遠くから光がさした。光ともに、ゆっくり歩いてくる。ゆっくりではあるが、確実に近づいてくる。それだけは、わかった。
緒方「誰だお前?」
さっきまでの不良達とは一味違う。それは、歩いている姿を見ればわかる。細身だが、眼光は鋭く、緒方の威勢にも全く負けてない。緒方に対して睨み返しているくらいだ。今すぐにでも、向こうは火花を散らしてきそうな感じだ。おそらく、ここで二人がケンカをしたら、大変なことになる。初対戦の相手だし、必ずしも緒方が勝てる保証もない。でも、ここでコイツとケンカすることによって、俺たちがワンランク高いところにいける可能性があるなら、それはお願いするしかなかった。
緒方「誰だよてめぇ?」
俺たちの前にいた不良は、いきなり走り出した。やばい、不意を疲れた。緒方は、少し間合いをとり一方下がった。いきなり、男の拳が火花を散らした。




