10月2日 緒方大和vs山野幸成
いつものように喧嘩の後は治療だ。
ー10月1日ー
1番手の緒方は、軽く伸びをしてから相手を睨んだ。鷲尾のチームは、山野という奴だった。俺たちは、教室の中で、二人の男たちが向かい合って立っているのを見届けた。生田目たちは、廊下からエールを送っていた。二人は、顔を合わせると、何かに念じるようにじっと黙りこんでいる。なんとも不思議な様子だ。廊下には、俺たちだけじゃなく、梅澤たちがやってきているのがわかった。
梅澤「何してんだ?」
俺 「タイマンだよ。見たらわかるだろ?」
梅澤は、スカしたような表情をしながら二人の様子を見ていた。タイマンは、どうやら緒方有利で始まっているみたいだった。
梅澤「もう、俺ケンカはやめるわ」
俺 「へぇー」
山野は、鋭い目つきをしているのに対し、緒方は、とても冷静な表情をしていた。
梅澤「なんだよ?」
俺 「弱いのわかったか?」
緒方が山野を潰しにかかる。そうすると、緊張した空気が続く。圧倒的な差が見られていた。緒方の顔面への攻撃音が響く。山野の動きが段々弱くなっていく。
梅澤「まさか」
俺 「じゃあ、どうしてだ?」
梅澤「ケンカしても、一人だと勝てねぇだろ?」
俺 「‥‥‥」
これは、俺が『TWO』と初めてやりやった時に感じたものだった。
梅澤「ケンカは勝たなきゃ意味がないんだよ。勝つためにはチームが必要だ」
俺 「お前にもチームが必要なんじゃねぇのか?」
梅澤「負けるくらいならチームなんて作らないほうがマシだ」
二人の闘いが終わり、周りから大きな声援と歓声が湧き上がった。勝った緒方は、どこか納得していないみたいだった。
俺 「負けるくらいなら一人の方がいいな」
梅澤「だろ?だから俺は、これから一人でいる。それの方が楽だ」
俺 「それでお前が本当にいいならいいけど」
梅澤「あぁ、俺は問題ねぇ」
勝った緒方は、負けた山野に対して、手を差し伸べた。
俺 「そんな強いチームでやりたいなら、俺のところにこい」
梅澤「は?ふざけんな。なんで、俺がお前みたいな奴とやらなければならないんだ」
俺 「あっさり負けを認めるならそれはそれでいい」
梅澤は、俺の方を見てきた。
梅澤「お前らより、弱いと思ったことは一度もねえ」
俺 「面白い。だったら、今日、シロクロつけようじゃねえか」
梅澤「いいぜ。知らねぇぞ、負けても」
鬱陶しいはずなのに、どこか喜んでいる梅澤がいた。




