9月3日 因縁
今日の授業は、朝からほとんど聞いてない。放課後、スマホを触っていると、後ろの扉が開いた。教室にいた俺たちは、全員後ろの扉を見つめた。そこには、緒方が。カレー屋の時と違って、髪を上に上げていた。緒方は、教室に入るなり、後ろから2番目の席にすわった。教室内は、ざわついていた。机にカバンを置いた後、緒方は、教室を見渡した。俺に目が合うと、そのまま、俺の方に来た。
緒方は、右手を挙げた。
俺 「ちゃんと来たんだな?」
少し照れるさそうに、笑った。
緒方「また、俺の店で金おろせよ」
俺 「勝ったらな」
すると、後ろにいた生田目が横にあった机を倒した。
生田目「緒方ー」
俺たちは、生田目の方に目を向けた。
生田目「まだ、俺は、テメェを許してないぞ」
緒方 「俺も許した覚えはねぇ」
目の前で、何が起きているのかよくわからなかった。
生田目「偉そうに。決着つけようや」
緒方 「上等だ」
生田目と緒方は、教室を出て行ってしまった。
鴻野「梶原、どういうことだ?」
鴻野は、クラスの状況に詳しい梶原に声をかけた。
梶原「さぁな。昔から、因縁の相手なんじゃねの?」
少し、前にいた梶原は、口ごもる。
鴻野「もう少し、詳しく教えろ」
梶原「俺に指図するな」
鴻野「はぁ?」
ただでさえ、空気が悪いのに、ここで揉めたら、さらにめんどくさくなる。
俺 「やめとけ、鴻野」
珍しく、俺は冷静だった。
俺 「梶原、教えてください」
梶原は、バツが悪そうだった。
梶原「もともと、中学校の時から、知り合いらしいんだ。アイツらは、、、」
俺は、息を呑んで、梶原の話に耳を傾けた。
梶原「今年、同じクラスになった時、事件が起きたんだよ」
俺 「なんだ、その事件って」
梶原「梅澤と生田目のタイマンだ」
そんなものがあったのかぁ。
梶原「当時、生田目は、利き腕が使えなかったんだ。だが、梅澤に殴り続けた。その様子を見た、緒方が止めに入ったっていうのがあって。でも、生田目として、緒方に助けてもらうのは、プライドがな許さなくて」
梅澤って、この前の長身野郎か。
俺 「梶原、ありがとな」
俺は、机から立ち上がり、教室の扉に向かって歩き出した。
梶原「どこ行くんだ?」
俺 「二人を止めに行くんだよ」
梶原「やめとけ、また、キレられんぞ」
俺 「そんなの、黙らすに決まってんだろ」
俺は、梶原を振り切って、そのまま教室を出た。アイツらは、どこにいるんだ?目立たない場所と言えば、体育館裏から屋上。ただ、この時間の屋上は、多くの人がいる。そうなれば、体育館裏しかない。しかし、あそこは、、、。