心の声
公爵邸の応接間
メイドからお茶を出され、暫くラウルと話していると、
レティがガウンを着て侍女に手を引かれ部屋から出てきた。
階段を降りる足取りがヨロヨロとしていた。
慌てて走っていき、レティの手を取った。
「 まだ、無理しちゃ駄目だよ 」 レティをお姫様抱っこで抱き上げ、階段を降りた。
レティをそっとソファーに座らせた。
ラウルがレティの額に手をやり、まだ少し熱はあるよ。
……と優しく言う………
レティが、大分気分は良いとラウルに笑い掛けていた。
兄妹だが………
兄妹だが………ラウルにムカついた………
「 殿下、あの、マーサに叱られました、殿下は看病してくれていたのに……ご免なさい 」
仔犬の様に耳を垂れ、シュンとしていた。
ああ、それを言う為に俺の所まで来てくれたのか……
愛しさに胸が熱くなる。
「 やっぱりまだ熱があるね 」
レティの頬を触ると少し熱かった。
いや、それは別の熱だよとラウルがニヤニヤしてる。
レティは真っ赤になっていた。
「 レティ、少しでも食べれる? 」
母上殿が応接間に入ってきた。
続いて、オートミールのミルク粥を侍女長がワゴンを押して入って来た。
「 お母様、心配掛けてご免なさい 」
公爵家では家族の誰かが熱を出すと、母親が手作りのミルク粥を作ってくれるらしい。
テーブルにミルク粥が置かれた。
「 有り難うお母様、頂きます 」
「 僕がフウフウしてあげようか? 」
「まあ、殿下ったら 」
……と、母上殿はコロコロと笑う。
「 また、熱が上がるぞ 」
……とラウルがニヤニヤしながら言った。
レティは真っ赤になりながら、ハフハフしながら食べていた。
可愛いな~っとじっと見る。
「 殿下、そんなに見られると食べにくいです 」
「 じゃあ、食べさせてあげるよ 」
「 自分で食べれます 」
おかしい………
ラブラブ感が無い。
「 でんか……ずっとずっとお慕い申しておりました……」
頭の中でリピートする。
ずっとずっと…………?
よくよく考えたら違和感のある告白だった様な………
「 ねぇ、レティ、部屋で言った言葉を覚えてる?」
「 ………ご免なさい、出ていけだなんて……… 」
「 いや、その前にレティが言った言葉………」
「 ?………何か変な事を言いましたか? 」
レティが不安そうに尋ねてくる。
「 いや、気にしないで 」
覚えて無いのか………
ちょっとガッカリする。
夢か………
俺がした告白への返事では無いんだな。
まあ、それでも良いか………
レティの心の声が聞けただけで………
俺の事を好きだと思って良いんだよね。




