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4度めの人生は 皇太子殿下をお慕いするのを止めようと思います  作者: 桜井 更紗
第1章

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初めての看病




公爵邸に着く。

レティは、まだ熱が下がらず寝てる様だ。



侍女がレティの部屋から出てきた。


汗を拭き、着替えをさせて、今からシーツを取り替えるから

レティを抱き抱えて貰う為に、ラウルを呼びに行くと言う。


「 わたしがするよ 」


侍女は少し戸惑ったが、では、お願いしますとレティの部屋に案内した。



部屋に入ると、レティは眠っていた。

レティを起こさない様に、そっとお姫様抱っこで抱き上げた。


ふわっ………

軽い………

こんなにも小さいものかと愛しくなる。



身体が熱い………

レティの頭に頬を寄せる。

愛しくて愛しくて胸が切なくなる。


侍女がシーツを替えて、その取り替えたシーツを持って部屋を出て行った。



そっとベッドに下ろし、布団を掛ける。

彼女はスヤスヤと寝息をたてていた。


暫くすると、侍女が冷たい水の入った手桶とタオルを持って来て、レティの頭を冷やすと言う。

それもやるからと言って手桶を受けとる。



タオルを冷たい水で絞り、レティの頭に乗せた。

生まれて初めて人の看病をする………



そこにラウルが来たので、少し話をした。

たまに目を覚まし話も出きるが、ずいぶんぼんやりとしていて、熱が上がると魘されているらしい。



彼女は以前、身体が3つ欲しいと言ってた事を思い出した。


それだけ、色んな物に挑戦し、頑張って来た。

騎士クラブでの訓練が、身体に悲鳴をあげさせる直接の原因になったらしい。

そして、レティは冬期休みに入ると、毎朝、公爵邸の庭で剣の訓練をしていたらしい。



唖然とした………

彼女が何かを成し遂げ様としてる事は分かるが……

成し遂げたい物は何かが分からなかった。


まるで生き急いでいるかの様な………




暫くして、ラウルは侍女を下がらせ

「 病人なんだから、寝込みを襲うなよ 」

……とニヤニヤして出て行った。


襲うわけ無いだろ………と苦笑いをした。



暫く、静かに水に濡らしたタオルを取り替える作業を繰り返す。





するとレティが魘され出した。



閉じた目から涙がツーっと流れた。

涙を拭おうと手を伸ばそうとした時に




「で……んか………」



……と微かに呼んだ………




「 僕はここにいるよ 」




そう言ったら

レティはおもむろに目を開けた………



そして細く白い手が俺の頬に伸びてきた。




「 でんか……ずっとずっとお慕い申しておりました……」




涙をボロボロ流しながら、少し笑顔でそう言った。

そしてまた、彼女は眠りについた………





心臓が破裂しそうだった……

嬉しくて、嬉しくてどうにかなりそうだった。



でも…………

悲しい悲しい告白だった………




レティの額に手をやると、熱は少し下がった様だ。



額の髪を分けると

牧場で見た、風であらわになった時の、まあるいオデコのまだ幼い顔があった。



可愛いな……

長いまつ毛

桃色に染まった頬。

可愛い鼻

赤く小さなまあるい唇


赤く小さなまあるい唇………


気が付くとレティの唇にキスしようとしていた…………

バッと顔を上げて辺りを見回す。


危なかった………

ラウルに警告されたと言うのに…………




そこでレティがぼんやりと目を開けた。



「 レティ、水飲む? 」

そう言うと、彼女はコクンと頷いた。

可愛い………



水差しからグラスに水を入れ、レティの赤く小さなまあるい唇に持っていく………

レティを抱き抱える手に、寝間着を着てるだけの彼女の柔らかい身体を感じる………

胸に目が行く…………



駄目だ。

僕は可愛い羊だ、狼じゃない………

羊だ、羊だと言い聞かせる。



レティは余程喉が乾いていたのか、ごくごくと水を飲み干したが、まだ飲み足りなさそうにしていた。

水差しから水をグラスに入れ、レティの後ろから抱える様にしてまた飲ませる。


美味しそうにごくごくと飲んでいる……


赤く小さなまあるい唇から、白い首筋に目をやると、ごくごくと喉が動く………

そして………胸に目をやる……………



駄目だ!

皇子様だ!

僕は羊の皇子様だ………と理性を奪い立たせた………




「 殿下? 」



飲み終わると、レティが俺の腕の中から見上げて来た。

うわっ、可愛い………理性が崩れそうになる。



「 うん、大丈夫? 」

「 はい………私、長い長い夢を見ていた様です…… 」


レティは甘える様に、頭を俺の胸にクイクイっと押し当てて来た………

どうしょう………

こんな可愛い生き物をどうしたら良いんだ………





すると………

「 殿下!?」



すっとんきょうな声を出し、見上げて来た。

レティは初めて俺を認識した様だった…………



「 えっ!? 」

レティは辺りを見渡し、そして、自分の様を見た。

俺の腕の中で、すっぽり抱え込まれている。



顔がみるみる真っ赤になり


「 殿下! 何でここにいるんですか!!!」

「 君が心配で………」

 慌てて弁明する。



私は寝間着姿なのにと、怒る怒る………


「 マーサ、マーサ、殿下を追い出して!!!」


「 分かった、分かった 」

両手を胸に上げて、降参ポーズを取りながらレティから離れ、部屋を出た。




居間でラウルが笑いこけていた。






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