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悲しいカウントダウン



新しい年が明けようとしていた…………



リティエラ・ラ・ウォリウォールは15歳。

彼女は3度もループした人生の中で、己の命のカウントダウンと向き合って生きていた。




もう、死にたくは無い。

ループもしたく無い。

その理由は…………

アルベルト皇太子殿下に愛されてる4度目の……

今の人生を全うしたかったからだ。



未来に………

シルフィード帝国のアルベルト皇太子殿下が、イニエスタ王国のアリアドネ王女と婚約し、結婚したとしてもだ。



殿下との、つかの間の幸せの想い出を抱いて生きて行く。

………生きて行ける。


その為には、何としても生き残らなければならない。


いや、たとえ死んだとしてもループだけはしたくない。

4度目の今の人生以上の人生は、もう無いと思うから………






******





新しい年が明けた。



新年早々、皇宮では新年祝賀行事がある。

皇帝陛下と皇后陛下と皇太子殿下への新年の挨拶を、高位貴族達が次々に行う。


その後に、3人が皇宮バルコニーにお出ましになり、新しい年を迎えた事を国民達と祝うのである。



3人がバルコニーに立つと大歓声が上がる。

自然と笑顔になり、手を振り、国民達を見渡す。



新年を祝う声、シルフィード帝国万歳と叫ぶ声、皇帝陛下万歳、皇后陛下万歳と叫ぶ声………

「皇太子様~」「アルベルト皇子様~」……と、17歳の美丈夫である若き皇太子殿下に向けられる熱い眼差しと、黄色い歓声は特別だった。



皇帝陛下は茶色の髪にブルーの瞳、皇后陛下はハニーブロンドの髪に薄い琥珀色の瞳。



二人の良いところだけを引き継いだのが、アルベルト皇太子殿下である。



皇后陛下似のブロンドの髪は、皇后陛下よりは薄いが輝く様にキラキラしていた。

皇帝陛下似のブルーの瞳は皇帝陛下よりは薄く、綺麗なアイスブルーの瞳だった。


皇帝陛下の背も高かったが

17歳のアルベルトは父よりも高く、実は、身長はまだ伸びているらしい。



正装である白の軍服に赤のサッシュ、真紅のマントを着用したアルベルトは、それはそれは凛々しく尊くもあり、誰もが見惚れる美丈夫だった。






あれ? レティが居ない



バルコニーから民衆に手を振りながら、貴族席を見ると、そこには宰相のルーカスとラウルがいるだけで、レティの姿は無く、母親の姿も無かった。




アルベルトは、新年祝賀会の行事の準備が忙しく、マフラーを貰った時以来、レティの姿は見ていなかった。



建国祭の時は、ハートを贈ったら打ち返されたっけ………

今日はレティと何して遊ぼうかな………とワクワクしていたのだった。




何だか胸騒ぎがした………



式典が終わり、ルーカスに聞くと

レティは昨夜からの高熱で臥せっているとの事だった。



見舞いに行きたいと告げると、まだその高熱が風邪なのか何なのかが判明せず、

「 殿下に移すわけにはいきませんので、まだご遠慮下さい 」と言われた。



ルーカスはこの後、新年宮中晩餐会には出席したが、その後にある舞踏会には欠席をした。


余程の事が無い限り、公務の欠席なんかした事の無い宰相ルーカスが欠席したと言う事は………

それだけレティの体調が悪いのかと不安で眠れない夜を過ごした。



翌日にはレティの症状は風邪や他の流行り病でも無く、疲労の蓄積による体調不良だと診断されたが、未だに熱は高く、意識も混沌としている状態だと告げられた。



アルベルトは、いても立ってもいられず公爵家に駆け付けた。







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