運命の二人
楽しい事の前には試験を乗り越えなければならない。
学期末試験が始まった。
結果は前回と同じ様に
アルベルトは500点満点で首位。
そしてレティも600点を取っていた。
やはり、物理のモーリス先生が200点を譲らなかったのだ。
「 ウォリウォール君は天才だ 」
誰もがそう称賛した。
天才じゃ無いわよ。
勉強をしたからに決まってるじゃない。
1度目の人生では、10位内に入る位には何時もいたが、それは兄ラウル達と同じ様なもんだとレティは思っていた。
それに3度も1年生をやってたら、出る問題が分かってるんだから、100点取れるに決まってるわ。
天才と言うなら殿下よね、聞けば1年の時もパーフェクトだったとか………
おまけに魔力まであるんだから、笑えるわ………
そんな事を考えながら歩いていたら
「 重そうだね、手伝おうか? 」
殿下がヒョコッと荷物を持ってくれた。
私はモーリス先生に、恥ずかしいから止めて欲しいと文句を言いに行ったら、反対に教材を運べと言われて、クラスまで教材を運ばされていた。
殿下は、クラウド様と学園長の応接室から出て来た所だった。
あっ……
多分、あの酔っ払い達の襲撃事件の後始末に来たのかも………
二人に挨拶をし、
「 あの、私のクラスは殿下のクラスと反対方向なので………」
「 いいよ、持っていくよ 」
と、殿下が言う。
「 では、殿下、私はこれで……」
「 ああ……」
クラウド様がニコニコしながら、私にも会釈をして帰って行った。
殿下は私のクラスの方にスタスタと歩き出した。
歩きながら
「 学園長と副学園長の処罰を聞きたい? 」
………と殿下に言われたが
もう、どうでも良かったので聞かない事にした。
1年B組の教室に到着し、私がガラガラとドアを開けたら
殿下が教室にスタスタと入っていった。
いきなりの皇太子殿下の登場に私のクラスはパニックに………
教材を教壇の上に置くと
「 じゃあ、またね 」
………と、殿下が私の頬に手をあて教室を後にした。
キャーっと黄色い声が上がった。
私も、クラスの皆も赤くなる…………
やっぱりね………とユリベラとマリアンヌ達。
いや、私達お付き合いしてませんから…………
「 成る程ね、これか……… 」
クラウドが頷いた。
護衛騎士達の、お二人はよく遭遇される………と言う報告を思い出した。
まさか、あそこにリティエラ様がおられるとは……………
運命の二人は自然とよく出逢うとか………
殿下にとっては運命の人なのかも………
クラウドは嬉しくなった。




