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4度めの人生は 皇太子殿下をお慕いするのを止めようと思います  作者: 桜井 更紗
第1章

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特別な人



12月に入り

街はクリスマス一色になる。


休日の午後

私はクラスメイトのユリベラとマリアンヌと一緒に

白いコートを着て、クリスマスプレゼントのお買い物に来ていた。



料理クラブで仲良しのスーザンの店の輸入雑貨屋さんに来ていた。


「 リティエラ様は皇太子殿下に何を贈られるのですか? 」

とユリベラが言う。


「 クリスマスはお二人でお過ごしになるのですよね? 素敵だわ 、もしかして、皇宮で………」

妄想大好きのマリアンヌがうっとりしている。


そう、デビュタントがまだの私達1年生にとっては、皇宮は憧れなのだ。



「 えっ? 」………と私。

「 えっ? 」………とユリベラとマリアンヌ。


「 殿下とはお付き合いはしてませんわ 」

「 まあ、お仲がよろしいので、もうお付き合いをされているのかと……… 」

「 殿下は兄のご学友なだけですわ 」

間違ってはいない。



でも、プレゼントは買いたいかな。

勿論、お父様やお母様、お兄様とエドやレオのも………


貯めたお小遣いで買えるもの………

本当はデザイン料でお金はたんまりあるけれど、

それは未来への貯金ですから。


お父様とお母様にはお揃いの手袋。

お兄様とエドとレオには色違いのループタイ。


殿下は………

色々とお世話になってるから。

マフラー?

マフラーは嫌かしら?

マフラーに刺繍をして………

色は………白

殿下は喜んでくれるかしら………



お買い物袋を持って店を後にした。

広場近くに来ると………

皇宮騎士団の人達が馬に乗り、街の憲兵隊が人垣の整備をしていた。

皇族の誰かが通るんだわ。



道が大きく開かれ

ザワザワとする雑踏の中

馬の蹄の音とカラカラと馬車の車輪の音が聞こえてきた。


そこに…………

皇太子殿下専用馬車がやって来た。

周りが一段とざわざわとしてキャーと黄色い声があがっている。


あっ、殿下は今日はご公務だったのね。

あの馬車の中に殿下がいる………

そう思っただけで胸がキュンとなった………



「 皇太子殿下を想うだけで胸がキュンとするわ 」

「 素敵よね、本当に特別な人だわ 」


周りで女性達が口々に愛を囁き、頬を染め馬車を見つめている………

そう、殿下は我々国民にとっては、誰にとっても特別な人なのよ………

うん、うん、私も同じ気持ちよ………

………と、しみじみしていると………




「 公爵令嬢様、皇太子殿下がお呼びです 」


へっ?!


見知った顔の殿下の護衛の人が、ニコニコしながら私に近付いて来た。

人垣がさっと割れ、皆の視線が私に突き刺さる………



誰ですか?

公爵令嬢とは私の事ですか?

頭がパニック状態だ。



「 公爵家の御者には連絡しておきますから、どうぞ………殿下がお待ちです 」


ユリベラ達を振り返ると、キャアと頬を赤く染めながら、行ってらっしゃいと手を振っていた。



護衛騎士の人に促されて歩いて行くと、馬車の横に立つ護衛騎士の人が馬車のドアを開けてくれる。

皆、ニコニコしていた。


中から手が伸びてきて、私が持っていた買い物袋を先に取り、次に私の手を取って中に入れてくれた。


「 やあ、レティ、お買い物? 」

殿下は破顔していた。


扉が閉じられ、2人を乗せた馬車がカラカラと静かに動き出した。



殿下だわ。殿下がいるわ。何か変な感じだわ。

じっと殿下を見つめる………


「 何?レティ、僕に見惚れてるの? 」


「 白の妖精さんがいると思ったら、レティだったからビックリしたよ 」

殿下が嬉しそうだ。



私はまだ殿下を見つめている。

「 レティ、ぼーっとしてるとキスするよ 」

殿下がニヤリと笑う。



「 あっ………殿下ご機嫌よう、あの……ご公務ですか? 」

「 まあね、港街の両替商にね、奴らに腹が立ってイライラしてたんだ 」



「 良かった、レティに会えて…… 」

殿下は私の頬に触ろうとする………




「殿下、街で私を拾うのは止めて下さい、恥ずかしいです 」

「 拾うって…………」

殿下がクックッと笑い出した。

「 じゃあ、拾った子猫ちゃんはこのまま皇宮に連れて帰ろうかな 」



殿下はやたらと私を皇宮に連れて行きたがる。

お寂しいのかな………



「 拾った猫はお城には入れてはいけません、夜な夜な化け猫になり、お城の者を拷問部屋送りにするのですから 」

「 レティ、また変な本を読んだの? 」

「 魔法使いと拷問部屋 2」


「 その本、まだ続いているの? 」

2人で笑い合う。




ふと、思った。

今、私は………

街の人達から見ると、特別な人なんだろうな………と…………








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― 新着の感想 ―
[気になる点] 一人の人物が喋ってるのにカギカッコが切り替わってるのが、ものすごく読みにくいです。 >「 まあね、港街の両替商にね、奴らに腹が立ってイライラしてたんだ 」 >「 良かった、レティに会…
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