兄妹対決の幕が上がる
シルフィード国には4度の皇帝主宰の行事がある。
1月にある新春祝賀祭、3月に生誕祭、6月に軍事式典、10月に建国祭である。
それぞれの夜には盛大な晩餐会が開催される。
その時に成人する16歳の貴族の男女が、親子揃って皇帝に謁見し、皇帝直々に成人を祝われる事になるのだ。
貴族にとっては一大行事となる。
因みに…………
16歳の時に留学していたラウルとエドガーとレオナルドは、アルベルトの成人の祝いでもある、立太子の礼の時の舞踏会の時に、皇帝から祝われていたのである。
今は10月
建国祭で国中が祝いモードに突入した。
立太子の礼の時と同様に、街には帝国の旗が至る所に掲げられ、花で飾られた。
1週間前になると、他国の招待客がお祝いにと続々と来国し始めた。
宮殿は一気に忙しくなり、
アルベルト皇太子殿下を学園では見掛けなくなった。
「忙しいんだろうな………」
レティの父親である宰相ルーカスも帰宅は深夜になっている。
母は晩餐会のドレスが届き嬉しそうだ。
勿論、過去にお洒落番長だったレティは、容赦なくデザインに参加し、その出来具合に満足していた。
秋と言う事もあり、ボルドーの生地でシックに仕上げ、襟は広目のV字でスッキリとし、胸元の大粒の宝石のネックレスが大いに映える様にした。
腰から下はたっぷりのドレープで優雅さを強調したドレスになった。
よし、このデザインならご婦人達の注文が入るかも………フフフ………
お母様、頑張って!
学園では学園祭の準備が各々のクラスで始まった。
全クラス対抗で優勝クラスを決めるのだった。
優勝クラスは投票式で、学園祭の最後に発表される事になる。
レティのクラスの1年B組ではなんと
『悪役令嬢喫茶』に満場一致で決まった。
レティは大いに乗り気だった。
ヘアースタイルは縦ロールに大きなリボンね………
皆であーでも無いこーでも無いと熱心に話し合っていた。
その頃、アルベルトやラウル達のいる3年A組も盛り上がっていた。
『皇子様ご奉仕喫茶』
これは、アルベルトが建国祭の公務の為に欠席してる間に、ラウル達が決めてしまったのだった。
「本物の皇子様がいるんだから利用しない手は無いよな!!」
これで
ウォリウォール家の兄妹対決の幕が上がったのだった。
皇子様の知らないうちに………




