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初めての応酬








レティは子供の頃から物怖じせず、好奇心旺盛で、集中したら周りが見えなくなる様な、猪突猛進気味な所があった。


街へも平気で行き、何でも事後報告になり、

それを懸念した父親ルーカスがある程度の護身術を習得させていた。


流石に、今は1人で出歩く事は無いが

ある日ラウルに剣の相手をしろと言い、2人は手合わせをした所、レティは剣の腕も立つらしい。


「そこらのゴロツキならレティは負けないね」………と、ラウルが言っていた。





成る程、その延長か………





すると、


「私、アーチャーになりたいの」


…………アーチャーだって?!

アルベルトは聞き慣れない言葉に驚愕する。



「 アーチャーになって、殺傷能力のある弓矢を作り、それをどうするつもり? 」

「あら、殿下は危機管理がなって無いわ、備えあれば憂いなしとも言うし………」



危機管理がなって無いと言われて皇太子としては黙ってはいられない。



「今は、皇帝や大臣達の努力により、他国との関係も良好だ、それなのにむやみに軍事に力を入れれば、戦いの覚えありとし、他国から警戒され下手をすれば戦争が始まるかも知れない」



「何も………戦う相手が他国だとは限らないわ」

レティの怒りが加速する。



「何時、なんどき、天変地異が起こり、魔物が大量発生するかも知れないじゃない」


魔物?

レティは、魔物退治に弓矢を強化したいと言うのか?

アルベルトはレティが何に怒っているのかが分からなかった。


「その分からない事の為に研究する事が、この虎の穴のやるべき事なんじゃないのですか?」


レティの言おうとしてる事は、全て正解だった。



「だからって、そんなに簡単にはいかないんだ、今、君が、やれと言って直ぐに錬金術師達を動かす事は出来ないんだよ」





こいつは知らないんだ………

空をガーゴイルが覆う恐怖を………

ガーゴイルの目に矢を突き刺す恐怖を………



気が付くと、涙がボロボロ溢れていた。



「 レティ ?!」

慌てふためく殿下に



「ご免なさい………今日はもう、帰ります」







レティが泣き出した。

言いすぎたか?


一体彼女は何をそんなに恐れ、何に向かって行ってるのか………



彼女は本をよく読んでいる。

医学書を読める程頭が良い。

だから、何か思う事があるのか………


でも、確かに彼女の言うとおりだ。

この、虎の穴はそう言う場所だ。

あらゆる事を未来の為に研究する場所だ。



………今度、会議で進言してみようか………



アルベルトはまだ学生ではあるが、成人してからは、国の会議に出来るだけ参加する様にしていたのだ。





「 レティ、ご免……言いすぎた? 」

「 いえ、……私の方こそご免なさい 」

「 君の言う事は最もな事だけど、僕にも少し考えさせて 」


そう言って、アルベルトはレティを公爵家の馬車に乗せ、2人は別れた。







********






はぁ………

感情的になってしまったわ………

ましてや今日、虎の穴に来たばかりの私が何を言ってるんだか………


それに、今日は殿下が居て不味かったわ。

殿下の居ない時に話を進めなければ……(←こんな奴)




17歳の殿下がノーテンキなのは仕方ない。

やっぱり躓くのはここね………

5年後に備えなさいなんて言っても通じるわけない。




はぁ………

帰りの馬車の中で窓から空を見上げた………













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