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交わらない想い






今日は料理クラブの日



何時もの様に彼女を待つ。

ベンチに座って本を読む

………しかし全く読む気にならない。



ドアが開いて、ひょこっと彼女が顔を出した。

どうやら終わった様だ。



「 レティ、お帰り 」

「 ただいまです、殿下 」



黙ったまま2人で歩きだす。




「 私の悪役令嬢どうでした? 」

「 可愛い悪女さんだったよ 」



2人でクスクス笑い合う。




君に言いたい事がある………

誤解しないで欲しい。

あの令嬢と劇場に行ったのは、僕の意思じゃ無いんだ。


あれは間違いなんだよと………

違うんだよと言いたいのに言えない



口を開け、何度も言おうとして口をつぐむ………

言葉にしたいのに言葉にならない。






********






──『階段を登り、手を取り合った2人は 護衛騎士に囲まれ劇場の中に入っていった』──




私はこの光景が忘れられなかった。

夕焼けに染まり

1枚の絵の様な………本当に綺麗な瞬間だった。




この光景が

過去であり未来で見る現実と重なる………



彼女が殿下には選ばれない女性だと言う事は知っている。

彼女じゃ無い………



そして自分でも無い。



3度の人生はずっと殿下に恋をしていた。

でも、その時とは違う小さく芽生えていた恋心が哀れに思われた。



私は、その小さな恋心に蓋をした。



だけど

あの夏祭りの夜に、殿下と手を繋いで歩いたのは私………






「 殿下………お祭りで手を繋いでいたのは私ですよね? 」






アルベルトは心臓を鷲掴みにされた。



レティが愛しくて愛しくてたまらない………



うんうん………と頷き



ああ………

そうだよ、君だよ、僕は君が好きだよ、大好きなんだ。




溢れる思いを口にしようとした時






ラウルと目があった。

ラウルが馬車の中からこちらを見ていた。




固まった。




レティは

「 殿下、送ってくれて有り難うございます 」

と言って、スカートの裾をキュッとして馬車に乗り込んだ。




「 ああ…………またね………… 」




ラウル………寝てないんかい!!!




過ぎ行く馬車の中から


「 オーホホホ、………… 」…………と聞こえて来た。

ラウルが言わせているのだろう。

本当に仲の良い兄妹だ。



羨ましい…………


















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