泣きそうな私
週末の休みの日の午後
私は級友のユリベラ達と、部活の友達のベル達6人で街にいた。
スーザンの店は雑貨店で、色んな輸入品があって物珍しく、お目当ての色とりどりの綺麗なリボンを沢山買って私は満足をしていた。
「 素敵ですわ、また入荷したらお知らせ下さいね 」
スーザンの父親は輸入品店を経営していて、ベルの父親は宝石店を経営し、ミリアの父親は外国船を持ち、船長をしている。
皆、平民だがとても裕福な暮らしをしている。
学園では12月にクリスマスパーティーがある。
これは全校生徒が参加する1大イベントだ。
そろそろ皆がドレスを仕立てる頃だと、買い物ついでに視察に来たのだった。
私はある洋裁店にデザイン画の提供をしている。
社交界で着る様な豪華なドレスではなく、私の様な学生が着る、可愛らしめのドレスのデザインを手掛けている。
勿論、秘密なので偽名を使い、お店の人達にも顔は知られていない。
彼女達を連れて店に入ると、数々の豪華なドレスに交じり、私のデザインしたドレスが数着飾られていた。
とたんに、彼女達の目が輝いた。
少女達だけの入店だったけど
私達の服装から裕福な令嬢達と見越して、お店の人々はとても親切だ。
可愛らしい装飾のドレスに胸に手を当て、目をキラキラさせる彼女達。
しかし、生地の手触りを確かめ、ドレスの裏側までチェックをする怪しい動きの少女は私です。
「気に入りましたわ、直ぐにお母様と来ますわ」
………と彼女達が口々に言っていた。
既製品もありますが、彼女達は裕福なので仕立てる事になる。
よし、評判は上々。
後から、家にある何枚かのデザイン画を届けたいとホクホクしていた。
店から出ると、外は少し夕焼けで赤くなっていた。
何だか街がざわついていた。
店の直ぐ近くに劇場がある。
物々しい警備に、何だろうと見ていると…………
皇族の馬車が止まっていた。
よく見ると…………皇太子殿下専用の馬車だ。
馬車の扉が従者に寄って開けられ、アルベルト皇太子殿下が降りてきた。
淡いブルーの長めの丈の上着に揃いのズボン。
首もとは衿を詰めた白いブラウスに黒いループタイを結んでいた。
皇子様だ。
皇子様だーっ!!!
久し振りに皇子様御輿が担ぎ上げられた。
今、まさに皇子様わっしょい祭りが始まろうとしていた時………
殿下の前に、淡いイエローのドレスを着た令嬢が進み出た。
2人はお互いに挨拶をし
殿下は彼女の手を取り、劇場の階段を上っていった。
一瞬殿下がこちらを見て、目があった。
私はおもいっきり目をそらしてしまった。
皇子様御輿は、泣きそうな私に片付けられた…………
階段を登り、手を取り合った2人は
護衛騎士達に囲まれ劇場の中に入っていった。
私の知らない大人な顔をした殿下だった……………




