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4度めの人生は 皇太子殿下をお慕いするのを止めようと思います  作者: 桜井 更紗
第1章

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皇太子殿下、出入り禁止となる




「 身体が3つ欲しいってどう言う事? 」



語学クラブの帰り道、2人で並んで歩きながら殿下が聞いてきた。



「 モーリス先生から『虎の穴』の研究員にならないかと誘われたの 」



「 虎の穴? 」



「 ウフフ、皇立特別総合研究所が長たらしい名前だからね、私が付けたの 」



「 勿論、『虎の穴』に行きたいんだけれども……学園生活が出来なくなるのは嫌なのよね 」



「 私の事だから、きっと研究に没頭して『虎の穴』に籠ってしまうかも知れない 」



「 レティは、その…虎の……穴?………ちょっと言うのが恥ずかしいんだけど…… 」



「 あら、秘密っぽくてピッタリなネーミングだと思うわ 」

良いネーミングなんだから殿下も使って使って~と尻尾をパタパタする。



「 その……虎の…穴では何がしたいの? 」

まだ、言いにくそうにしている。



「 薬草学 」



「 ああ、前に図書館で本を開いていたね、薬草学に興味があるんだ? 」



コクンと頷いた。


………絶対にやり遂げなければならない事がある。

それは言えない事なんだけれども………




「 料理クラブも語学クラブも辞めたく無いし……… 」



「 出来れば週一位で行ければ良いのだけれども………そんな片手間では直ぐに追い出されちゃうわよね 」



「 なる程………」

そう言うと殿下は押し黙った。

何か考え事をしている様だった。






やがて、兄の待つ馬車に着いた。



「 殿下、有り難うございました……それに、あの……寝ちゃってご免なさい 」



「 可愛い寝顔を見れたから寧ろ得をした気分だよ、じゃあね 」

殿下はおどけた様に笑った。




馬車に乗り込んだらやはり兄は眠りこけていた。

私は窓を開けて殿下に手を振った。



私にヒラヒラと手を降って………

殿下は握った手を口元にあてながら、まだ考え事をしている様だった。






***************************





語学クラブで、皇太子殿下が先生として講義していたと、学園中に知れ渡った。


その為に、何と100名近くもの入部希望者が殺到し、収集がつかないとして顧問の先生が



学園の掲示板に


『 アルベルト皇太子殿下が、今後、語学クラブにお越しになる事はありません 』


………と張り出され、アルベルトは語学クラブへの出入り禁止となったのである。



勿論、それを見た入部希望者は皆、入部を取り下げたのだが………




なので、アルベルト皇太子殿下の講義はたった1度だけの幻の講義となったのである。


その幻の講義の時間の殆んどを眠りこけていたレティは、心底後悔したのであった。




そして………

掲示板に張り出されてしまった事で

「 俺が何か悪い事をしたみたいじゃないか! 」

………と、アルベルト皇太子殿下は憤慨していたのである。









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