表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
423/641

閑話─王子様ランキング

 



 ミレニアム公国に滞在の最終日が休日。

 短い滞在期間で、色んな事をてんこ盛りに入れた結果、最終日にしか休日が取れなかった事はこの外遊の反省点だ。


 また、最終日だから夜は大公がお別れ会を開いてくれるとの事で、夜の店に繰り出したいラウル達は残念がった。



 レティはアルベルトとデート出来るんだと朝から気合いが入りまくり。


 買い物デートは勿論2人だけでは無い。

 兄もその友達も……

 皇太子殿下御一行様の皆が一緒だ。


 皆で街に出てお土産を買いに行く。

 明日には帰国の船に乗る事から、この休日が買い物が出来る最後のチャンス。


 女官達は皆が家族持ちだ。

 3週間も留守にするのだから、彼女達がどれだけお土産を買う事を楽しみにしていた事か。

 妻子のいるクラウドや騎士達も同様に。



 アルベルトと街中を歩く。

 王族のいないミレニアム公国では、アルベルトが歩いていても遠目からキャアキャアと言っているだけで、近付いては来ない。


 あちこちに警備の目はあるが……

 それでも街中をアルベルトと手を繋いで歩けるのが嬉しい。


 シルフィードでも民衆を整備すれば街中デートが出来るのだろうが、公務でも何でも無いただのデートでそんな大掛かりな事は出来ないし、したくは無いのは当然で。



 寒い国だけあって街には防寒関連のお店が数多くあった。

 ドレスやコート。

 試着するレティを可愛い可愛いと言いながら全部支払うアルベルト。

 恋人にプレゼントをするのが楽しいのだと言って。


 在庫ごと買ったボレロもアルベルトが買ってあげると言ったが、がま口財布をパチンと開けてレティが支払った。

 これはビジネスなんだから。



 やっぱり街中デートは楽しい。

 お腹が空いたら食べ物巡りもして。



 そんな上機嫌なレティは……

 たまたま入った古びた雑貨屋さんでとんでもないレア物に出会った。


 一見、外からは店を開いていないかの様なお店。

 こんな店には掘り出し物があると言われているのだ。


 店の中は外から見たよりもかなり広めで、妙な置物や、お面、古本などが所狭しと置かれてあった。


 キョロキョロしていると……


 ビンゴ!



 思わず目を見張った。


 アルベルトの姿絵が1番目に入るコーナーに置いてある。

 それも一枚だけ。

 シルフィードから皇子が来国するに当たって、何処かから出して来たのだろうか。

 全く商売気が無さそうなのに、こんな所で商売気質を見せる店主が好き。



 見れば……

 アルベルトが十代になったばかりの頃の写真の様だ。

 とてつもない美少年。

 女の子でもこれ程綺麗じゃない。



 欲しい!

 会員ナンバー5番としては、何がなんでもゲットして帰らなければならない。

 会員ナンバー1番から4番の歓喜する顔が浮かんで来る。


 手に取ってじっくりと見たいが……

 横にはアルベルトがいる。


 ちょっと何でそんなに私にくっついているのよ!


 レティが繋いでいる手を離して、他の商品を手に取って見てる間も……

 レティの腰に手を回してピタリとくっついて来るのだ。


 最近よく腰に手を回される。

 ちょっとエッチっぽいから止めて欲しいわ。



 いや、そんな事よりも……

 アルを私から引き剥がさないとならない。


「 何か気に入った物があったの? 」

 腰を折って肩越しに顔を覗き込んでくる。


 おっと危ない!

 見られてしまう。

 この姿絵をアルから守らなければと、姿絵の上にその辺にあった冊子をポンと乗せる。


 その時にドヤドヤとラウル達が入って来た。



 お兄様!

 ナイスタイミング!

 何時もはタイミングが悪くてイライラする兄なのに。


 アルベルトがラウル達と話している隙に……

 ポンと乗せた冊子ごと皇子様の姿絵を店主に渡した。


「 お代を直ぐに! 早く! 」

 アルベルトを気にしながら急かす様に言うと……

 店主がニヤニヤとしている。


「 良いご趣味ですなぁ 」

 店を出る時に店主に言われた。


「 何? 」

「 さあ? 」


 何を買ったの?

 ……と、袋の中身を覗いて来ようとするアルベルトと戦う。

 絶対に見せないぞ!



 買い物が終わり、部屋に戻ると早々に袋から中身を出してみる。


 うわ~

 やっぱり美少年だわ。


 でも凄いわ……

 この美少年とあのがさつなお兄様達がお城で遊んでいたなんて……

 とてもじゃないけど信じられない。



 白馬に乗った皇子様と、横顔の皇子様と、美少年の皇子様がレティの宝物になった。

 家に戻ったら額に入れてベッドの横に並べたい。


 暫く妄想に耽っていた。




 そうだ冊子よ!

 何の冊子を買ったのかしら?

 袋から取り出してみると……


『 世界の美しい王子様ランキング トップ10 』


「 何これ? 」

 ページを捲ると……

 トップページにアルベルトがいた。


 ナンバー1はシルフィード帝国アルベルト皇太子殿下。

 その類い希なる様相はもはや神。

 誰もが欲する美貌の皇子。


 フフン。

 この冊子を作成した人分かっているじゃない。



 ナンバー2はサハルーン帝国ジャファル皇太子殿下。

 怪しげな微笑みは岩をも溶かす。


 いや……

 この1位と2位の差があり過ぎ。

 この間にお兄様達が入るわよ。

 怪しげな微笑みはレオの専売特許なんだから。



 ナンバー3はタシアン王国コバルト王太子殿下。

 秘密のベールの奥に隠された優しい微笑み。


 タシアン王国って……

 隣国なのに国交が無いのよね。

 コバルト王太子……

 優しそうな顔をしているわ。



 4位はグランデル王国アンソニー王太子殿下。

 その美貌は女性達を蕩けさせる。


 アンソニー王太子はアルとも少し似ているものね。

 この10歳の頃の美少年アルを見たら喜ぶかな?


 ? 喜ぶ?

 あれ?

 アンソニー王太子殿下は何でアルの横顔の姿絵を欲しがったんだっけ?

 ???



 5位はマケドリア王国サミュエル王子殿下。

 柔らかな笑顔を向けられればたちまち恋に落ちる。


 マケドリア王国は皇后様の母国ね。

 美形な筈だわ。

 サミュエル王子殿下もアルの従兄弟になるのだわ。


 この姿絵はアルとは似て無いけれども……

 会えば何処かは似てるのかな?



 6位はナレアニア王国のフェルナンド王太子殿下。

 凛々しい佇まいは模範的な王子様。


 彼は昨年に廃太子になったから……

 この冊子は少し前の物ね。



 7位はイニエスタ王国リンスター王太子殿下。

 切れ長の瞳からの流し目は女性を気絶させる。


 うっ……

 この冊子を先に見ていたら、お会いした時に流し目をして貰ったのに……残念だわ。


 切れ長のブルーの綺麗な瞳はアリアドネ王女と似ている。


「 …………… 」




 ウィリアム王子は何位かしら?

 9位!?

 愛嬌のある顔は女性達の人気の的。


 良かったね、ランキングに入っていて。

 薄い顔でも作りは良いんだから。

 そう言えば……

 婚約の話はどうなったのかしら?


 ウィリアム王子はレティの学友である。



 もう1度トップページに戻る。

 あら……

 この姿絵は立太子の礼の時の物よね。

 今からもう3年も前の事なんだわ。


 あの時は大人なアルにドキドキしたけど……

 こうして見ると何だかまだ幼い感じがする。



 2位のサハルーン帝国のジャファル皇太子は……

 何だか見た事がある様な気がする。

 金色の瞳がノア君やジャック・ハルビンと同じだからかしら?


 青い髪に金色の瞳が美しい皇太子殿下……



 すると……

 ニヤケた店主の顔を思い出して叫んだ。


「 私は別に美しい王子様が好きなわけでは無いわよ! 」

 パンと冊子を閉じた。


 あながち間違いでは無い。

 1度目の人生の時に……

 この17歳の美しいアルベルト皇子に一目惚れをしたのだから。


 だからって……

 他の国の王子に興味は無いわ!


 もう2度とあの店には行く事は無いだろうが……

 あのニヤケた店主に違うと言いたいレティである。



 この王子様ランキングの冊子が……

 後に大変役立つ事になるのだった。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ