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この恋が実ります様に




「 なあ、アルはレティを好きなんだよな 」

エドガーが言う。


「 ああ 」



「 アルの、レティを見る時の顔は見ていてこっちが恥ずかしくなる 」

……と、レオナルドが肩を竦めて言った。



「 この前、本人に確かめた、本気だとよ 」

ラウルが忌々しめに言う。



エドガーとレオナルドがやっぱりなと顔を見合わせる。




「 ………で、レティの方はどうなんだ? 」

と、レオナルド。


それが………

多分好きなんだろうけど、何時も線を引いていて………

それに妙に覚めてる気がするんだよな。

……とラウルが不思議そうに言った。



「まだ、アルの片想いか………」





「 俺さあ、この先、恋愛出来なくて、政略結婚するならレティでも良いかと思ってたんだよね 」

レオナルドが真剣な顔をする。



ラウルがぎょっとした。



「 あっ!それ、俺も思った事がある 」

とエドガー



「 だって面倒くさくないじゃん 」

「 親達も親しいしさ、爵位的にも何の障害も無いしね 」

「 それに、レティは元気で可愛いしな 」



おい、おい、おい、ちょっと待てよ!

これじゃあ、レティを好きになったアルの方がこいつらより遥かにマシじゃんか………





どの国も皇族の婚姻は早い。

それは、必ず世継ぎを設けなければならない宿命があるからだ。


まだ、各病気への治療薬も確かでは無い時代では、何時命を落とすのかもわからない。

それに、今は平穏な世だが、何時他国との戦争が始まるかも分からないのだ。


皇帝が亡くなるまでには次なる子、更に次なる子を成す事が必須なのである。

ましてや、このシルフィード国には皇族が僅か3人しかいない。







「 俺達も家督を継がなければならないが、それでも結婚しなくても、子を作らなくても、1つの家が潰れる位の事だよな 」


「 だけど、アルは違うんだよ、結婚をし子を成さねば国が滅びる事になるんだよ 」


「 国だよ、一国が滅びるんだ 」


「………………………」




「だから………蛇みたいな顔でも、牛みたいな顔でも、どんなに陰気臭くて変な臭いの奴でも、子を作る作業をしなきゃならないんだぜ」


「………………………」



3人はゾワゾワした。





アルベルトの宿命を改めて憂う親友達であった。



恋愛であろうと、政略結婚であろうと必ず結婚し、子を成さねばならぬ宿命。



そんなアルベルトが恋をしたのだ。

最近のアルベルトはそれはそれは幸せそうなのだ。




どうか………どうか………

この恋が実ります様に…………




アル、頑張れ!

………と、幼馴染み達は願うのだった。





「 いや、こうなったら皇帝命令で、レティとの結婚を命じれば良いんじゃないか? 」


「 その方が手っ取り早いよな 」




「 いや、妹の気持ちも尊重してくれ! 」



お兄ちゃんは複雑なのであった。













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