皇子様に意中の人がいるらしい
皇子様に意中の人がいるらしい………
お相手は誰だ?
アルベルトがレティの元に行っている間に、皇宮はざわついていた。
皇后主催の夕食会で
何時もなら気の進まない素振りである皇子様が、あの夕食会ではウキウキランランランしていたと言うのだ。
あの聡明で眉目秀麗な皇子が、ウキウキだけでなくランランランまでしていたのだ。
絶対にあの時の夕食会に、皇子様の意中の令嬢が来られてる。
侍女達の間で
まこと密かに、もの凄いスピードで広まった噂。
守秘義務のある侍女達だが
皇子様の慶事には彼女達の口は止められ無かった。
皇宮にクラウドが居なかったこともあるのだろうが………
城の者の皆が、アルベルト皇子様が大好きだった。
皆で大切に大切に皇子様の成長を見守って来たのだった。
皇子様は幼少の頃から聡明で、素直で優しく、我が儘を言う事もなく、ラウル達と遊ぶ時以外は、皇宮図書館で本を読んで過ごしていた。
何より
その類いまれなる美貌で、ニコっと笑った皇子様を見ようものなら、もう天にも昇る様な幸せな気分になるのだった。
10代になって本格的に剣の稽古が始まると
こっそりと覗きに行き、勝手に世話を焼きたがる若い侍女達が続出した。
なので、皇子様の担当は若い侍女を外し、配偶者のいる侍女達で固めた。
それは今でも変わらないが。
なので皇子様の女官達も厳選して選ばれていた。
因みにこの国では
侍女は皇宮での皇族の身の回りの世話をし
女官は主に皇族の秘書的な役割をするので、頭脳明晰である必要がある。
外遊や視察に同行するのは主に女官達である。
女官長と侍女長がそれぞれいるが、彼女達の身分は対等で
その上にいるのが皇族側近の秘書官と言う事になる。
アルベルト皇太子の場合はクラウドである。
アルベルトが皇太子殿下となり公務が始まり、クラウドが護衛兼秘書官として側近になったと同時に、女官達が配属されたのである。
以前から
皇宮に行儀見習いとしての入官希望の貴族令嬢達が続出していた。
今も後をたたないが……………
そして皇子様が成人して、皇太子妃選びが始まった。
そして、そんな時の皇子様のお相手の噂。
その噂に食いついたのは、他の誰でもない皇后だった。
皇后も、あの夕食会でのアルベルトの浮かれ具合が気になっていた。
「 皇子の意中の令嬢を探しなさい 」
皇后命令が密かに下った。
夕食会に参加した令嬢は9名
勿論
欠席していた
リティエラ・ラ・ウォリウォールの名は無かった。