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4度めの人生は 皇太子殿下をお慕いするのを止めようと思います  作者: 桜井 更紗
第3章

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閑話─元4年A組

 



 皇子様の側室制度の廃止発言。

 皇帝陛下の廃止宣言。


 皇子様の横で幸せそうに涙ぐんでいるリティエラ様。

 皇子様が優しい顔をしてそっと彼女の涙を拭っている。



 ああ……

 彼女は帝国の制度を廃止してまでも守りたい皇子様のただ1人の大切な女性(ひと)なのね。




 壁際に並び……

 立っているだけの令嬢達皆が泣いている。


 これで……

 側妃になる夢も絶たれた。




 皇子様とは同じクラス。

 ジラルド学園は4年間ずっとクラス替えは無いので、毎日皇子様と過ごす生活。


 ラウル様、エドガー様、レオナルド様もいるクラスのワタクシ達は、全学年から羨望の眼差しで見られていた。

 ワタクシ達が特別な女性(ひと)になったのかと思える位に。


 実際に、皇子様のお妃候補として爵位の高い令嬢がA組に集められた事を考えても、ワタクシ達は特別だったんだろう。


 父母や祖父母達は勿論の事、親戚中から期待をされ、必ずや皇子の心を射止めて来るんだぞと、会う度に叱咤激励されていた。



 皇子様達が帰国してからの2年間は本当に楽しかった。

 何時も何かを仕掛けるラウル様に、囃し立てるエドガー様とレオナルド様。

 皇子様はそんな3人を笑って見てらして……

 だけど最後は何時も皇子様が決断をなさる。


 格好良くて、凛々しくて、頭が良くて……

 何時も優しい顔で笑う素敵な皇子様。




 そう言えば……

 1度だけ私達のクラスにリティエラ様が来られた事があった。

 あれはクリスマスの日。


 皇子様が彼女に話し掛ける言葉を初めて聞いた。

 何時も遠目から2人がいる所を見るだけだったから。

 あんなにも甘い声で話すんだとショックを受けたのは私だけでは無いだろう。


 教室に戻って来られた皇子様の頬が赤く……

 ラウル様達からからかわれていた。

 首に掛けられた白い?……白っぽいマフラーをずっと外す事は無かった。

 あれは……

 リティエラ様からのクリスマスプレゼントね。





 皇子様が留学から帰って来た時に、ワタクシ達クラスの女子は皇子様を守る協定を結んだのよ。

 1年の時みたいにはさせない様に。

 また皇子様が逃げて仕舞わない様にと結んだ、皇子様をそっと見守る協定。

 他からやって来るハイエナ達を追い払ったわ。



 だけどそんなワタクシ達の頑張りも空しく……

 皇子様は、ラウル様の妹である1年生のリティエラ様を好きになった様だと言う噂が、新学年が始まると間もなく流れてきた。


 週に1度……

 彼女の通う庶民棟の料理クラブの近くのベンチに座り、幸せそうに彼女を待っている皇子様。


 こんな事なら……

 ワタクシ達もアピールを頑張ったら良かったと皆で泣いた。

 庶民に混ざって料理なんかは出来ないけれども……

 




 卒業プロムの日に皇子様と踊った事は最高の思い出。



 ワタクシ達の要望に躊躇する皇子様だったけれども……

 A組の女子全員で頑張って良かった。


 背が高く、逞しい胸、優しく甘い香り……

 優しい眼差しで見つめられながら、大きな手に腰を引かれた時は心臓が飛び出るかと思う程ドキドキした。

 耳元で囁かれる優しい声に腰が砕けそうになる。


 夢にまで見た皇子様とのダンス。

 皇子様は今まで踊った誰よりも上手だった。


 本当に……

 今でもドキドキする忘れられない一時。


 実は……

 ワタクシあれから誰とも踊って無いの……

 手も洗いたく無かったけれども……

 それは、流石にお母様に叱られた。





 自分のものにならなくても良いから

 誰かのものにならないで欲しかった。




 色んな事が走馬灯の様に駆け巡る。

 多分

 泣いている皆が思っているのだろう。

 さようなら……

 ワタクシの皇子様。



 

 思えば……

 他国のあのムカつく王女に取られなくて良かったかも知れない。

 そう言えば姿が見えないけれども……


 幸せそうに踊るお2人を見ている他の王女達の悔しそうな顔。

 もうおまえ達は皇太子妃にはなれないんだよ!バーカ!

 あら……ワタクシとした事が……はしたない。






 次のターゲットは……




 公爵令息の……ラウル様。

 彼はまだ婚約者もいない。





 令嬢達は逞しかった。







本日は2話更新する予定です。



読んで頂き有り難うございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「幸せそうに踊るお2人を見ている他の王女達の悔しそうな顔。  もうおまえ達は皇太子妃にはなれないんだよ!バーか!」 ふふふ、こういう感じが、読んでいてとても好きなのです。 お嬢様がたも心の…
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