表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
295/641

閑話─大衆浴場


本日は2話更新していますので

ここから入られた方はもう1話前もお読み下さい。


 


 ポンコツ旅で、渡りたい橋が壊れていて足止めを食った時に泊まった宿屋でのお風呂の話。



 食堂の上が宿屋でこの日は幸運にも他の客はいなかった。

 ディオール領地へ行く道から外れており、道は現地の人しか利用していない道で、貴族が泊まる様なホテルでも無いし、ましてや皇族が泊まるなんて有り得ない様なボロい宿屋だった。

 平民でももっとマシな宿屋に泊まるかも知れない。


 それでも前日が野宿だった為に、風呂とベッドがあるだけで十分満足だった。



 《大衆浴場有り》

 確か食堂の入り口に書いてあった筈だ。

 しかしである。

 温泉地でも無く、魔石を使っていない風呂と言う事は、薪をくべる五右衛門風呂になる。


 何処が大衆浴場だ?



 シルフィード帝国のお風呂事情はこうである。

 皇宮や貴族の家には魔石を風呂に融合させ、風呂は魔石を軽く叩くだけで沸くようになっている。


 高位貴族の家では各部屋に風呂があり、レティの部屋にも奥に自分専用の風呂がある。


 平民達は家には風呂は無くて、大衆浴場を皆が利用する。

 皇都にある大衆浴場には魔石が使われていた。

 反対に地方では各家毎に五右衛門風呂があった。




 食堂やホテルや宿屋に入る時には、先にグレイ達が必ずチェックをする。

 危ないものが無いかの確認をするのである。


 まあ、湯があれば殿下でも風呂は何とかなるだろう。

 侍従がいないので、皇子様のお風呂事情が騎士達には分からないのである。



 しかし最大の問題は……

 湯女がいると言う事。

 この湯女は、薪をくべる人と板の上で身体を洗う人の2人が客の面倒を見るのだ。


 客は裸では入らず湯浴み着を着るが、殿下の風呂に、この湯女達を入れるわけにはいかない。

 この湯女達に何をされるか分からない。


 そして……

 この湯女達は食堂にいるアルベルトを一目みた時からやる気満々である。

 先程はじゃんけんでどちらにするか真剣勝負をしていた。

 勿論どちらがアルベルトの身体を洗うかである。



 何度必要ないと言っても湯女達は言う事を聞かない。

 その上に彼女達も薄い湯浴み着を着ているので、グレイ達は目のやり場に困り、彼女達を何処かに連行する事も出来ない。



「 夏なんだから薪を後からくべる必要はありません! 身体を洗う人も必要ありません! 私の男なんだから触らないで! 」


 ここでアルベルトの魔除けであるレティが登場した。


 この『私の男なんだから触るな! 』は劇場のお姉様達に教えて貰った女の撃退法である。

 女の戦いは常にマウントの取り合い。

 先にマウントを取った方が勝ちなのだそうだ。



 そう言って箒を持って立った。

 女達がレティの前から動くと箒でぶっ叩くつもりである。


「 さあ、今のうちに殿下に入る様に言って下さい。」

「 有り難うございます 」



「 あれ? 今そこにレティがいなかったか? 」

「 ………殿下、早くお入り下さい 」

 リティエラ様が守ってくれてますから。早く!


 こうしてアルベルトは無事にお風呂に入る事が出来た。



 レティはこの時に箒に代わる物……扇子を思い付いた。

 なる程!

 扇子は悪役令嬢の武器なのだわ。


「 オーホホホホ…… 」



 因みにレティはこの湯女に入れて貰って大満足なお風呂であった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ