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4度めの人生は 皇太子殿下をお慕いするのを止めようと思います  作者: 桜井 更紗
第1章

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慟哭



私は1年振りに領地へと向かった。

いや、3度の人生の時の経過から数えたら

実に16年振りの里帰りだったのだ。



侍女のマーサと護衛のカイルが同行する事になった。

マーサはレティと共に馬車に乗り、馭者の横にカイルが座って出発をした。




「 行ってきまーす 」


「 私もお父様も後から行きますからね、道中気をつけて 」

母が心配そうに言った。


「 カイル、マーサ、レティを頼むぞ 」

「 はい、旦那様 」


「 楽しんで来いよ 」

ラウルが手をヒラヒラと振った。



皇宮での仕事が一段落したら

父も長期休暇を取れる事になっていた。

屋敷を空けるわけにはいかなかったので今回はラウルはお留守番だ。




カラカラカラ…………


「 お嬢様、少し荷物が少な過ぎませんか? 」


「 大丈夫よ、必要なら向こうで買えば良いのだから 」

旅にはトランク1つあれば十分よ。


私は楽な様にと淡いピンクのワンピースを着ていた。

手には白い帽子を持っていた。




ウォリウォール領地は皇都から馬車で2日位離れた街だが、

自然豊かな街だった。

私は街へ買い物に行くのも楽しみにしているのだ。

記憶を辿ると、確か名物のお饅頭が美味しかった事を思い出した。



馬車は皇都を出て、周りには緑の木々が揺れていた。

少しずつ空気が涼しくなって来て、風が心地よかった。

カラカラカラ………



途中の宿に一泊して

その日の夕方には屋敷に着いた。




馬車の音に

家人達がわらわらと外に出て来た



「 お帰りなさいませ、リティエラお嬢様 」



「 ただいま~ 」




懐かしい場所

懐かしい顔

ああ………

私は確かにここに居た…………

入学式が始まりでは無かった。

入学式前にも私はちゃんと存在していたのだ。




涙が次から次へとポロポロと零れ落ちた。

何かを吐き出す様に嗚咽し、立っていられなくなり膝から崩れ落ちていた………




家人達が慌てて駆け寄って来ていた。

それからの事はあまり覚えていない。





私の3度の人生は一体何なんだろうか

何故こんなにも繰り返してしまうのだろうか

それとも今が夢なのか?

もはや現実が何なのかもわからなくなった………



ずっと考えない様にして来た思いが溢れだした。



死への恐怖。

死ぬ時は痛かった、苦しかった、辛かった………



また、今度も20歳で死んでしまうのだろうか?

どんな風に?

5年後には私はどんな死に方をするのだろうか?



恐くて恐くて震えが止まらない…………



死にたくない、死にたくない、死にたくない



死んだら、また、やり直しの人生が始まるのだろうか…………



いや、死んでもいい

だけどまたやり直すのは嫌だ



もう、こんな生き方は嫌なのだ



いくら考えても答えは出なかった……………








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