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閑話─お妃教育


本日は2話更新していますので

ここから入られた方はもう1話前もお読み下さい。


 


 《お妃教育》


 レティは泣く子も黙る公爵令嬢である。

 天真爛漫なお転婆娘の上に口もたまに悪いが、マナーや所作は完璧で、貴族としての礼儀も礼節も自然と身体に染み付いていると言う何処に出しても恥ずかしくない完璧な令嬢である。(お腹の虫が鳴るのはご愛敬。)


 その上勉学は、薬師であり医師であり天才とまで言われているのだから今更する必要はない。

 帝国史も200点を取っている程であるので、お妃教育をするのは皇室関連の事だけになる。


 特に……

 レティは21歳までは結婚はしないと公言している事から、学園を卒業してから始めれば十分なので、学生である今わざわざお妃教育をする必要は無かった。




 しかし……

 お妃教育はアルベルトのゴリ押しで始める事になった。


 レティは皇宮の敷地内にある虎の穴や皇宮病院にはしょっちゅう来ているが、宮殿の中にはとんと来ないのである。


 行く理由が無いと何ともつれない事を言うレティに、行く理由が無いなら行く理由を作れば良いとして、お妃教育を設定したのであった。





 ***





 今日はお妃教育の初日である。

 また、迷子になっては大変だとばかりに、この日は警備の者にレティが到着したら案内する様に通達してあった。


 場所は以前アルベルトの誕生日の時に利用した部屋である。

 この部屋にはテラス席もあり、春のこの時期には外に出てお茶会を楽しめる様になっている。



 アルベルトが行くと、もうレティは案内されていてテーブルでお茶を飲んでいた。

「 いらっしゃい 」

 ……と、レティの唇にチュっとキスをする。


「 えっ!?挨拶のキスは頬っぺでしょ! 」

 ……と、抗議をするレティにしてやったりとほくそ笑むアルベルト。


 誰もいないわよね……

 キョロキョロと辺りを見渡してホッとする。

 しかし、アルベルトが手を上げると直ぐに侍女がお茶とデザートをワゴンに乗せてやって来た。


 だから~

 貴女達はいったい何処で待機してるのよ?

 レティはキスを見られていたと恥ずかしくなるのであった。



 2人で色んな話をする。


「 それで、ウィリアム王子が優勝したのよ! 」

 餌も付けれない癖にムカつくわ!

 ……と学園の様子を話しているレティを、アルベルトはこれ以上の甘い顔は無いと言う顔で見ていた。



 一息付いた所でレティが言う。

「 それで? 先生は? 私は何処へ行けば良い? 」

「 先生? 」

「 だってお妃教育なんでしょ? 」

「 これがお妃教育だよ、先生は……まあ僕って事になるかな……行く所は僕の腕の中 」

 アルベルトは眉を上げ、おいでと両手を広げおどけてみせる。


 レティは一瞬固まった。

 いや、長いこと固まった。


「 はあ? 」

 勉強があるものとノートとペンを持って、どんな勉強をするのかと楽しみにしてやって来たのである。


「 じゃあ、お妃教育は無いの? 」

「 先ずはレティが宮殿に通う事がお妃教育だよ。宮殿の事をもっと知らなきゃね 」

「 まあ、確かにそうだけど…… 」

「 後は追々だね、それに…… 」

「 それに? 」

「 僕の事ももっと知って貰わなきゃね 」

「 ?……そうね、皇子様の生活なんてパンツは自分で履くこと位しか知らないものね 」

 レティはウフフと口を押さえて悪そうな顔をした。


「 なんか失敬だな? 」

 だって……と言うレティは、もはや待ちきれないとテーブルに並べられたスイーツをガン見している。

 食べて良い?と訴えてくる瞳がキラキラして可愛らしい。


「 じゃあ、レティ、口を開けて 」

 レティはあーんと大きく口を開けて尻尾をプルプル振って待っている。

 これはもはや甘い2人にとっては定番である。


 ああ……可愛い……

 相変わらず色気より食い気だとアルベルトはクスリと笑う。


 まあ、良いか……

 追々だな……



 こうしてレティの週に1度のお妃教育が始まった。







読んで頂き有り難うございます。

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