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皇太子怒鳴られる



料理クラブでは

今日は魚の裁き方を教わっている様だ。



窓からチラリと見えた彼女の

白い割烹着の袖を肘まで捲り上げた白い細い腕にドキリとした。

他の生徒達とキャアキャア笑ってる彼女が可愛らしい。




何時もの様に何時ものベンチに腰かけ、彼女が出てくるのを本を読みながら待っていた。



カチャン

ドアが開き彼女がひょこっと顔を出した。



大きな薄いピンクバイオレットの瞳が笑った。



「 殿下、ただいま~ 」

今日は彼女から言ってきた。

当たり前になったこの時間が嬉しい。



「 お帰り、今日は魚と格闘していたね 」



「 ええ、最初は怖かったけど、やってみたら案外簡単だったわ 」


そりゃあそうだ。

2度めのレティの人生は医者だったのだ。

魚の解体など何の問題も無かったのである。




「 おっ、言うね、御披露目、楽しみにしてるよ 」





2人で並んで歩いていると

彼女が何やらモジモジして何時もより何気に距離をとる。



…………?




「 何?レティ? 」



彼女は言いにくそうに頬をちょっぴり染めながら上目遣いで

「 き………今日の私は魚臭い………と思います 」



彼女に近寄って

腰を屈め、頬の横をクンクンと嗅いでみた。



「 大丈夫だよ、何の……… 」

………と言いかけた所で



「 殿下!女性の匂いを嗅ぐなんて酷いですわ」

彼女が顔を真っ赤にして怒鳴った。





「 ご免、ご免、悪かった………… 」

両手を胸の前で広げて慌てて謝る。



「 全く失礼にも程がありますわ! 」

そう言いながら、彼女はプンスカ怒りながらスタスタと歩いて行った。




怒鳴られてしまった………




怒った顔も可愛いな♪

クックッと笑いながら後ろから付いていく。




「 あっ!そうだ!!600点満点おめでとう 」




彼女が足を止めた。


「 モーリス先生って酷いのよ 」

彼女は耳を垂れた子犬の様にシュンとしていた。



怒ったりシュンとしたり何やら忙しい。



「 いくら200点も要らないって言っても、聞いてくれないのよ 」




笑いが止まらなくなった。



「 まあ!殿下ったら他人事だと思って! 」



またまた、プンプン怒りながらウォリウォール家の馬車に乗り込んでいった。



馬車の中から

「 お前!魚臭いぞ 」

「 女性に臭いなんて言うんじゃない!!! 」



ラウルも怒鳴り付けられていた。




馬車の窓が開いて

「 殿下、送ってくれて有り難うございました 」




笑いながら

彼女に「 またね 」とヒラヒラと手をふった。










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