恋愛偏差値 0
私は外国の学校事情を知りません。
なので背景は日本です。
四季も日本です。
ゆる~く読んで下さい。
季節は夏になり
学期末試験が近付いた。
試験が終わると長期休暇となる。
レティは3度の学園生活での勉強と、2度めの人生は医師になった頭脳がある為、今さら1年生の試験勉強なんてする必要は無かった。
でも、最近ある事を思い出し、学園の図書室で調べ物をしていた。
「 レティ 」
「 レティ 」
ふと顔を上げると、アルベルト皇子が前の席に座って 訝しげにレティを見ていた。
「 レティ……1年生の勉強にその本が必要なの? 」
「 あっ……殿下もお勉強ですか? 」
「 ……うん……まあね 」
実は、レティが図書室通いをしてると聞いたので、ちょっと様子を見に来たのだった。
私が読んでいるのは薬草学の本。
私は2度めの人生で、20歳の時に流行病で死んでしまったのだった。
この時、国民の多くがこの流行病で命をおとした。
まだ新米の医師だったが
医師として懸命に治療をしてる時に感染したのだった。
この時、治療薬は無かった。
でも、今から開発して準備していたらどうかしら?
薬草学の研究者に、5年後に流行る病の事を伝えるとして、 その根拠が私はループ者だからと言っても信じて貰え無いのは明らかだ。
じゃあ私が今から薬草学を勉強して………
いやいや、ここで研究なんかしたら、私のやり直しの学園生活が台無しになる…………
でも…………
頭を抱えた…………
視線を感じて顔を上げると
アルベルト殿下と目があった。
そうだった……
皇子様まだ居たのね…………
「 悩み中?分からない所があれば協力するよ? 」
「 いえ………今日は疲れたのでもう帰ります 」
「 じゃあ馬車まで送るね!ラウルは居るの? 」
「 お兄様はもう家に帰って勉強してると思うわ 」
「 夕方にもう一度迎えに来て貰う事になってます 」
「 じゃあ、僕の馬車で帰ろうか? おいで………送るよ 」
殿下の軽い命令口調には黙って従わらせる威力がある。
人の上に立つ者の性とでも言うのだろうか………
私は黙って付いていく…………
いや、まて……… おいで………?
おいで……と言ったよな?
いきなりおいで祭りが始まった。
最近………
殿下がツボ過ぎて
直ぐに祭りが始まり、どうして良いのか困っている。
そう、私は3度の人生を生きていたが
どの人生も20歳の若さで死んでいるので、ただの1度も恋愛をしたことが無い。
恋愛免疫が全く無いのだ。
誰とも………
当たり前だ………
こんなにカッコいい人が私の思い人だったのだから………
他の男なんて糞にしか見えない。
だからドキドキするのは仕方ない。
「 さあ……どうぞお姫様 」
馬車の扉を開け、皇子様が手を差し出した。
なんですとー?
姫………?
お姫様ですとーっ?
いきなりお姫様祭りが始まった………
今回は、カラ~ンカラ~ンと鐘がなり紙吹雪が舞った。
おいで祭りがまだ終わってないのに……
皇子様に手を取られて馬車に乗った。
初めて殿下の手に触れた………
ドキドキドキドキ……
多分顔は真っ赤だろう……………
あら?!
皇子様の馬車って皇族の馬車なんじゃ?
それはうちの公爵家の馬車よりも広く、遥かに豪華だった。
皇族の馬車は静かに出発した。
カラカラカラ………
「うわ~ふかふか……それに全然揺れない」
目をまん丸にして辺りを見渡した。
皇子様はクスっと笑って
「この馬車は皇太子専用、だから僕専用の馬車」
「誰かが乗るのは君が初めて」
私はこの意味を深く考えなかった…………
アルベルト皇太子殿下が私に姫様と言った意味も…………
「まあ、私はお兄様と兼用よ、父は専用の馬車があるけど…… 」
「だから時々母も参戦して取り合いになって大揉めしてるわ 」
「 ハハハハ……君んちは何時も賑やかで羨ましいね 」
「 この間も……… 」
………と………
楽しく話をしていたら、いつの間にか我が家に着いていた。
「 じゃあ、姫様、あまり遅くまで勉強し過ぎない様に………またね 」
殿下が、両手で私の手を取って馬車からおろし、 そして、馬車に乗り込んで手をヒラヒラとしていた。
「 有り難うございました 」
頭を下げながら馬車を見送った。
つ………疲れる………
殿下と居るとドキドキが止まらない………
身体がもたない…………
恋愛未経験者には色々と未知な世界が多過ぎて困る。
いえ………勿論、恋愛ではありませんわ。
この人生では、殿下とはただのお友達ですから。
そう思いながらも
姫様祭り2が始まっていた………




