閑話─公爵令嬢の店
小話その4です。
レティが錬金術師シエルと、劇場に魔道具を設置しに行った時の話です。
あのニヤケた支配人が
アルベルト皇太子殿下とイニエスタ王国のアリアドネ王女が、観覧に来ている事をマイクで観客に紹介した後、オペラの劇が始まった。
レティは、自分が着用しているドレスを女優達に見せる為に楽屋に入った。
劇場の楽屋に入れるこのチャンスを見逃す手は無かった。
商売するには固定客が必要不可欠で、豪華なドレスを必要とする彼女達とは、この先懇意にしておきたかったのだ。
シエルが着せてくれた白のローブを脱ぎ
「 失礼致します、先程、舞台でライトのテストをしていた者です 」
そう言って楽屋に入って行ったレティを見るなり、マネージャーらしき人に
「 貴女、凄く綺麗……女優にならない? 」
……と、スカウトされた。
あら?本当、凄く綺麗だと言われ、出番待ちの女優さん達にも囲まれ、しつこく勧誘されたのだった。
「 貴女の舞台映えも良かったわよ~、そのドレス良いわね、キラキラ輝いて……… 」
「 はい、このドレスは舞台用に作っていて……角度も計算されて………」
「 アハハは、説明はいらないよ……あたしら頭が悪いから、ドレスはゴージャスでキラキラしてるだけで十分よ 」
「 でも………胸元はもっとがっつりと開けてね 」
レティの胸をジロジロ見ながら言った。
「 スミマセン……モデルのスタイルが悪くて……」
ギャハハハ、胸は男に揉んで貰ったら直ぐに大きくなるわよ……と、爺達顔負けのエロい事を言われて、レティは顔が真っ赤になった。
「 キャア~この娘可愛いい~ もう、食べちゃいたいわ~」
私のものよとギュムギュムと、お姉さん達に抱き締められたレティだった。
お姉さん達……胸がデカいわ………
デザイン画を見せながら注文を取り、マネージャーさんに名刺を渡した。
貴族相手なら、完全オーダーメイドでガッポリとお代を頂戴する所なのだが、彼女達は平民なので、安くて済む既製のドレスに、ゴージャスさとキラキラさをプラスすると言う話を勧めたら、すんなりまとまった。
お代は前金と、出来上がり時の支払いの半々にした。
「 有り難うございまーす 」
人たらしレティは商売上手だった。
「 それにしても……皇太子殿下は良い男よね……そりゃあ、あれだけ素敵ならモテルわ……」
「 今度は王女様とよ……ここに来るのはこれで3回目だね 」
はい……2回目は私なんです……
そしてお姉さん達……寝てしまってご免なさい………
小さいレティが余計に小さくなるのであった。
フフフ……女優にスカウトされちゃった……
注文も沢山取れて、白のローブを着たレティが、ホクホクして劇場を後にして直ぐに、アルベルトがレティを探しに来た事は、レティは知る由も無かった。
店に着くと、マーサが待っていた。
店の事はマーサしか知らせてなく、父母にはまだ内緒だった。
それは、レティがまだ学生であるから……
1度目の人生で店を持ったのは、学園を卒業してからだったが、その経験があるからこそ、こんなに早くに店を持てたのである。
店のオープンは秋ね………
それまでに沢山デザインして、沢山私のブランドドレスを作らないといけないわ………
「見ないようにしていたのにね………」
レティはポツリと呟いた。
目に焼き付いたアルベルトと王女の姿を忘れようと、レティは懸命に店の仕事に没頭するのであった。
次話より本編に戻ります。
読んで頂き有り難うございます。




