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4度めの人生は 皇太子殿下をお慕いするのを止めようと思います  作者: 桜井 更紗
第2章

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未来の呪縛からの解放




その夜

アルベルトは公爵邸を訪問し、レティを呼び出した。


公爵邸の庭をアルベルトが先に歩き、レティが後から付いていく………



長い沈黙が続く………



明るい東屋に着くと、アルベルトはレティと向き合い、静かに優しい声で話し出した。


「 レティ、ごめん……… 僕の事、嫌いになった? 」

レティは、首を横に振った。



「 僕はレティを好きだよ 」


「 王女様は?………殿下は王女様を好きじゃ無いの? 」

「 僕が好きなのはレティだ! レティには僕の気持ちは伝わって無いの? 」


「 じゃあ、何故そんなにも一緒にいるの? 何時も手を繋ぎ、腕を組んで………好きだからじゃ無いの? 」

「 違う、公務だから………仕方な……く………」


皇宮では王女を出来るだけ避けたつもりだった。

だけどレティの前では………

アルベルトは唇を噛んだ。



「 私……殿下が分からない…… 」

「 ごめんレティ………ごめん 」

アルベルトは声を荒げ、一心に謝罪の言葉を叫んだ。

もう、泣きそうな程に必死だった……


アルベルトが、こんなにも感情を露にするのは初めてだった。



「 悪かった………嫌な思いをさせたね……」

レティが勘違いするのも当然だ……






「 レティ、大好きだよ……僕はレティじゃ無いと駄目なんだ 」




未来は変わったの?




4度目の人生は………

殿下は私を選んでくれたの?




アルベルトが自分の事を好きだと知っていながら……

また、告白もされてるにも関わらず、受け入れる事が出来ずに、レティがこんなにも王女に拘ったのも仕方の無い事だった。

レティはループして4度も人生を生きているが、どの人生も違った道を歩いているのに………

3度の人生全てで、アルベルト皇太子殿下は王女と婚姻を結んだのだから………






王女様より私を選んでくれたの?



涙がボロボロと零れ落ちた。

レティは、やっと未来の呪縛から解き放たれたのだった。





「 レティは、僕の事を好き? 」





「 好きよ、大好きよ、殿下が大好き 」

レティがアルベルトに抱き付いた。



「 やっと言ってくれた……… 」

アルベルトはレティを抱き締め、コツンとレティの肩に頭を付けながら、震える声で言った。





やっと言えた………



死の恐怖から救ってくれたのは殿下だった。

あの日、領地に殿下が来てくれなかったら、心が壊れていたかも知れない……

死と向き合い、抗おうと思ったのも殿下がいたから。

死を回避出来るかも知れないと、未来への希望を持てたのも殿下がいるから………




次から次へと涙が零れ落ちる………





「 殿下、ずっと………私を………好きでいて……くれて有り難う………」

涙がポロポロと溢れ落ちる……



「 ずっとずっと……ずっと殿下が………好きだったの、殿下……だけが好き……だったの……」

言葉を詰まらせながらも、懸命に3度の人生の想いを伝えるレティは、涙と鼻水でぐちゃくちゃだった。



そんなレティを愛おしそうに見つめ………

ハンカチを取り出し

涙を拭い、鼻水を拭いてあげて、せっせとレティの世話をしているアルベルトの顔は、何処までも優しく甘く蕩けそうだった。




「 泣かないで、レティ…… 」

アルベルトはレティの顎に手をやり、上を向かせ唇を落とした。


レティを恐がらせ無いように……

驚かせ無いように……

そっと唇に触れるだけの優しいキスをした。


おでこに、目に、頬に………

愛しくてたまらない様に優しいキスを繰り返す………


「 殿下……くすぐったい……」

涙が止まったレティが、真っ赤になっている。


可愛い………


アルベルトの瞳に熱がこもり、妖しく揺れ、レティの唇を見つめる………

そして………

もう一度レティの唇に口付けをしようとした時………



「 もう、駄目……もう限界! 」

………と、レティに突き飛ばされた。


「 ……………えっ!? 」

後ろにヨロっと下がり、アルベルトは固まった………


すると………

真っ赤な顔をしたレティは、踵を返しスタスタと歩きだした。


「 酷いよレティ、突き飛ばすなんて………」

アルベルトはクックッと笑いだし、レティに駆け寄り、レティと手を繋いだ。




「 レティ、好きだよ…… 」

「 …………… 」

「 レティは僕の事が大好きなんだよね…… 」

歩きながら、レティの顔を覗き込むアルベルトは幸せそうだ。



「 もう、限界って言ったでしょ! 」

レティが、赤い顔をして、アルベルトをキッと睨んだ。


「 じゃあ、続きはいつしようか? 」

アルベルトは、レティの耳元に顔を寄せ甘い声で囁いた。


耳を押さえ、涙目になって、そんなもん聞くんじゃない!と、レティはプンプンと怒る怒る。

ごめん、ごめんと嬉しそうに謝るアルベルト………




二人はやっと恋人同士になったのだった。







********






アルベルトとレティが手を繋ぎ、居間に入って行くと

ラウルが、にやにやとしていた。


アルベルトは、父親ルーカスと母のローズの前で、レティと想いが通じ合い恋人同士になった事、どんな事になろうともレティを愛し抜き、必ず幸せにすると誓った。



母親であるローズは涙を流し、良かったと喜んだが………

この国の宰相であるルーカスは素直には喜べなかった。



恥ずかしそうに頬を染め、皇太子殿下と見つめ合い、幸せそうな娘を見ながら……

必ず来るであろう二人に降り掛かる困難に、胸が痛くなるのであった。









読んで頂き有り難うございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] やっとレティと皇子様が恋人になれてよかったね。  レティも皇子様が好きだと言えて良かったです。 [気になる点] レティのお父様が心配してる事は、本人達もガンバルだろうから、回りの大人達も…
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