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4度めの人生は 皇太子殿下をお慕いするのを止めようと思います  作者: 桜井 更紗
第1章

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立太子の礼

切ないです。





その日は朝から雲1つ無く、清々しい程に晴れ渡った。



ここは、豪華な装飾品を飾られた皇帝の間だ。



「 皇帝陛下、皇后陛下のおなーりー 」



皇帝陛下が皇后陛下の手を添えて入場してくる。


皇帝陛下は黒に紫のサッシュ、皇后陛下は淡いベージュの豪華なドレスに黄色のサッシュを垂らしていてどちらも正装だ。


階段の最上にある皇帝と皇后の椅子に座った。


直ぐ下の左右には、皇帝陛下側近の大臣達が並んでいる。

レティの父であるルーカスを始め、エドガーの父である国防相や、レオナルドの父である外相や各大臣達が正装で立っていた。


両横の壁際には 招待客の各国の王や王妃や大臣達がずらりと並んだ。



「 皇子殿下のおなーりー 」



重い扉が両脇に開かれ

アルベルト皇子が長い足で、大股で赤い絨毯の上をカツカツと歩いていく。



全身白の軍服姿の正装だ。

豪華な金糸で刺繍が施され、肩から赤のサッシュが下げられている。


真紅のマントが颯爽と靡いている。


皇帝両陛下の前に膝まずき、頭を垂れたまま両手で皇太子である証の聖剣を、皇帝から賜り腰にさした。



「 これで我が息子アルベルト・フォン・ラ・シルフィードは、名実共に皇太子となった、国を憂い、国を栄え、国民のために歩む事を望む 」

皇帝陛下の声が静かに会場に響いた。




「 陛下の御心のままに、皇太子として常に国民に寄り添う人である事を誓います 」



静かだった皇帝の間に、われんばかりの拍手が鳴り響いた 。


式典が終わった。

次は2階のバルコニーで国民の前に立つのだ。



バルコニー前では

皇太子となったアルベルト皇子を一目見ようと、国民がごった返している。


レティは皇宮の広場にある貴族席に母とラウルと立っていた。


そこに式典が終わった父が母の隣に並んで来た。

他の大臣達もそれぞれの家族の横に並んで行った。



「殿下はご立派だったよ」

………父が涙ぐんでいた。


皇帝陛下を支えて来た側近として、ずっとずっと見守ってきた皇子の成長に、兄や私とは違う思いがあるんだろう。


私も涙ぐんだ。


ラッパが鳴り響き

左右に分かれた近衛騎士団が敬礼をし、正装した女官達と侍女達が左右に分かれ頭を垂れ控えた。



真ん中から皇太子殿下が現れた。



ここからの主役は皇太子殿下と国民だ。

貴族達は左右の両脇に静かに立っていた。


大歓声が上がった。

破顔して国民に手を降るその人は、まさしく天上の人だった。


青い空の元 太陽の光を受けて、黄金の髪がキラキラ光り、 白い正装に真紅のマントが翻っていた。



遠目だからか

私の、皇子様白い軍服真紅のマント祭りは大爆発したものの、直ぐに沈下していた。

次は是非とも近くで拝観させて下さいと神様に願った。



多分

皇子様世界大会を開いたら、うちの皇子様はぶっちぎりで優勝するわね………


フフフ そんな事を考えていたら ふと殿下と目があった様な気がした。


えっ?!

遠いよ?ここ…………



でも、殿下はこちらを見ていた。



思わず両手を上げて指でハートマークを作ったら 、一瞬驚いた殿下が、クッと笑った様な気がした。



父と母には、はしたないと無言で叱られた。



「 アルはこの国の皇太子殿下なんだよな 」

兄がポツリと呟いた。


私は胸がチクリと傷んだ。



殿下からの誕生日プレゼントは殿下の瞳の色だった。

自分の瞳と同じ色の宝石を女性に贈る意味を私は知っている。


多分 アルベルト皇太子殿下は私の事が好きなんだろう。



だけど私は知っている。

彼の選ぶ女性は私では無いのだ。

3度の人生で彼の選ぶ女性は何時も1人の女性だった。



胸がズキリと傷んだ。

切なくて切なくて涙があふれた。



私は………

誰にも気付かれ無いようにそっと涙を拭った。



太陽の日を受けてキラキラ輝いているその人は

決して手の届かない雲の上の人だと改めて胸に刻んだ。










ここで1つの区切りとなります。

ここからは、逃げるレティに追い掛けるアルベルト皇太子殿下。

まだまだ2人の恋物語りは続きます。

読んで頂き有り難うございます。

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