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皇子様、苦戦する




レティが王女を気にするもんだから、アルベルトは仕方なく王女の側まで戻った。



だけど………

アルベルトは気が気じゃ無かった。



あれ?

レティが居ない………

さっきまでラウルと居たのに………


まさか………

不埒なオスが何処かへ連れ込んだのか………



「 ちょっと急用が………失礼! 」


王女が何か言っていたが、アルベルトはそれどころでは無かった。



真っ青になってレティを探した。




「 ラウル! レティは? 」

「 あれ? さっきまで居たのに………」


ラウルは、他の貴族達と熱心に話をしていた。

きっと何かをリサーチしてるのだろう………

彼の情報通は、流石未来の宰相だと思わせるものがある。



エドガーとレオナルドは、大人の女性達に囲まれていた。

今から、ダンスを踊るんだろう。

彼等は学園の女生徒とは踊らないが(学園で後々面倒な事になるので)、大人の女性達とは気軽に踊ったりしていた。




ダンスホールには居ない………

くそっ! 離れるんじゃ無かった……




「 レティ 」

「 レティ………何処だ? 」




ああ……居た………




レティは、軽食ルームでシェフと楽しげに笑っていた。



ホッとして、力が抜けた………



「 あっ、殿下 」

レティが俺に気が付くと………

シェフが、頭を下げた。



「 前に、忍び込んだのがバレちゃいました 」

レティが、恥ずかしそうな顔をしていた。



ああ……君はこんなにも可愛い………



「 殿下………あの時のメイドは公爵令嬢だったのですね 」

シェフが嬉しそうに話す。



「 殿下の濡れ衣が晴れましたね 」

「 ?……何の濡れ衣ですか? 」

レティは首を傾げた。


「 何でも無いよ、気にしないで……レティ、何か食べる? 」

アルベルトは、去年の晩餐会でのレティの不法侵入の事を、誰にも話すつもりは無かった。


「 はい 」

「 じゃあ、あーんして 」


「 殿下、自分で食べます 」

「 あーんは? 」

フォークで差した果物を、レティの口に持っていく……

パク………モグモグ……



ああ……可愛い……



アルベルトは

真ん丸い目をして、赤い唇を開け、パクとパクつくレティが可愛いくてたまらないのであった。





「 あっ、殿下、聖剣を使って、どうでしたか? 」

「 見てくれていた? 」

「 はい、弓兵の皆さんと見ておりました……」

アルベルトはせっせとレティの口に食べ物を運ぶ………



「 凄い威力でしたね 」

「 まさか、雷の魔力が聖剣に順応するとは思わなかったよ」

レティは、口元に差し出されるだけパクついて、モグモグしていた。



「 殿下の聖剣………素敵ですわ……」

レティは、ガーゴイルに向かって聖剣を振るうアルベルトを想像し、うっとりとしていた……

モグモグしながら………





レティ……俺はプロポーズをしたよね?


渾身の思いでしたプロポーズなのに

レティには、何ら響いていない様だとアルベルトはガッカリしていた。


遠慮がちだが、確かに皇太子妃になって欲しいと伝えたのに………


この娘の興味は………弓兵と聖剣だなんて……




「 殿下、☆*※×☆*※ 」

気が付くと、レティの口の中がいっぱいになっていた。


真ん丸い目をして、訴えて来るレティ。


ああ……可愛らしい……


このまま……

皇太子宮に連れて帰れたらどんなに良いか………



女性なら、誰もが欲する美丈夫である皇子様なのに、唯一欲っして欲しいレティには苦戦するのであった。










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