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殿下、デートしましょう




あいつらが居ない時は

料理クラブが終わって、殿下がベンチで待ってくれてる時だ。

大体、奴等は殿下と何時も一緒にいるのだ。



レティは決めていた。

殿下をデートに誘おうと…………



料理クラブが終わった。

ドアを開けたら何時もの様に、アルベルトが本を読んで待っていた。



「 お帰り、レティ、今日はどんなお菓子を作ったの? 」

「 ただいまです、今日はクッキーですの 」

………と、クッキーの包みを殿下に渡した。


「 くれるの? 僕に? 」

「 ちょっと焦げちゃいましたが……… 」


「 有り難う 」

アルベルトが包みを開けて、クッキーをつまんで美味しそうに食べた。


「 美味しいよ 」

「 殿下…………ちょっと話があります 」

決死の覚悟でベンチに座っているアルベルトを見る。


レティはいつの間にか握り拳を作り、仁王立ちになっていた。



「 ずいぶんと勇ましいね 」

「 殿下………私と………」

「 うん、」

「 私と………デートして下さい 」

レティが真っ赤になっている………



「 えっ!?」



「 私とデートをして下さい……ませんか? 」

「 もう1回言って…… 」

「 私とデートして下さい 」

「 何? もう一度言って………」

アルベルトは悪戯っぽくニヤニヤしながらも、嬉しくてたまらない顔をした。



こいつ………絶対わざとだ………



「 もう、言わない………嫌ならもう良いです 」

「 ごめんごめん、レティから誘われるとは思わなかったから………」

アルベルトは慌ててレティの手を取った。


「 うん、行くよ、何処に行きたい? 」

アルベルトが破顔する。



「 牧場へ………殿下の牧場でデートしましょう 」






********





そして………

春の暖かいある日

皇太子殿下専用の馬車が公爵邸に迎えに来て、牧場へ向かった。



二人で手を繋ぎ牧場を散歩する。

私の馬のショコラも、随分と大きくなった。

もうすぐ調教され、来年には乗れる様になるだろう。





言わなければ………

言わなければ………



「 殿下!」



「 ここ……にカフェを作ったら、デートが楽しいですよね…… 」

レティの声がうわずる………


「 殿下とデートなんて限られた所にしかいけないでしょ? 」

これからもデートがある様に、思わせ振りをする。


「 馬も、もっと増やして、ここを大きくしましょう 」

レティは……立て続けに話を続け、おネダリの上目使いでアルベルトを見る………


「 そして、誰もが騎乗出来る様にするの………コースも作って………ねっ? 楽しいでしょ? 」




「 いいよ、レティの言うとおりにするよ 」

アルベルトが嬉しそうに言うと、レティの髪を一房掴み上げて唇を押し当てた。




………駄目よ殿下、私の言う事なんて聞いちゃ駄目………




「 きゃあ………嬉しい、じゃあ約束の指切り 」

アルベルトが嬉しそうに小指を出し、レティの小指と絡める。




………最低だ、私は最低な女だ………





弓騎兵の増員の為には、馬を用意しなければならないのだ………


今から馬を増やして、風の様に乗りこなす弓騎兵隊を4年後までに作らねばならない。


だけども、それには莫大な資金がいる………

殿下にしか頼めない。

殿下を利用するしかないのだ………



そして、それには殿下が私を好き過ぎてくれている今しか駄目だと結論づけた。


王女が来国して、私を好きで無くなった殿下に、そんなおネダリをしても、イエスとはいわないだろう。






罪悪感が半端ない………



殿下、ごめんなさい

ごめんなさい

ごめんなさい




殿下………

自分の目的の為に

殿下を利用する私を………絶対に許しちゃ駄目よ………






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