ループ? 再び入学式
──ああ……また、この場所に戻って来てしまった──
今日は皇立ジラルド学園の入学式
アルベルト皇太子殿下が、お祝いの言葉を演説している…………
私は何でここにいるんだろう………
また、戻って来てしまったのか?
また、死んでしまったのか?
ちがーう!
違うよ、違う、違う………
頭をブルブルと振る
今、私は……
ラウル、エドガー、レオナルド、私の順に、教職員の横に並んで立っている。
生徒会役員として入学式に出席しているのだ。
まさか……
また、入学式の場にいるとは………
これも皆、こいつらのせいだ。
新学年が始まる前に
生徒会のメンバーの発表がある。
今年は、学校をまとめて、運営しなさいと
アルベルト皇子、ラウル、エドガーとレオナルドが役に付いた。
生徒会会長は殿下で、副会長は兄で、会計と書記はエドガーとレオナルドでやれば良いのに、何故か私が入っているのだ。
私を選んだ理由は
エドガーは会計も書記もしたくないから
レオナルドも会計も書記もしたくないから
兄は公爵家の馬車のやりくりが面倒だから
そして…………
殿下は
「 レティと一緒にいたいから 」
こんな理由あります?
兄の理由は我が家のお家事情だから、考慮する余地はあるけれども………
他の理由は却下!
「 私はね、毎日が忙しいのよ、これ以上は無理だから 」
忙しいのなら、語学クラブを辞めれば良いと殿下が言う。
自分が出入り禁止になったのが、気に入らないのだそうだ。
「 あら、駄目よ、レオと楽しくやってるんだから 」
ね~、ね~、とレオナルドと顔を見合わせて笑い合う。
語学クラブも、レオナルド目当てに若干女子部員が増えていた。
皆と仲良くなり、留学に一緒に行こうと話していたりする。
私の未来には絶対に必要な他国の言葉。
私は周辺国で使用している共通語は、日常会話位は出来る様になっていた。
未来に、他国へ移住する事を考えてる私としては、どの国に住むかの選択肢を広げたいので、後、2,3ヶ国の言語は是非とも覚えたいと思っているのである。
もう、出来るなら、この国の情報が入って来ない程の、遠く離れた異国への移住も考えていたりする………
やっぱり、無理。
他の子を誘ってよと言うと
面倒な事になるから、私にしか無理だと言う。
しまいには
私が来ないなら、殿下が毎日私のクラスまで迎えに行くと言う、とんでもない事を言い出したので、渋々引き受ける事になった。
そうして
会長、アルベルト・フォン・ラ・シルフィード
副会長、ラウル・ラ・ウォリウォール
護衛、エドガー・ラ・ドゥルグ
広報、レオナルド・ラ・ディオール
会計&書記&雑用、リティエラ・ラ・ウォリウォール
………と、言う生徒会が出来上がったのだった。
その前置きがあっての入学式。
4度目の人生を入学式からスタートした私にとっては
5回めの入学式になる。
「 レティ、どうした? 顔が真っ青だよ……… 」
隣にいるレオナルドが私の顔を覗き込んだ。
私は、死んでない。
これは4度目の人生だ。
………と、何度も何度も言い聞かせる。
私の棒タイの色は黄色、よし、2学年の色だ。
演説中の殿下の棒タイは4学年の紫色に変わっている。
ちゃんと生きて、時を進んでいる。
「 レティ?! 」
あれ?………何でここに私の愛しい人が?
あれ?
「 入学式は? 」
「 終わったよ 」
代表の挨拶が終わった殿下が、舞台上から降りてきていた。
良かった………
無事に終わった………
もう、入学式はたくさんだわ………
「 これから生徒会室に集合 」
新会長の声が講堂に響いた………
背の高い華やかな4人が歩いて行く後ろを
チョコチョコと小さな美しい令嬢が付いて行く………
そうして
レティは2年生
アルベルトは最高学年の4年生となり
皇立ジラルド学園の
最も華やいだ1年がスタートした。
新年一発目の投稿です。
本日は2話続けて投稿しておりますので
次の話もお読み下さい。
今年も宜しくお願いします。
読んで頂き有り難うございます。




