コミカライズ記念SS③ソウレの露出をなんとかしたいディア03
父の許可を得たので、ディアは執務室を後にした。
扉を閉める前に、『ああっ、ディアが行ってしまう!』という父の心の声が聞こえたので、「また来ます。お仕事頑張ってくださいね」と伝えておいた。
後から父の使用人とすれ違ったときに、『今日の旦那様は、いつも以上に仕事に燃えておられる……』と聞こえたので、父の仕事ははかどったようだ。
「さてと」
父の部屋に入ると、ディアは扉に鍵をかけた。エイダには、お茶とお菓子の用意をお願いしたのでこの場にはいない。
空中に浮かぶソウレは、待ちくたびれたのか大きなあくびをしている。
(どれがソウレ様に似合うかな?)
父の服がズラリと並べられたウォークインクローゼット内を歩く。
「うーん?」
父が普段着で着ているような上着とシャツを手に取ると、ディアはソウレに声をかけた。
「これなんてどうでしょうか?」
近づいてくるソウレにシャツを着せてみる。
――窮屈だ。
「そうですか? サイズは問題なさそうですけど……」
貴族風の服をきっちりと着たソウレは、おかしいわけではないが違和感がある。
「うーん?」
ソウレが苦しそうなので、ディアは首元からシャツのボタンを外していく。ボタンを胸元まで外したところでディアはハッとなった。
(うわ、シャツを胸元まであけると、すっごく似合うわ!)
ソウレの男の色気と、だらしない格好が良く合っている。
(女をもてあそぶ悪い男っぽい!)
絶対に口にはできないような失礼な感想をいだきつつ、ディアはソウレの服選びのコツがわかってきた。
ソウレにいろんな服を着せながら、最終的に上下を黒にして、真っ赤なストールを首からかけ、シャツを胸元まで大きく開いた格好で落ち着いた。
(よし! これでだれがどう見ても悪い男よ! マフィアのボスをイメージしてみたわ!)
ニヤリと笑うソウレには、このスタイルが良く合っている。
――満足したか?
「ハッ!?」
何を着せても様になるので、楽しくなって夢中になってしまっていた。
ソウレは、自身の腰に手をあてると『どうだ?』と聞いてくる。
「すごくお似合いです。というか、何を着てもお似合いでした」
ソウレは、腕をのばすとディアの頭をヨシヨシとなでた。
――楽しかったぞ。
(いや待って!? これじゃあ、半裸の男はいなくなったけど、マフィアのボスが空中に浮かんでいることになっちゃう!)
それはそれで気になって仕方がない。
「あのぉ、ソウレ様、やっぱり……」
ディアが最後まで言葉を言う前に、ソウレは着ていた服を脱ぎ捨てた。そこには元通りの服装のソウレがいる。
――楽しいが、窮屈だ。この国の服はいらん。
「そ、そうですか!」
元の服装のソウレに、なぜかホッとしてしまう。
散らばった服を片付けていると、部屋の扉がノックされた。扉の向こうからエイダの声がする。
「お嬢様、お菓子が焼き上がりましたよ。いかがですか?」
「すぐに行くわ」
ディアはソウレを振り返った。
「ソウレ様は、そのままが一番素敵ですね」
――神も人もあるがままが好ましい。
そう言うとソウレは、太陽のように明るく笑った。
おわり




