コミカライズ記念SS③ソウレの露出をなんとかしたいディア02
(そういえば、お父様の執務室に行くのは、これが初めてだわ)
ディアが少し緊張していると、エイダが執務室の扉をノックした。
父の使用人が顔を出したので、エイダはクラウディアが来たことを伝える。
慌てた様子の使用人が部屋の中に入って行くと、すぐに戻ってきて執務室内へと案内された。執務机に座っていた父が、作業の手を止めてこちらを見た。
――仕事のしすぎか? 妖精が見える。
父は、目頭を押さえながら眉間にシワを寄せている。ディアは笑みを浮かべて淑女の礼をとった。
「お父様。お仕事中にお邪魔してすみません」
ハッと顔を上げた父は「何の用だ?」と固い声を出した。しかしすぐに、「邪魔ではない」と言葉を付け足す。
(お父様も変わろうとしてくれているのね)
心がポカポカと温かくなる。そんなディアの心の中とは正反対に、父からはとてつもない早口が聞こえてきた。
――ああっディアが来るとわかっていたら最高級の茶と菓子でも用意させたのが今からでも遅くないなそうだ茶と菓子だすぐにここへそれにしてもディアが私の執務室に来てくれるなんてまるで夢のようだ。はっ!? 夢か? これは夢なのか?
(お父様って、ポエム以外でも長文を話せるのね)
ずれたところに関心しながら、ディアは話しを切り出した。
「実は、お父様にお願いがあります」
「なんでも言いなさい」
冷酷そうな表情をしているが、心の中では娘にお願いされたことを、むせび泣きながら女神アルディフィアに感謝している。
(そ、そんなに喜ばなくても……)
ディアが少し恥ずかしくなりながら「お父様のお洋服を見せてください」とお願いすると、父の心の声が静まり返った。
――……男か?
(え?)
――ディアが男物の服に興味を持つなんて、好きな男でもできたのか!? 男に服を贈るのか!? そんなっ! ディアにはまだ早すぎる! まてよ……贈る、だと? ディアに貢がせようとしているのか!? そんなクズ男は許せん! 我が家の妖精姫を誑かしたのはどこのどいつだぁああああ!!!
(えええ!?)
父は今から戦場にでも行くのかというくらい恐ろしい顔をしている。急に部屋の温度が下がったような気がした。
「お、お父様!」
声をかけると、父はハッと我に返り咳払いをした。
「……何のために私の服を見るんだ?」
ディアは、ここに来るまでに考えておいた言い訳を口にする。
「えっと、いつかお父様とおそろいの服を着たいのです。どの服ならおそろいにできるか知りたくて……ダメですか?」
――ゴフッッ!!!
激しくむせる音と共に、父の頬が目に見えて緩んだ。
(お父様、笑ってる?)
顔をそらし咳払いをした父は、「そういうことなら、好きなだけ見なさい」と満足そうにうなずいた。




