コミカライズ記念SS③ソウレの露出をなんとかしたいディア01
※ディアがソウレ(狼の耳と尻尾を持った神様)を呼び出した頃のお話です。本編22~23話あたり。
ディアは、空中に浮かぶソウレを眺めていた。ディアの視線に気がついたソウレが、ニヤリと笑い、狼のような尻尾をパタパタと揺らす。
(なんというか……。こうして改めて観察すると、このソウレって神様、すごい格好をしているわね)
ソウレの上半身は裸。毛皮で作られた腰巻をしている。肌にほどこされた刺青が印象的だ。
獣耳や尻尾のおかげで犬っぽいが、冷静に考えたら半裸の人が空中に浮いているのは居心地が悪い。
かといって、原始の神様を無理やり追い出すわけにはいかない。
(このままここに居座る気なら、せめて、半裸はやめて上に何か羽織ってほしい……)
チラッとソウレを見ると、いつのまにかベッドに移動していてゴロゴロしている。
「あのぉ、ソウレ様」
ソウレの獣耳がピクッと動いた。
――何用だ? 我の愛おし子。
「ソウレ様に、この国の衣服を奉納したいのですが、お許しいただけますか?」
――衣服? 必要ないが、まぁ良いだろう。
と言いつつ、ソウレの尻尾はパタパタと嬉しそうに揺れている。
(許可をもらったし、とりあえず、私の肩かけでも肩にかけて……)
「失礼します」と断ってからピンク色の布をソウレの肩にかけてみる。
(う、うーん。露出は減ったけど、違和感がすごい。男性向けの服を着せてみようかな?)
クンクンと肩かけの匂いを嗅いでいるソウレから、肩かけを取るとソウレは『こういうことをされるのは初めてだ』と興味深そうな顔をする。
「今からソウレ様に相応しい服を探しますね」
――面白い。良いだろう。
ディアが自室から出ると、ソウレもフワフワと浮きながら後を着いてくる。
ソウレの姿は他の人には見えないらしいが、ここまで堂々とされるとディアのほうが戸惑ってしまう。
そのせいで、「お嬢様、どちらへ?」と声をかけられ盛大にビクついてしまった。振り返ると専属メイドのエイダがいる。
「あ、エイダ。良いところに」
エイダに男性物の服を探していることを説明すると、すぐに心の声が聞こえてきた。
――お嬢様は、その服を何につかうのかしら?
(そりゃそう思うわよね)
ディアが『なんて説明しよう?』と悩んでいる間に、エイダは「はっ!」となった。
――もしかして、アーノルド殿下へのプレゼントの参考に!?
(違うけど、そういうことにしておこうっと)
「実は、アーノルドに似合う服を探したいの」と伝えると、エイダの瞳はキラキラと輝く。
「そういうことでしたら、お任せください! すぐに服飾屋を呼んで!」
はりきるエイダを必死に止める。
「ち、違うの! 買いたいのじゃなくて、どんな服があるのか見てみたいだけなの」
「そうなのですか?」
「あ、そうだ! お兄様やお父様の服を見せてもらうわ」
貴族なのでたくさん服を持っていそうだし、お願いしたら快く貸してくれそうだ。ただし、エイダのように『好きな人にプレゼントするためね』と誤解されてはいけない。
(お兄様はこういうことに鋭いから、お父様の服を借りましょう)
ディアはエイダに父の居場所を聞いた。
「公爵様は、今日は、執務室にいらっしゃると思います」
ためらうエイダから心の声が聞こえてくる。
(公爵様の冷たい態度でお嬢様が傷つかなければいいけど……。でも、最近、公爵様もベイル様も、以前よりお嬢様を大切にしているのがわかるから大丈夫よね?)
心配してくれるエイダに『いつもありがとう』と心の中でお礼を言う。
「じゃあ、行きましょう」
「はい、お嬢様」
ディアがチラリとソウレを見ると、ソウレは楽しそうにこちらを見つめていた。
つづく
コミカライズは、本日、コミックシーモアさんで6話が先行配信。
その他のサイトでも、5話まで配信中です^^




