⑥ソウレの心情(02ディアと出会ってから)
※ディアがソウレを召喚した日の夜、ディアとソウレが一緒のベッドで寝たときのお話です。
ソウレを召喚した人の子ディアが眠るというので、ソウレは一緒にベッドに入った。ディアに一瞬、嫌そうな顔をされたが、ソウレは気にせず話しかけた。
--先ほどのアーノルドとやらの話をせい。
「アーノルドですか? ……アーノルドは、ソウレ様と同じ赤い髪に黄色の瞳でとっても可愛いんです。いつも一生懸命で……でも、育った環境が悪くて、自分に自信がなくて……」
--それで?
「大好き……幸せにしたい……」
ディアは、瞳を閉じて眠りへと落ちていった。
(やれやれ、眠ってしまったか。アーノルドの話をもっと聞きたかったのだがな)
ソウレはふと、『そう言えば、このように他愛もない会話をしたのはいつぶりだ?』と思った。
久しぶりに召喚されたかと思えば、よりによって性悪女の愛おし子だったので、最初はどうしてやろうかと思った。
しかし、話を聞けばディアは、愛する者を救うために、異教の神を召喚するという危険を冒したらしい。
そのせいか、ディアから溢れる感情は、愛を司る神からすればとても心地よい。
(やはり人は面白い)
無防備に眠るディアの頬を指でつつくと、眠っているディアの眉間にシワがよる。
寝ているのに反応があって楽しい。尻尾がパタパタと揺れてしまう。
指でつつきながらディアの頬の柔らかさを堪能していると、ディアがうっとうしそうに寝返りをうち、ソウレに背を向けた。「う、うーん……」と苦しそうな声も聞こえる。
――ははっ、すまんすまん。
優しくディアの頭をなでると、また気持ちよさそうな寝顔に戻った。
これ以上はやめておこうと思い、ディアの寝顔を眺めていると、予想外に眠気を感じた。
神は眠る必要はないのに、ディアの側は温かくて心地よい。ここなら気持ちよく眠れそうだ。
――人の子と眠る、こんな夜があっても良いな。
ディアを優しく抱きしめるとソウレは目を閉じた。
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次の日。
朝起きるとディアは迷惑そうな顔をしていた。そういう顔をされると、からかいたくなる。
ディアを『我の愛おし子』と呼ぶと「やめてください!」と怒られた。
(うーん、やはり面白い)
これほど神を恐れない人も珍しい。
ディアと話していると、まるで親しい友とふざけているような気安さがあった。
そうかと思えば、「ソウレ様。お望み通りお茶とお菓子を奉納しますよ」と献身的な姿を見せる。
(これは、性悪女が気に入るのも分かる気がするな。我も気に入った)
昨晩のディアは、ソウレに元の場所に帰ってほしそうだったのに、今はもうソウレが側にいても気にならないようだ。
(しばらく、観察するか)
新参者の神々のように人に深く介入するつもりはないが、とにかくヒマだったので、ソウレはそう決めた。
これから、何かとても面白いことが起こりそうな、そんな予感がした。
【リクエスト番外編⑤ 02】END




