⑥ソウレの心情(01ディアに出会う前、神々の時代)
※ソウレの心情は、どこからどこまで書けばいいのかな?と悩み、Twitterでアンケート取らせていただきました!
結果、以下の三つを更新させていただきますね^^
①ディアに出会う前(神々の話)←短いです
②ディアに出会ってからのソウレ(ほのぼの)
③ソウレから見たアルディフィア(心の変化)
ある日、数が多く力の弱い新参者の神々が、別の大陸からこの大陸に押しよせてきた。
元からこの大陸に住んでいた神々は、戦を仕かけられたので応戦したが、時の巻き戻しによる終わりのない戦いに呆れ果て、この大陸を去り始めていた。
愛と豊穣を司る神ソウレは、信者が建てた祠の中で深いため息をついた。
(どうしたものか……)
一人、また一人と親しい神々が去っていく。
そんな中、一人の友が夜中に酒を持参しソウレを訪ねて来た。
「ソウレ、いるか?」
「おお、アモか!」
風と運を司る神アモは、顔半分を鳥の仮面で隠し、口元だけが見えている。背中には鳥の翼が生えているので、祠の中では窮屈そうだ。
「ソウレ、久しぶりに酒でもどうだ?」
「おお、いいな!」
最近では、新参者の神々の対応に追われ、のんびりと酒を飲むこともなくなっていた。
祠から出ると、満点の星空の下、二人でたき火を囲んだ。酒をあおると、他愛もない話に花が咲く。
次から次へと会話が弾むが、お互いに新参者の神々の話題は避けていた。
ふと言葉が途切れたが、心が通い合う相手なので、訪れた沈黙すら心地良い。
酒が無くなるころ、アモがソウレに言った。
「聞いたか? とうとう戦の神がこの大陸を去ったそうだ」
「戦の神までもか」
ソウレはため息をついた。アモは、酒杯を地面に置くと「潮時だ」と呟く。
「俺も、ここを去る。ソウレはどうするのだ?」
「我は、新参者の神々のやり方が気に入らん。あれでは、人の子に介入しすぎだ」
新参者の神々は、一から十まで人の子に教えて、手足を取りどこに歩いていけば良いのかまで導こうとしている。そこまでしてしまうと、愛ではなく支配だ。
アモは少し黙ったあとに口を開いた。
「ソウレ、俺達の信者が激減している。人の子は、俺達より新しい神々を選んだのだ」
「そうだとしても、我は一人でも我の信者がいる限り、ここに残る」
「お前らしいな」
立ち上がったアモは、背中の翼を大きく広げた。
「ソウレ、いつかどこかでまた会おう」
「ああ、またな。アモ」
ニッと口元を緩めてからアモは飛び立った。その姿はあっという間に夜空に紛れて見えなくなる。
「……また一人、友が去ったか」
ソウレは『何があってもこの大陸に残る』と、すでに覚悟を決めている。
ただ、こうして友の背中を見送ることの寂しさには、いつまでたっても慣れそうにはない。
「どうしたものか……」
どうしようもないことは分かっている。結局、皆、生きたいようにしか生きられない。
「また会おう、か」
絶え間なく姿を変える炎のゆらめきを見つめていると、友と笑いあった懐かしい日々がよみがえった。
「もう会うことは、ないのだろうな」
バチッとたき火がはぜた。
ソウレの夜は、一人静かにふけていく。
【リクエスト番外編⑤ 01】END
これ以上『神々の話』を書くと、『異世界恋愛』ではなく『戦記もの』に突入してしまうので、ここらへんで止めておきますね^^