エイダとラルフの恋愛(04たかられる人)
【ラルフ視点】
小さな花束を抱えたエイダの背中を見送り、ラルフはガッツポーズをした。
(よしっ!)
エイダが笑ってくれた
(はぁ、エイダさんの笑顔、可愛かったなぁ)
脳内でエイダの言葉を繰り返す。
『ラルフさん、ありがとうございます。優しい人って素敵』
(いやいや、そこまでは言われていないけど……。これ、ひょっとして、ひょっとすると、いけるんじゃないか!?)
今までにない好感触に胸がときめいてしまう。
(俺の人生を思い返せば、子どもの頃から剣に夢中で、十六歳のときに公爵家の騎士団試験に受かってから、今までずっと騎士業一筋で生きてきてしまった……。気がつけば、副団長に抜擢されてベイル団長にこき使われる日々……。久しぶりに家に帰れば、反抗期の妹に『あっちいって』とか言われるし、このままではいけないっ!)
癒しがほしい。正確には彼女がほしい。もちろん、彼女といっても誰でも良いわけではなく、エイダと付き合いたい。
(エイダさんのしっかりした雰囲気とか、ハキハキした感じが好きなんだよなぁ。あとクラウディア様のことになったら、夢中になっちゃってすごく可愛いところとか)
エイダのことを考えると頬が緩んでニヤニヤしてしまう。
今思えば、クラウディアの護衛として神殿に着き添ったときに、エイダに『お嬢様とアーノルド殿下のことは、内緒にしてください! 言いふらしたら私が許しませんからね!?』と強めに言われたときからエイダのことが気になっていた。
(ああ……エイダさんに『もうっ! 私がいないとラルフは何もできないんだから』とか言われたい……)
少し『気持ち悪いな、俺』と反省しつつ鍛錬場に戻ると、情報屋の後輩が近づいてきた。
「副団長、これメイドのレジーから預かりました」
後輩から紙切れを受け取ると、中には『エイダとお出かけさせてあげようか? 追加料金しだいだけど』と、かなり上から目線の言葉が書かれていた。
(くっそ、俺、完全にたかられてるぞ。でも、お金を払ってエイダさんとお出かけできるなら……いや、それってどうなんだ?)
ラルフが葛藤していると、後輩に「レジーに気に入られたんですね」と笑われた。
「はぁ!? いいように金を巻き上げられてるんだが!?」
「レジーは、気に入った相手にしか情報を売らないんですよ。情報屋というより、お似合いの男女の恋の手伝いをするのが趣味だそうです」
「そういうには、金額が高すぎないか?」
「これくらい払えない男には用がないそうです」
「納得できるような、できないような……」
複雑な気分だったが、『お似合いの男女』と言われれば悪い気はしない。ラルフは、結局レジーに追加料金を払うことにした。




