エイダとラルフの恋愛(02絶望的な恋)
※【名前変更】×ベル→○レジー
【ラルフ視点】
走り去るエイダの後ろ姿を見つめながら、ラルフはガックリと肩を落とした。
(ああ……どうやったらエイダさんとお近づきになれるんだ……)
悲しいことに、好意を寄せているエイダにはまったく相手にされていない。
(これでも、俺、一応、公爵家騎士団の副団長なのに……。少しくらい女性にモテても良くないか!?)
ラルフはため息をつくと、自分が右手に紙を握りしめていたことを思い出した。
少しでもエイダのことが知りたくて、騎士団内の情報屋と呼ばれている後輩に聞くと「メイドの事は、メイドのレジーが情報を売ってくれますよ。高いけど」と教えてくれた。
レジーに会って、エイダの情報が欲しいと伝えると、とんでもない金額を請求された。
『足元見られてるなぁ』と思いながらも、レジーに「乙女の秘密を買うんですよ? これくらい当然です」と言われれば、『そうかも』と思ってしまった。
(『乙女の秘密』と言われると、なんか悪いことしている気分になってくるな)
そう思いながらも、ドキドキしてしまっている自分がいる。
「どれどれ」
レジーがくれた紙には、エイダの生まれや家庭事情が書かれていた。
(うわっ、ウソだろ!? エイダさんってあの超有名商会の三女!? 確か、あそこの家は数年前に男爵の地位を金で買って成り上がり貴族って言われてる……ということは、エイダさん、本当は金持ち貴族のお嬢様だったのか!?)
驚きつつも、『道理であの若さで、クラウディア様の専属メイドをやっているわけだ』と納得してしまう。クラウディアと年が近くて、しっかりしているからだと思っていたが、それだけではなく、実家も予想外にしっかりしていた。
(あああ……これ、アレだ! 成り上がり貴族が、娘を歴史ある名家に仕えさせて、箔を付けてから良い家に嫁がせるやつっ!!)
優秀で勤勉だった場合、仕えていた家を辞める時に紹介状を書いてもらえることがある。それが、ペイフォード公爵家の紹介状だと、それだけで下級貴族としてはとても名誉があることだった。
ようするにエイダは、ここに花嫁修業に来ているということで。
(もしかして、エイダさんにはすでに婚約者がいるかも!?)
慌ててレジーから買った情報の続きを読むと、『婚約者や、現在お付き合いしている人はいない』と書かれていてラルフは胸を撫で下ろした。
(いやいや、ホッとしている場合じゃない!)
向こうは、男爵令嬢。こっちは、平民の公爵家お抱え騎士。
(あ、ああ……。俺は騎士階級ってだけで、別に貴族じゃないし、家が金持ちでもないし……あれ? もしかして、絶望的?)
ラルフは青くなりながらも『い、いや、あきらめるのはまだ早い! なんか……こう、良い感じで奇跡が起こるかもしれないしっ!』と自分自身に言い聞かせた。




