高校生活7日(帰りはおみやげと共に)
いつもありがとうございます!
今回で『ミニ修学旅行』終わりです。
温泉旅行二日目。
昨日、散々お風呂に入ったのにもかかわらず、私たちは目覚め一番に再びお湯に浸かっていた。
「朝御飯なんだろね~。ふぅぅぅ~」
「その前に、お風呂あがりは牛乳ね……」
「フルーツ牛乳もいいね~」
「珈琲牛乳も捨てがたいな……」
「「「「ふぅぅぅ~~……」」」」
昨日から何度目かの温泉堪能のため息をついた。
「ミニ修学旅行、二日目~!! 予定はこれだ!!」
ババンッ! と、巻物が開かれる。
『ミニ修学旅行。二日目。
帰宅。
※迎えの車が来るまで自由。』
「「………………」」
「これだけですか?」
「うむ! これだけだ! 車で地道に来たからな! 早く帰らんと、明日からまた学校だ!!」
「えぇ~? 余韻も何もあったもんじゃないよ!」
「弾丸ツアーだな……」
そうね、名残惜しいけど、明日はちゃんと登校しないといけないわね。
「先生、お迎えって何時に来るんですかー?」
「浅井兄は昼には出発と言っていたから、土産を買う時間くらいは設けてあるぞ」
「んー、あと二時間くらいか…………よし、お土産買いにいこう!」
「おー! 行こう!」
でも、温泉町の方へ出てしまうと帰ってこられなくなりそうなので、坂城旅館のお土産コーナーとゲームコーナーで帰りまで過ごすことにした。
「お土産、お土産~♡ 未央にはこれで、パパとママにはこれにしようっと!! あと、ともくんにはこれ~!!」
「まーちゃん、僕はここにいるけど……」
「え、良いじゃない! それぞれ思い出の物を買って交換っこで!!」
「あ……それ、いいなぁ」
「美穂、俺たちも交換する?」
「うん!」
二組のカップルのそんな会話が聞こえてきた。
本当に仲が良いなぁ。
「せっかくなら、明乃ちゃんもやろう!」
「私も?」
「あ、なら全員分やろうか!」
「皆で皆のお土産買う方が楽しい! 金額は300円から500円くらいで、種類は皆おそろいでね!! 大人の梅先生は、一人千円くらいでお願いします!!」
「フン、足立め……私だけ吹っ掛ける気か? まぁ、いい。参加してやろう」
こうして、ちょっとしたイベント『全員参加!! お土産チョイス大会!!』が始まった。
「よーし皆! ここはお土産チョイスのセンスを問われるからね!! 気合い入れていくよ!!」
「「「「お――――――っ!!」」」」
坂城旅館のお土産コーナーはけっこう広い。定番の温泉まんじゅうはもちろん、ストラップやボールペン、Tシャツなんかも置いている。
わぁ、いっぱいあるわ。う~ん……でも、若い子たちの好きなのって何かしら?
300円ならストラップ? ありきたりかな……じゃあ、500円で…………あ、『ペナント』だ! 懐かしい!! ……でも、千円かぁ……予算オーバーね。残念!
あぁ! こっちにはミニチュアのお城の模型に、温度計がついている定番のおみやげがある! 何の城か分からないけど、あちこちで見掛けるものだわ! 1500円……ダメねぇ。
う~ん……こっちには400円の名前のキーホルダーが。
よく見掛けるのは『あけみ』とか『あきこ』とか。うちの娘が旅行で、名前のキーホルダーを家族に買おうとしたことがあったけど、私の名前の『あけの』が無い! と悔しがっていたのを思い出す。
やっぱり無いわね……『あけの』は。
『まお』と『みほ』はあったので、皆の名前はいけそう! でも子供ならいざ知らず、今時の若い子はいらないかも。
「なかなか丁度良いのがないわねぇ……」
おみやげなんて、各地で特色でもなければ基になる原型は変わらない。何処かで見たようなものが並ぶ。
「どうしよう…………ん?」
視界の端で何かキラキラしたものがある。
「え!? こんなものもおみやげに? わぁ、これいいなぁ……特産品とかかなぁ……」
色もたくさんあるし、値段も500円!
よし! これにしよう!!
各々イメージに合う色を探して、皆の分と自分の分も買うことにした。
「お土産は車の中で大発表だよー!!」
ふふふ、皆の反応が楽しみだわ。
皆でお土産を買って、それでも時間が余ったのでゲームコーナーでプリクラを撮ることになった。
「これ、昔のプリクラだ! 美白機能とか顔のパーツを替える機能とかがない!!」
茉央ちゃんたちが言うには、最近のプリクラは色々顔を変えて遊んだりできるらしい。
「でも……私、プリクラが初めてだから、そのまんまの皆と撮ってみたいな」
「うん、そうか。じゃあ撮ろう!」
「よーし! じゃあ詰めて詰めて……!!」
六人でぎゅうぎゅうに撮影スペースに入って撮る。
次は茉央ちゃん、美穂ちゃんと三人で。
梅先生とのツーショットも撮ったわ。
古い機械と言っても、これだけ撮れれば私には大満足だ。
皆で思い思いの組み合わせやポーズを楽しんだ後、浅井くんのお兄さんが乗ったワゴン車が旅館に到着する。
「皆様、またのお越しを心よりお待ちしております」
「お世話になりました」
「ご飯、美味しかったです!」
「お風呂、色々とエク…………最高でした!」
旅館のご主人、坂城さんが丁寧にお辞儀をして見送ってくれた。
本当に良い旅館だった。また来たいわね。
走る車の中、皆のお土産を各々配った。
「よーし! 最初はともくんの…………ハンドタオル! 定番!」
「「ある、ある~!!」」
「次は勇斗くんの。え~と、ご当地キ○ィちゃんストラップ! 定番!」
「「ある、ある~!!」」
「じゃあ、まーちゃんのは……出た! よく分からない刀のオモチャ!! 定番!」
「「ある、ある~!!」」
「美穂のだな。これ? ビン入りの毬藻……?」
「「ある、ある~!!」」
「いや、北海道なら解るけど…………?」
何か『おみやげあるあるゲーム』みたいになってきた。
「これは明乃くんのか。どれどれ…………」
ちょっとドキドキするわね。これ。
「フッ! パワーストーン!! 何故か各地で見掛ける定番だな!」
「「ある、ある~!!」」
「あ、あるあるなのね……」
そして最後は……梅先生のお土産ね。
「心して開けるがいい! とても珍しいものだ!」
「わぁ、どれどれ……」
ぺらん。平べったいものが紙袋から出てきた。
「まぁ!! ペナント!! ある、あ…………」
「うぉぉぉっ! なんだこれ!?」
「ペナントだ! 昭和の遺物だ!!」
「初めて見たー!!」
「何に使うのコレ!?」
珍しいー!! と、皆の笑い声。
「…………ペナントって、今時のものじゃなかったのね」
昔はクラスで集めていた男の子もいたほど、定番なものだったのに…………。
お土産でおおいに盛り上がった後、お菓子を食べながらしゃべっていると、いつの間にか皆は眠ってしまった。
もちろん、私も睡魔に勝てずに眠りこける。
明日からまた学校か……今、とっても楽しいわ。
こうして、私のミニ修学旅行は終わり、楽しい思い出とお土産を手に肘川に着くまでにぐっすりと眠った。
浅井・兄「先輩、皆寝ちゃいました?」
峯岸「ぐぅうううう~……」
浅井・兄「先輩まで寝てるんですか? も~……俺まで眠くなっちゃうよ……ラジオでもつけるか…………」
カチ。
『ただいま、坂城温泉旅館からお送りしております! 名物、女子大生アナウンサーの温泉旅!! 今日は同級生たちと来てまーす!!』
『『『イエーイ!!』』』
浅井・兄「っっっ!!」
『今、坂城旅館では“ユリキュア”の格好して集まった勇者さまに、握手と写真のサービスをしちゃう♡ 私たちと仲良く・し・て・ね♡』
浅井・兄「うぉぉぉぉぉっ!!」
『さぁ! 皆、あつまれーっ!!』
浅井・兄「よっしゃあああっ!! 衣裳あるし、みんな寝てるし、引き返して…………」
ガスンッ!! ぴーーー……ザザザッ、ザ……
カーラジオに突き刺さる警棒のような棒。
峯岸「ふぁ…………夕方までに、肘川…………」
浅井・兄「先輩……寝てたんじゃ…………これ、レンタカー……」
峯岸「おとなしく一緒に帰るか…………ここでお前だけ降りるか?」
浅井・兄「ここ高速……………………帰ります」
峯岸「よし。これをやろう…………ふぁあああ……ぐぅー……」
ぺらん。
浅井・兄「……ペナントって、何に使うんだろう…………あはははははは…………ぐすん……」
※サービスエリアでコーヒーを奢ってもらいました。
コーヒーが染みる……(´TωT`)




